ラグジュアリーブランドのなかで目下もっとも面白いのが〈グッチ(GUCCI)〉だ。牽引役はもちろん、2015年にクリエイティブ・ディレクターのポジションに就いたアレッサンドロ・ミケーレその人である。
トム・フォード、そしてフリーダ・ジャンニーニという卓越したデザイナーからバトンを受けとったミケーレ。並の神経だったら、そのバトンの重さに押し潰れてもおかしくないところだけれど、ミケーレは世界記録を上回る勢いでトラックを疾走している。
疾走ぶりを端的にあらわしてくれるのが、「クーリエ」コレクション。おなじみのGGパターンを纏ったバッグのコレクションだが、ご覧のようにプラネット、フラワー、あるいは怒った表情をみせるキャット……キャッチーなモチーフの数々がボディを埋めつくす勢いであしらわれている。旅が永遠のインスピレーション源と語るミケーレだけに、ともに世界を飛び回ったトランクケースへのオマージュが込められているだろうことは想像に難くない。それにしてもなんとポップで、郷愁を誘う佇まいなのだろう!
ジェンダーレス、折衷主義、ラグジュアリーなストリートカジュアル。ミケーレについてまわるフレーズはいずれもノームコアの対極にある。無味乾燥、人畜無害なスタイルに一服感が漂ういま、出るべくして出たデザイナーだ。ミケーレが指揮をとる〈グッチ〉はファッションが久しく忘れていたワクワクに満ちている。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa
Edit_Ryo Muramatsu
グッチ ジャパン カスタマーサービス
電話:0120-88-1921
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