Vertical Horizon (仮)
平野太呂
写真家、NO.12 GALLERY主宰
写真、撮ってます。小さいギャラリーも運営してます。「POOL」という写真集出してます。
tarohirano.com
no12gallery.com
GO MIYAGI
2009.08.27
前回の投稿の補足。
スラップに掲載されている宮城豪のインタビューの日本語版(完全版)です。
興味を持たれた方は長いけど読んでみてください。なかなか面白いですよ。
宮城"ドラボン"豪
沖縄県出身
32才
スケート歴 20年位
マーク:どうしてスケートボードを始めたの?なにが魅力的だったのかな?
ドラボン:きっかけは自分が小学生の時に、主人公がスケーターっていう設定の日本の漫画。
その主人公も小学生なんだけど、何故か警察に追いかけられていて、逃げながら30段位の階段の手すりの上を滑って行った!それを見た時、「なんじゃこりゃー!!」って天と地がひっくり返るような衝撃を味わって絶対スケボーやりたい!!って思った。
マーク:スケートを始めた頃はみんながするようなトリックを練習したりしてい
たの?それとも最初からみなとは違うアプローチをしていたのかな?
ドラボン:子どもの頃は凄い田舎に住んでいて、周りにスケーターは一人もいなかった。
周りの友達は虫を採ったり、海で泳いだりして遊んでたからね。自分もそうだったけど。
最初はホームセンターで3000円位で売っていたスケボーを親に頼み込んで買ってもらい、
一人で始めた。当時情報が全く無かったので、技があるという事も知らず、ただひたすら
坂を下って遊んでいた。 それだけでも十分楽しかった。そのうち周りの友達がスケボーに興味を示しはじめて、学校でちょっとしたスケボーブームにまでなったけど、一か月もすると、また自分一人だけに戻っていた。それもあって、自分が楽しむと同時に「この素晴らしいスケートボードの楽しさをもっとみんなに知ってもらいたい。」という気持ちがずっとあった。ダウンヒルしかしてないのに(笑)。技がある事を知ったのはスケボーに乗り始めて3,4年経ってからだね。
マーク:グリップテープじゃなくてカーペットを貼っていると聞いたけど、本当?なんで?
ドラボン:カーペットというより、布きれだね。日本の「手ぬぐい」だとか。昔からあるハンカチとタオルの中間のようなものなんだけど、手ぬぐいは素晴らしい柄のものが多い。一時期スケボーのトリックとかに興味がなくなって、ダウンヒルしてるだけで楽しかった昔の感覚を思い出したくて、それには何か自分にとって新しい感覚が必要だと感じて、まずはデッキテープを変えてみようと思った。デッキテープなし、デッキの上を彫刻等で溝を彫ってみる、ゴムを貼ってみる、接着材のスプレーを吹きかけてみる、ガムテープを貼ってみる、ゴザ(畳のようなもの)を貼ってみる、いろいろ試してみて、見た目と機能性の面と手軽さで、今は一番しっくりときた「布」を木工用ボンドで貼っている。まあ遊び心だよ。見た目にもいい感じだし、乗ってるだけで楽しいよ! あと手にも優しい! まあ面倒だけど(笑)。カーペットも試してみようかな。
マーク:トリックができるまでは時間がかかるほうかい?
ドラボン:撮影する時はメイクまでメチャクチャ時間がかかる。
なぜなら自分は映像や写真を残す時は、自分がいつも当たり前に出来る事より
常にやった事の無い事、新しい事を形にしていきたいと強く思っているから。
映像や写真の撮影に関しては最終的に形となったものが全てだと考えている。
何回トライしてもいいと思う。最後に良いものが撮れれば。
自分が考える映像、写真の魅力は、創り込む事が出来る事、その場で滑っているだけでは
見えてこない部分を表現する事が出来る。だから、時間を掛けて創りこめばいいと思う。
もちろんそれは、フィルマー、フォトグラファーとの信頼関係がないとできない。
お互いのやっている事を理解し、尊敬し合える人間じゃないと、それができない。
1カット3、4秒の為に一週間もかかったものもある。イカレテルよね(笑)
でもイカレタ自分達でしか、あのパートは創れなかったと思う。
マーク:何かやりたいトリックがあって、それができるスポットを探しにいくの
か、スポットを見つけてそこで何ができるか考えるのか、どちらのタイプか な?
ドラボン:自分はほとんどの場合、スポットのほうが先だよ。
スケートの為にスポットを探しに行くというか、いろんな建物や風景を見るのが好きで、放浪したりするんだけど、そんな時に 「この場所なんかグッと来るな」 と感じる建物やオブジェなんかに
出会う事があって、それがずっと頭の片隅にあって、何日か経ってから「そういえばあの場所でなんか出来るかも!」と閃く事が多い。そして日々の日常を過ごしながらも、頭の片隅でイメージが少しずつ固まっていき、やがてはっきりとしたものになってくる。そしてやっと実際にトライするって感じ。自分は、スポットと出会い、インスピレーションをもらい、頭の中に出てきたイメージを少しずつ形にしていく事、実際そのスポットでトライする事、そしてメイクに至る事、その行程を全て楽しんでいるんだ。最近はあまり「トリック」をしようとは考えてないかな。その場所、その形を生かして、何ができるかを考えてるから今までの「トリック」という概念には収まりきらないかもね。
トリック名をつけるのも難しいと思うし(笑)
マーク:自分のスケートの仕方は日本以外の世界でもできると思う?日本の独特
な建物が君のスケートにどれほど効果があるのかな?
ドラボン:日本の建物が独特だと感じる?自分はその環境で育ってきたから独特なのか
どうかは分からないけど、間違いなく自分の深い部分に影響を与えているとは思う。
でも手すりとか柵の高さは体格の違いがあるからアメリカよりは低いのかもね。
だからオーリーの低い自分でも楽しめるものが多いのかもしれないね。あとは日本の職人は手先が器用で技術が高いから、日本にはいろんな形の手すりや柵があるのかもしれないね。自分はその上をグラインドしてるんだけど(笑)
マーク:丸レールにこだわる理由は?どうして全部、鉄のバーだったり、グラインドが多かったり?
ドラボン:こだわっているつもりはないんだけど、丸レールで創られた物体は、何故か面白い形や色のものが多い。それを見てると魂が躍る。その物体とスケートで融合する事で喜びを感じたいと思う。それと、単純に丸レールでのグラインドは、それでしか味わえない独特の気持ちよさがある。特に曲がっていく時の感覚が!それをより味わうためにワックスを塗りまくっているんだよ。
Robot Project から Gou dorabon Miyagi シグネイチャーWAX(丸レール専用)が発売されているので宜しく!今は日本でしか買えないと思うけど、日本に来た時は是非!
マーク:きみのトリックのほとんどは「きわもの」けど、フィーブルからバックスミスとかをやっているのを見ると、本当はすごく「上手い」んじゃないか?と思うんだ。もっと「普通」なトリックをやろうとしないのはどうしてなのかな?
ドラボン:自分は物心ついた頃から、周りの人間との間に何か違和感を感じていた。
親、兄弟、親戚、学校の先生、同級生....... それが何だったのかはわからないけど、
周りの人間に対して自分の心を開く事ができない。常に自分の居場所がなかった。
自分は宇宙人なんじゃないかと本気で思った事もあるよ。
感情、思考回路が周りの人とはズレテいるらしくて、自分の素の部分を出してしまうと、周りが引いてしまうから。だからいつも周りとうまくコミュニケーションが取れず、自分の内なる世界で遊ぶようになっていったんだ。
スケートボードと出会った時、初めのうちは単なる子供の遊びにすぎなかったけど、
そのうち、スケートの雑誌やビデオを見て、カルチャーの部分に触れるようになっていった。
アメリカのものだったので、言葉はよく分からなかったけど、スケート、写真、映像、音楽、絵から発するものに、
これまでに無かった新しい感覚と同時に、何か自分と同じ匂いを感じた。
この人達も社会と上手くやっていけなくて、それでも自分に正直に力強く生きて行こうとしている。
そして自分らの手で新しい事を生み出そうとしている姿勢にもの凄く共感し、
この世界でなら本当の意味で「生きる」事が出来るかもしれないと思った。
自分の魂が喜びを発するために、自分の魂に正直に生きるためにスケートボードをしている。
だから周りから与えられた「普通」という考え方では満たされない。満たされるはずがない。
自分の頭と心で考え、感じながら、自分の中から生み出そうとしなければ
実社会で行き場を失った自分の魂を喜ばす事はできないんだ。
マーク:影響をうけたスケーターっているのかい?
ドラボン:Gonz 、 Mike Vallely、 Simon Woodstock、 Pat Duffy 、 Sean Sheffey, Jeremy Klein 、 Josh Beagle、Dan Drehoble 、 Jason Adams、 Ed templeton、 Jamie Thomas、 Yoshi Obayashi 、 Danny Gonzalez .....
まだまだいっぱいいるけど、自分はユーモアのあるスケーターとか、イっちゃってるスケーターが好きだね。 でもいろんなタイプのスケーターから少しずつ影響を貰っている。
マーク:あのビデオ以降に新しいフッテージはあるかい?
ドラボン:少しずつ自分のペースで撮影しています。これからも自分の魂に向き合って、
自分と仲間が本当に楽しめる事を追及し、形にしていきます。
それがいつか本当に人の心を打つものになると信じて。
期待しないで待っててください。あなた達が忘れた頃に私は戻ってきます。
自分は昔からよくSLAPを見ていた。他の雑誌には無い特別なものをSLAPからは感じていました。そのSLAPで取り上げてもらって、自分は本当に嬉しいし、誇りに思う。
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