イタリアを代表するクチュールメゾンといえば〈ヴァレンティノ(VALENTINO)〉です。創業から65年が経ついまも職人の手仕事による、息を飲むような服づくりは健在。イマジネーションというデザインの魔法を巧みに操るアレッサンドロ・ミケーレのクリエイティブ ディレクター就任はある意味、必然だったのかもしれません。
そんなことを2025年春夏 “パヴィヨン デ フォリ” コレクションは感じさせます。パヴィヨン デ フォリ(Pavillon des Folies)」は日本語で “狂気の館” を意味する、ミケーレが〈ヴァレンティノ〉ではじめて手掛けたコレクションのタイトルです。
昨年行われた、2025年春夏 “パヴィヨン デ フォリ” コレクションのショーの模様。
ここでリポートするのは、このコレクションのローンチを記念し、3月31日に行われた一夜限りのイベント。舞台は上野にある「東京国立博物館」の「表慶館」です。
会場に入ると現れたのが、グリーンでライトアップされたDJブース。バンド「Suchmos」のメンバーでDJのKaiki OharaやDJのデュオ「50Minimals」によるプレイが訪れるひとたちを出迎えます。
DJブースが設置されたエントランス。
DJブースの奥の部屋に進むと、そこにあったのは猫型の大きなオブジェ。これは「ル シャ デ ラ メゾン」という、ミケーレの頭のなかに現れる幻想の動物で、今シーズンはミノディエールというバッグになって登場しました。ここでは愛らしい姿のオブジェと一緒に記念撮影を楽しむゲストたちの姿も。
「ル シャ デ ラ メゾン」のオブジェ。
続いて案内されたのは、エントランスを挟んだ反対側の部屋。〈ヴァレンティノ〉のシグネチャーカラーである赤のネオンで演出されたラウンジスペースで、そこではこのイベントのために用意されたフードやドリンクを提供。ドリンクのひとつは、今回のコレクションのキャンペーンビジュアルに登場したミルクからイメージを得たという特別なものでした。
赤で演出されたラウンジスペース。
今シーズンのキャンペーンビジュアル。
さらに、その奥のライラックカラーで覆われたプレイルームには、クレーンゲームの機械やフォトブースを設置。会場ではギフトがもらえる、LINEを活用したスタンプラリー形式のトレジャーハンティングも行われていました。
黒のカプセルが並ぶクレーンゲーム。
「ル シャ デ ラ メゾン」のミノディエールとフォトブースで撮影した写真。
ミケーレによる〈ヴァレンティノ〉の世界観を具現化したこのイベントには、メディア関係者をはじめ、セレブリティや文化人、顧客などが来場。贅沢な時間だったことは間違いなく、歴史あるメゾンのいまを肌身で感じることのできた特別な夜でした。