定期的に活動をウォッチしているアーティスト、渡邉太地の新作展が開催されています。
回を重ねるごとにテーマを変化させていくアーティストもいれば、ひとつのテーマを徹底的に深掘りするタイプもいるわけで、渡邉の場合は圧倒的に後者となります。
彼がここ数年の研究テーマとして掲げる「可動型の窓」または「どこでも窓」。
テーマは変わらずとも、アウトプットのカタチがガラリと変わるのが興味深いところです。
新作展「TWO SPACES」はその名の通り、二つの空間で開催されるもので、新作の絵画が約50点展示されているとのこと。
双方の場所を行き来することで、見えてくるものがあるかもしれません。
また、いまの渡邉の気分は下記のステートメントに詰まっています。
世田谷宇宙旅行
個展「TWO SPACES」より
これは、世田谷にある二つの宇宙の旅である。
ここでいう宇宙とは僕らの頭上に広がる“宇宙”とは少し違う。
どちらかと言うと”Space”という言葉に近い。
INHERIT GALLERYからOFOまで国道420号を通り、
最近新しく開通した清々しいスロープを抜け、
淡島通りを左に曲がり、
真っ直ぐ進むともう片方の地点につく。
徒歩で41分、自転車で15分、LUUPで13分、車で13分。
異なる移動手段を使って1つのSpaceからもう一方へ
早けりゃいいってことではない。
同じ道なのにそれぞれに良さがありどれも新しい発見があった。
2つの離れたところに位置するSpaceたち、
その間に広がる見慣れた風景はどこかいつもと違っていた。
ああ、これが僕の宇宙旅行か〜。
渡邉太地
渡邉が描いた窓が開かれているように感じるか、はたまた閉じているように感じるかは、観る人次第。芸術作品とはそういうものなのではないでしょうか。
渡邉 太地 個展「TWO SPACES」
会期:9月14日(土)〜10月6日(日)
会場:INHERIT GALLERY
住所:東京都世田谷区下馬1-48-3
会場:OFO by INHERIT GALLERY
住所:東京都世田谷区代田1-4-1
開廊時間:13:00~19:00
休廊日:毎週火曜日
渡邉太地
1997年東京都生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程卒業。シルクスクリーンを用いた版画作品や油画作品を制作。現在は「どこでも窓」を研究テーマとした油画作品を中心に制作を行う。我々の生活と密接な関係である窓を再解釈し、実際の窓と同じように空間を創り、その空間への入り口となる絵画表現を研究している。
主な個展に「Beyond clouds」OIL by 美術手帖ギャラリー(2023)、「Room」FLOAT(2022)、「in and out」CAGE GALLERY(2022)、「Where I want.」INHERIT GALLERY(2022)、「FOOT PRINTS」BEAMS T 原宿 主なグループ展に「Scenery」Marco gallery(2023)、「BEAMS T 20th ART EXHIBITION」BEAMS T 原宿(2021)