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平野太呂写真家、NO.12 GALLERY主宰写真、撮ってます。小さいギャラリーも運営してます。「POOL」という写真集出してます。tarohirano.comno12gallery.com

Vertical Horizon (仮)

平野太呂
写真家、NO.12 GALLERY主宰

写真、撮ってます。小さいギャラリーも運営してます。「POOL」という写真集出してます。
tarohirano.com
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バルセロナにて

2009.06.20

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バルセロナ市現代美術館のまえの広場はバルセロナのスケートボーダーの格好の遊び場になっている。石畳の裏道をカタカタと音を立てながらみんなその広場に向かう。「スケートするならバルセロナがいい」という台詞はしょっちゅう耳にしていたけど、本当だった。警察や警備員に怒られる事がほとんどないバルセロナにはアメリカのプロスケーターも泊まり込みでスケートをしにやってくる。現代美術館の警備員も見て見ぬ振りだ。しばらく縁石に腰掛けてバルサ・スケーターの腕前を堪能し、現代美術館に入ってみる。白い回廊でフロアーが分けられ、表の喧噪(主にスケーターの音)を一瞬にして忘れさせる。インスタレーション、ビデオアート、ポスター、ポップアート、コラージュ。とにかく現代アートっぽいのを揃えている、のは分かるが、いまひとつここがバルセロナなんだよってことが伝わってこない。全部をひとつにまとめて話してしまうのは危険だろうけど、全体的な印象としてはそんな感じだ。僕はバルセロナの現代美術館に来たんだよ、ということをもっと感じたかった。美術館の中からガラス越しに広場が見える。あいかわずスケーター達が上半身を裸にして滑っている。音が聞こえないぶん、不思議な感覚だ。ああ、ここはバルセロナだったんだと我に返る。そして、ふと思う。もしスケートボードが現代アートだったら?この現代美術館が厄介者のスケーター達をわざと追い払っていないとしたら?そう考えてみる。その懐の深さ、それが一番バルセロナっぽいのではないか。それに気が付くかどうかで、印象が変わる。そう勝手に納得し、広場を後にした。東京に戻ったら現代美術館の前でスケートしてみることにしよう。

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