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【FOCUS IT.】インパクトのある「スローガンTシャツ」でお馴染み、キャサリンハムネットのアーカイブアイテムを虎ノ門「SELECT by BAYCREW’S」が別注。その全貌を両者によるスペシャル対談から探っていきます。

もはやトレンドとは関係なく、どこのブランドでも当たり前のように展開する「メッセージTシャツ」やミリタリーテイストのアイテム。それらをファッションとして世間に広く定着させ、イギリスの伝統的なスタイルに、モードやストリートなどのカルチャーを組み合わせたコレクションをラインナップするブランドが、英国発の〈キャサリンハムネット(KATHARINE HAMNETT)〉です。このブランドの主に80〜90年代の名作を、英国との協業で、日本の技術で復刻するアパレルコレクションが、日本発信でスタートしています。

今年の2月末に虎ノ門にオープンした話題のセレクトショップ「SELECT by BAYCREW’S」では、そんな〈キャサリンハムネット〉のアイテムを幅広く展開。そして今回、ついにこの両者による別注アイテムが発売されることになりました。2型の「スローガンTシャツ」と独特な染めが印象的な「ライオネルジャケット」が登場していて、どちらも〈キャサリンハムネット〉のアーカイブを参考に制作された、ファン垂涎のアイテムです。

これらのアイテムがどういった経緯でリリースされ、どのようなメッセージが込められたのか。それらを紐解くべく、〈キャサリンハムネット〉のクリエイティブディレクターであるライオネル・コプリーさんと「SELECT by BAYCREW’S」のメンズセクションのコンセプターを務める松尾忠尚さんの2人による、スペシャル対談をお届けします。

Photo_Tai Kino
Text_Atsutaro Ito
Edit_Seiya Kato


これまでにないくらいの自信作なんですよ。

―まずは、今回お集まりいただいたこちらの場所について教えていただけますか?

松尾:こちらは「SELECT by BAYCREW’S」という今年の春にオープンしたばかりの複合ショップでして、総面積はおよそ800坪。全国的に展開している「BAYCREW’S STORE」の中でも、最上級のセレクトショップとして運営しています。

ライオネル:今回初めてこのショップに訪れたのですが、本当に素晴らしいスペースだと感じました。この土地ならではの個性のある洗練されたディスプレイがいいですよね。

松尾忠尚
「SELECT by BAYCREW’S」メンズコンセプター。1975年、大阪府生まれ。2000年に「BAYCREW’S」に入社してから「JOURNAL STANDARD」一筋。ショップスタッフ、バイヤーを経て、現在はブランド全体の方針を決めるコンセプターを務める。山と街をクロスオーバーさせる「JOURNAL STANDARD」の世界観を自身のライフスタイルでも体現している。
Instagram:@tadanaom

ライオネル・コプリー
〈キャサリンハムネット〉クリエイティブディレクター。英国の〈キャサリンハムネット〉で80年代より40年以上、MD統括ディレクターとして活躍。現在、日本との協業コレクションにおいて本国ベースのクリエイティブディレクターを務めている。ブランドの歴史やデザインコンセプトをデザイナー本人のつぎに知る人物。

―そんな「SELECT by BAYCREW’S」では、〈キャサリンハムネット〉のコレクションアイテムがそろえられているとお聞きしました。

松尾:「ジャーナル スタンダード(JOURNAL STANDARD)」でも一部「スローガンTシャツ」などは取り扱っているのですが、コレクションで展開しているのは「SELECT by BAYCREW’S」だけなんですよね。

ライオネル:昔から、「スローガンTシャツ」はキャサリンの声を直接届ける道具として捉えていて、その時代に向けたメッセージをプリントしています。なので、まずは「スローガンTシャツ」で〈キャサリンハムネット〉を知ってもらって、そこからほかのコレクションアイテムにも目を向けてもらうことは、ぼくたちにとって理想的なサイクルなんですよ。

―たしかに、〈キャサリンハムネット〉といえば「スローガンTシャツ」のイメージが強いですよね。

松尾:90年代を通ってきたぼくたちの世代には、とても馴染み深いアイテムだと思います。その当時は、大きなフォントのメッセージTシャツがトレンドみたいになっていたんですけど、やはり〈キャサリンハムネット〉は別格というか、強烈なメッセージが多かったような印象ですね。例えば“STOP ACID RAIN(酸性雨を止めよう)”は、いまではもう話題にならないテーマだと思うんですけど、かなりインパクトが強かったです。

ライオネル:たしかに現代ではあまり話題にならないテーマかもしれませんね。だけど、環境問題のことについて訴えているという観点では、(デザイナーの)キャサリンは時代の最先端をいっていたと思います。

松尾:そうなんですよね。いまでこそサスティナブルというキーワードは当たり前に感じられますが、その頃はアウトドアブランドですら言ってなかったはずです。

ライオネル:キャサリンはサスティナブルなマインドに関してはファッション分野で間違いなくパイオニア的な存在で、1991年の春夏コレクションには、“Green Cotton by the Year 2000(2000年までにグリーン・コットンを)”というテーマでショーを行ったんですよ。

―そうだったんですね。それでは、今回の別注アイテム「スローガンTシャツ」に込められたメッセージについて教えてください。

ライオネル:まずはこちらの“EQUAL BUT DIFFERENT(平等のようでそうじゃない)”は、人種や人権の問題が背景にある言葉で、アーカイブでありながら現代にも通ずるテーマだと思って選定しました。それから、この“MAKE TROUBLE QUESTION EVERYTHING(トラブルを起こせ、行動しろ)”も、いまの時代に合ったメッセージだと思いますし、なによりこの言葉はキャサリン自身を的確に表現していますね。キャサリンは常に自分の意見を持っている人なので、なにか問題があれば、まずは行動するということを大切にしています。それと同時に慈悲深くて、とてもラブリーな人なんですよ。

スローガンTシャツ ¥19,800

松尾:どちらのメッセージもかなりインパクトがありますよね。それと、Tシャツのボディ自体はややワイドなつくりなので、少し太めのパンツ、もしくはあえて細いシルエットを合わせても、コーディネートにまとまりができると思います。

ライオネル:この「スローガンTシャツ」はベーシックなアイテムなので、あらゆるスタイルとも相性がいいんですよ。

松尾:ライオネルさんのおっしゃる通りで、ジャケットの中に着込んだりしてもかっこいい、着回しのきく万能なアイテムではないでしょうか。

―こちらの「ライオネルジャケット」についても解説をお願いします。

ライオネル:こちらは、ハンティングとフィッシング、どちらの要素も兼ね備えたジャケットです。僕とキャサリンはこのシルエットがとても気に入っていて、今回はフードもつけくわえてみました。

松尾:今までは、生地の厚さ的にフードを取りつけることができなかったんですよね?

ライオネル:そうなんですよ。なので今回の「ライオネルジャケット」は、ある意味“幻”のバージョンなんですよね(笑)。

ライオネルジャケット ¥97,900

―カモフラージュ柄を連想させる独特な染めも印象的ですね。

ライオネル:使っている生地は、日本の伝統技術である注染の手法を用いて今回のためだけに作成したオーガニックコットンです。ミリタリーテイストのアイテムであっても、カジュアルになりすぎず、洗練されたモダンなムードを表現しています。

松尾:〈キャサリンハムネット〉はミリタリーアイテムをうまく料理して、トレンドにも左右されないクラシカルなデザインが素晴らしいんですよ。個人的にもそういったテイストが好きで、今回別注で作らせていただいた「ライオネルジャケット」は、これまでにないくらいの自信作なんですよね。

INFORMATION

株式会社M&R 商事

住所:東京都港区南青山2-27-20 工藤ビル302号
電話:03-6439-3962

KATHARINE HAMNETT

オフィシャルサイト
Instagram:@katharine_hamnett_heritage

SELECT by BAYCREW’S

オフィシャルサイト
Instagram:@select_by_baycrews

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