四季折々の風情からインスピレーションを受け、それぞれのシーズンのアイテムに落とし込むことはファッションブランドにはよくある話。ただ、受けたイメージをどのようにデザインし、どういうディテールを採用すればアイテムにムードが宿るのか、そこはデザイナーの手腕が問われるところです。
と、前置きは長くなりましたが、今回紹介するニットブランド〈ヤシキ(YASHIKI)〉はその表現がとにかく巧み。デザイナーの故郷である石川県の風景や文化をベースに、そこから感じられる情景やローカル感を素朴で上品な物作りに落とし込んでいます。
そんな〈ヤシキ〉から24SSの新作の報せが届きました。シーズンテーマは「道草」。徐々に身近に広がり始めている春の景色を詰め込んだという新作を、早速みていきましょう。
雪が解け、柔らかな陽を浴び、野山が少しずつ色づいていく様子をイメージしてつくられた、その名も「芽吹」。和服のイメージを取り入れた、ゆったりとしたシルエットのMA-1タイプのニットブルゾンです。
ベースになっているプレーンな天竺編みは、葉が落ちた木々や雪に覆われた色が少なくなった景色を表現。さらにネック部分の細かな斜線柄は春の柔らかな陽射しを想起させ、肩から裾にかけて縦に入る向かい合った細かな斜線は、地面から顔を出し始めた蕗の薹や木々の芽吹きを彷彿とさせます。
こちらに付けられたアイテム名は「春野」。アイテムからも、アイテム名からもお察しの通り、色とりどりの花が咲き、新緑に溢れる鮮やかで楽しくなる春の景色をイメージしてつくられたニットです。
ゆったりとしたシルエットなので、インナーにシャツを仕込んだり、タートルネックと合わせたり、コーディネートの幅も広がりそうですよね。
着るだけで周りも自分自身も朗らかな空気で包んでしまいそうな、春を纏った〈ヤシキ〉の新作はすでに発売中。まだちょっとだけ寒いけど、まずはこのニットで春を先取ってみてはいかが。