「ありそうでない」というのは何かをつくるときに目指したいところであり、それを超えていくと「絶対にない」になっていくのではないでしょうか。
一方で、「ないのには理由がある」というのもよく聞く言い回しですが、なんだかすごく後ろ向きな物言いだなと思います。イノベーションの一切を否定している感じというか。
フイナムでも何度も紹介している〈チェイス(CHASSE)〉ですが、「ありそうでない」と「絶対にない」を絶妙に揺れ動いているブランドです。
今回、ご紹介するプルオーバーシャツ。一見スタンダードなルックスですが、本来ならばアウター類で使用されることの多い、打ち込みの強い強撥水リップストップナイロン生地を用いており、厚みもそれなりな仕上がり。
シャツ以上、アウター未満という立ち位置で、実に出番の多そうな一着となっております。
あえて長めにとられたフロントのハーフジップは、着脱における利便性や様々なレイヤードを考慮された設計に。
また、裾のドローコードによるアレンジで、自分好みのブラウジングが可能となっています。
デザインと可動性の両立を目指したカッティングと立体裁断も見どころのひとつ。
さらに、ナイロン地にはいい意味で似つかわしくない太い糸で縫製することで、洗濯を繰り返すと荒々しい表情になるとのこと。化学繊維を使いながら、美しい経年変化のことまでを考えられたプロダクトってそうそうないのではないでしょうか。
〈チェイス〉を初期から取り扱っていた「ウィズム(WISM)」では、エクスクルーシブカラーとして、カーキが店頭に並びます。
どこまでも控えめで素朴な印象のプロダクトですが、思った以上にファッションしており、使える一着となっています。1月2日(木)より発売開始です。