古代ギリシアの数学者、ユークリッドが定義した黄金比。“神聖なる比率” ともいわれるその比率は、建築や絵画に使われてきた。
これをいち早く時計に採り入れたのが〈パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)〉であり、そのモデルが1968年に発売された「ゴールデン・エリプス」である。
エリプス(=楕円形)の名の通り、オーバルなラインを描くケースの縦横比は1:1.6181。確かに黄金比だ。その方面の事情に疎くても美しく感じられるのだから、やっぱり黄金比はすごい。
そんなタイムピースの誕生50周年を祝し、2018年に生まれたのが、ローズゴールドをまとったラージサイズモデル「5738 ゴールデン・エリプス」(34.5×39.5cm)だ。
りゅうずに付くのは、カボションカットのブラック・オニキス。
エボニーブラック・ソレイユの文字盤を組み合わせ、ローズゴールドの植字インデックス、バトン型時・分針をあしらった「5738 ゴールデン・エリプス」は、万人のためのイブニング・アクセサリーと胸を張るのももっともな品格をたたえている。
現行のコレクションでもっともスリムな体躯(5.9mm)を具現したのも特筆したいポイントだが、それは超薄型自動巻を謳う「キャリバー240」の恩恵である。
連載「憧れの逸品」はこのたび400回を数えた。記念すべき回に相応しい、まさに “憧れの逸品” である。
ケースと同じローズゴールドのバックル。
美しいまっさらなケースバック。
5738 GOLDEN ELLIPSE
CASE : ROSE GOLD, 34.5×39.5mm
BAND : ALLIGATOR
THICKNESS : 5.9mm
WATERPROOFNESS : 3bar
PRICE : ¥6,170,000
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa