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アメリカと日本で息づく木匠のこころ。ジョージ・ナカシマ愛好家は必見の催し、ミラ・ナカシマ展が開催されます。

コノイドコーヒーテーブル

近年、家具好きから絶大なる支持を受け、再評価が進む日系アメリカ人ジョージ・ナカシマ(1905-1990)の作品。

ジョージ・ナカシマは、木を図面に合わせて寸法通りに加工する画一的な素材としてではなく、個性を持った生命として考えるなど、“木のこころ”に真摯に耳を傾けていた木匠です。

ミングレンⅠエンドテーブル

アメリカ合衆国ニューホープにある「ジョージ・ナカシマ工房(George Nakashima Woodworker)」以外で、彼の作品の製作を唯一許されているのが香川県高松市の「桜製作所」です。

本年、「桜製作所」は創業75周年の節目を迎えます。

「桜製作所」は、ともに1923年に生まれた高松顕、永見眞一が1948年に創業し、現在は永見眞一の息子にあたる永見宏介に経営が引き継がれ、オリジナル家具とともにジョージ・ナカシマの精神を引継いだ作品を丁寧に作り続けています。

一方で、本国アメリカの「ジョージ・ナカシマ工房」も1990年にジョージ・ナカシマ本人が亡くなった後は、1970年より父のもとで働いていた娘のミラ・ナカシマが引継ぎ運営。

ミラ・ナカシマ

日本とアメリカというジョージ・ナカシマにとって2つの故郷ともいうべき場所で、ナカシマ作品の製作は続いています。

そして、この度、桜製作所銀座店において、創業75周年、創業者生誕100年を記念した「ミラ・ナカシマ展」が開催されます。本展では特別な作品が数多く展示販売されます。

2003年にデザインされたものの、桜製作所のコレクションには含まれていなかったミラ・ナカシマの「コンコルディア・チェア」が初めて桜製作所で製作・発売されるのもトピックの一つです。

コンコルディアチェア

さらに、ミラ・ナカシマの感性で木取りされた個性豊かな銘木を用いて「桜製作所」が製作したジョージ・ナカシマのコーヒーテーブルや、「桜製作所」が初めて製作を開始するミラ・ナカシマ作品の初公開、そして日本では未発売の珍しい作品、特別仕様なども展示・現品販売されます。

SLEDベースコーヒーテーブル

アーリンベースコーヒーテーブル

ミングレンⅡコーヒーテーブル

前述したように、ジョージ・ナカシマは家具を製作するにあたり、木のこころに耳を傾け杢目、傷などの個性にむしろ自分のデザインを合わせていくようなスタンスで、木に家具として第二の生命を与えようと考えていました。

また職人のクラフトマンシップを重要視し、職人の個性や製作場所ごとの違いはむしろ当然あるべきだと考えていたと言われます。

そのため「桜製作所」と「ジョージ・ナカシマ工房」ではそのラインナップも作品の印象も異なり、それこそがナカシマ家具らしさと言えます。

ブログレンスツール

アメーバテーブル 樺桜

ノグチサイドテーブル

今回の展示からは、ジョージ・ナカシマの古典ともいうべき作品を大切にしながらも、新しい作品や仕様でラインナップを拡充し、これからのマスターピースを作り出そうとする、近年の「桜製作所」の姿勢を感じ取れるのではないでしょうか。

また、「コンコルディア・チェア」の製作開始にあたり来日したミラ・ナカシマが、「ジョージ・ナカシマ工房」のフィロソフィーや製作プロセスを詳細に記した書籍『PROCESS BOOK by Mira Nakashima』も限定部数にて販売になります。

貴重な写真・図版とミラ・ナカシマによる丁寧な解説を通して、ジョージ・ナカシマの哲学を実現しながら作り手と使い手の相互信頼を生むために築き上げられた現在の「ジョージ・ナカシマ工房」の製作プロセスや、ジョージ・ナカシマが設計し今も拠点となっている工房の様子などが詳しく紹介されています。

節目となるアニバーサリーイヤーに企画され、様々な見応えのあるコンテンツが揃うこの度の「ミラ・ナカシマ展」。好事家にはたまらない催しとなっています。

最後に、ミラ・ナカシマと永見宏介の言葉でこのお知らせを締めたいと思います。

私と夫のジョンは、永見ファミリーと共に高松、そして東京の桜製作所で仕事ができることをとても嬉しく思います。私の父、ジョージ・ナカシマは、1964年に流政之を通じて永見眞一と出会い、新宿の小田急百貫店で7回の展覧会を成功させました。1990年に父が亡くなってからは、私が2度、小田急百貨店と桜ショップ銀座店で展覧会を開きました。今回が銀座での2回目の展覧会となります。1990年以降に制作されたいくつかのデザインと共に、新しい「プロセスブック」をご紹介できることを嬉しく思っております。ジョージのオリジナルデザイン同様、新しいミラ・バリエーションもお楽しみいただければ幸いです!
2023年11月
ミラ・ナカシマ

1948年、高松顕と永見眞一の二人が桜製作所を創業します。ふたりは1923年生まれ。ちょうど今年が創業75周年、ふたりの生誕100年を迎える年です。新型コロナパンデミックを乗り越え、久しぶりにミラ・ナカシマが来日します。ジョージ・ナカシマと桜製作所の出会いから60年を数え、これまで日本に遺してきた作品だけでなく、その想いを、ミラと私は今後も継承してまいります。
永見 宏介

INFORMATION

ミラ・ナカシマ展

日程:2023年11月19日(日)〜12月26日(火)
時間:11:00〜18:30
会場:桜製作所 銀座店
住所:東京都中央区銀座3-10-7 ヒューリック銀座三丁目ビル1F
電話:03-3547-8118

ミラ・ナカシマ
ハーバード大学にて建築を学び、早稲田大学大学院で修士号を取得。 父であるジョージ ナカシマの工房で、デザイナーとして20年共に働く。1990年父の亡き後、工房を引き継ぎ、社長兼クリエイティブディレクターとしてその理念と家具制作を継承。同時に自身の作品も次々発表する。現在も、ペンシルバニア州ニューホープの工房「George Nakashima Woodworker」で家族と共に制作を続けている。

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