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対談:坂口修一郎×中原慎一郎 "良き隣人たち"と、理想的なフェスティバルを考える。

2012.08.06

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グッドネイバーズ・ジャンボリー」が多くの人々の興味を引くのには何か理由があるのかもしれない。2010年の初開催から数えて、今年でまだ3回目。ましてや、会場は東京でなければ、関東近郊でもない。九州・鹿児島の田舎町を舞台に、数千人がこのフェスに参加するというから驚かされる。仕掛人はバンド、Double Famousのリーダーであり同イベント実行委員会代表を務める坂口修一郎と、ランドスケーププロダクツ代表の中原慎一郎。ともに鹿児島県出身、同い年。何故、2人は鹿児島でフェスを始めるに至ったのか。東京と地方の健康的な付き合い方、そして乱立するフェスのこれからの在り方について。そこから「グッドネイバーズ・ジャンボリー」の魅力が見えてくる。

Photos_Shota Matsumoto
Edit_Yohei Kawada

坂口修一郎
1971年、鹿児島県鹿児島市出身。無国籍楽団「Double Famous(ダブル・フェイマス)」のトランペット、トロンボーン、パーカッションを担当。2010年より、GOOD NEIGHBORS JAMBOREE実行委員会代表を務める。

中原慎一郎
1971年、鹿児島県南さつま市出身。ランドスケーププロダクツ代表。千駄ヶ谷にオリジナル家具を扱う「Playmountain」、カフェ「Tas Yard」、コーヒースタンド「BE A GOOD NEIGHBOR COFFEE KIOSK」のほか、故郷鹿児島にて「Playmountain KAGOSHIMA」を展開。

「このフェスが、鹿児島に行く口実みたいになれば面白いと思うんですよね」。

-「グッドネイバーズ・ジャンボリー(以下、G.N.J)」は今年で3回目の開催ということですが、過去2回を終えて、感触や手応え、そして現地の方々のリアクションをどのように捉えているのか教えてください。

坂口修一郎(以下、坂口:敬称略):関わっている人の数や来場者は回を重ねるごとに増えていっています。今年でまだ3回目ですが、チケットの売れ方なんかを見ていると過去2回とは比べものにならないくらい早いペースで売れていますね。だいぶ浸透してきているという実感はあるし、関わってくれている方々のコミュニティはどんどん大きくなって、彼らがスピーカーとなって広まっていっているような気がしますね。

-現地での認知度はいかがでしょう?

中原慎一郎(以下、中原:敬称略):自分たちにとって楽しいイベントが年に1回できた、という感触は鹿児島の人たちの中にもあるみたいで、誘い合って行くというよりは、最初からみんな行く前提でいる。もっと言うと、昨年はこんな感じだったから、今年はこうしたい、というように何かしら考えながら参加している人は多いかもしれないですね。

-それは鹿児島全体の雰囲気として、でしょうか?

中原: 芯は間違いなく鹿児島にあるよね。

坂口: うん、そうですね。

中原: あくまで、実体も中心となる人たちも鹿児島なんだけど、そこに連れられるように県外からも「鹿児島楽しそうだ」って来ている感じはあるかも。

坂口: そこは狙っていたところでもあって。例えば、フジロックっていうのは新潟で開催されているけど、実際には新潟の人たちってあまり参加していない。僕らはそういうことをやりたかったわけじゃなくて、鹿児島の人が楽しんで、鹿児島の人がパフォーマンスをして、その楽しさに引き寄せられるように県外の人が遊びに来る、っていう。まあ、鹿児島に行く口実みたいになれば面白いと思うんですよね。

-イベントを始めたそもそもの経緯についても聞かせてください。

中原: ある廃校になった校舎があって、そこを「森の学校」と名付けて、その学校の敷地内に住む北島さんという方が地域住民のために週末ワークショップを開催していたのが始まりなんですよ。それで、その北島さんが地元の長崎に帰るというので、偶然、ちょっとした縁があった僕がそこの家を譲り受けて何かやることにしたんです。

坂口: ちょうど4年前くらいの話ですよね。

cf_gnj_sub01.jpg 会場となる「森の学校」。緑豊かで、ゆったりとした時間が流れる。

中原: 最初はそこでゆるーくイベントをやったり、ワークショップをやったりしていたんですが、その後、2008年に僕が鹿児島に「DWELL」というお店を作ったり、うちの岡本さんが『ぼくの鹿児島案内』という本を出したり、そういうのがきっかけで自然に僕のお店に色んな作家さんが集まり始めて。それで、そこに集まる人たちの面白さみたいなのを目にして...

坂口: そうですね、僕が中原くんと久々に会ったのがその頃で、もともと音楽イベントの企画をずっとやってきていたのですが、僕が理想としていたのは音楽だけじゃなく、色んなジャンルのアーティストや人たちのつながりから面白いものが生まれる、ということだったんですよね。最近は東京に限らずどこでも、音楽は音楽、その中でもジャンルは細分化していて、タコツボ化していると感じていましたし。

中原: うんうん。

坂口: それで、中原くんが鹿児島でやっていた「DWELL」の周辺にはすでにそういう色んな方々がいて、ここでイベントをやったら絶対に盛り上がるだろうな、と。中原くんに会場のことを相談したら、先ほど話した「森の学校」の名前が挙がってきて、それで走り始めたという感じでしたね。

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