本誌プログでのスナップでもおなじみ、京王線の代田橋駅に構える「フロットサム ブックス(flotsam books)」によるzine tourと題したイベント。昨年は審査員に写真家の宇田川直寛と横田大輔を迎え、150作品以上の個性的なZINEが集まりました。
その中で優秀賞として選ばれたのが、seki yuki。今回初となる個展『dresser ( =,≒,≠, book cover )が開催されます。
本作は他者の手によって開かれた本の表紙を、1枚のイメージとして捉えることについて考えたもの。トレース台に置かれた写真は、両者印刷によって裏と表の像が同時に現れます。また、写真をトレースしたドローイングも展示されるとのこと。
「本を読んでいる人のことを見ている。その人がどんなものを読んでいるのか、透視できるわけじゃない。それでも表紙をじっと見つめてみる。本は二つの視線(四つの目)を同時に受け止めて、表も裏もない壁のように作用する。読んだことのないその本を、頭で読み直すことができたので、私はこの本を読んだことがある、と思った。私はそのことを思い出しながら写真を撮りました。正確には、思い出すのではなく、立ち現れて実際に見たのでした。しかしその写真はすでに過去に撮っていたものでした。だから私はその人ではありませんでした」(seki yuki)
ちょっと難しく感じる方も多いかもしれませんが、実際に目で見てなにを感じるかは足を運んでみないとわかりません。本日から展示はスタートしているので、seki yukiの記念すべき初の個展を自分の感覚でお楽しみください。