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「Just After Sunset」

2010.08.15

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夕暮れをすぎて」と「夜がはじまるとき
スティーヴン・キング
夏休みの帰省の飛行機などの移動中に...と思って借りた比較的新しいキングの短編集原題「Just After Sunset」の2分冊。

もともとバックマン名義時代から彼の中・短編はよくできたプロットとぐいぐい引き込む力が研ぎ澄まされて非常に読みやすい印象。前回読んだ「Four Past Midnight」のシリーズも短編集だったけど、こちらは国内の作家ならいずれも十分長編としてリリースされる分量。300ページちょっとに6つから7つのいずれも興味深い物語。

クトゥルー伝説風のSFは強迫神経症患者とその担当医という視点で切迫した恐ろしさを描き(「N」)、いざこざの絶えない隣人に放棄された簡易トイレに閉じ込められる閉所恐怖症と吐き気を催すような汚物の恐怖(「どんづまりの窮地」)、彼女に翻弄される気の弱い男の物語と思ったら、一転、物悲しい霊たちの物語に変わってしまう「ウィラ」...さまざまなジャンル、文体をリズムよく配分した2冊。

1篇にかける時間も途中一度くらい中断する程度でサクサク読めていく。昔のキングのおどろおどろしさも良かったけど、見なれた物事にひそむ潜在的な恐怖を増幅して、またはぐるっとひっくり返して読み手を震撼させるワザはもう職人技。

年とともに冴えわたるキングの王座...わたしにとってまだまだ続きそうです。

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