ー金子さん、そのときのことは憶えてますか?
金子:はい。今思えばなんですが、なんか不思議そうな目で見てるなと(笑)。今の尾崎くんの話を聞いてると、あの時の目はそういうことだったのかなって。そのときたくさん会話を交わしたわけじゃないんですけど、なんとなく面白そうな子だなって思ったんです。会社としても、僕が何年か前に入って以降、全然下がいないという状況で、次のバイヤー候補を探してたんです。ただ、尾崎くんがバイヤー職を希望しているとは知りませんでしたが。
尾崎:希望できるような立場になかったので、オフィシャルには希望していませんでした。もちろん心の中では希望していましたが。
ーそれで、フックアップしたという感じなんですか?
金子:そのあと東京に戻って、ディレクターと話をして、それが足がかりにはなったと思います。
尾崎:それからというものの、本社からやたらと人が来るんですよ(笑)。後で聞いたら「尾崎ってどういう奴なんだ?」ということで来ていたらしく。それで冬のある日、店長から電話がかかってきたんです。そのときちょうど東京にいたんです。しかも「JSバーガー」に。
ー偶然にも(笑)。
尾崎:はい(笑)。で、「尾崎、東京行きたいんか? 本社からバイヤー候補で来いって言われてんねん」って関西弁で言われたのを憶えています。その時点で入社から半年経ってなかったですね。9月入社で、そのとき1月だったので。
ー早いですね、えらく!
尾崎:そうなんです。ただ、お話をいただいたときはまだ僕に早いですって、一回お断りしてるんです。
ーそれはまたなぜですか?
尾崎:ちょうどそのとき車を買い換えたばっかりだったんです(笑)。ローンも残ってるし、東京には車持っていけないしって。それと、真面目な理由としては、きちんと販売の経験も積んでから行くべきだと思っていたんです。それで、お断りしたら店長にマジギレされまして(笑)。「今逃したら次もう一回声かかるわけないやろ」って。「あ、ないんだ」と思いつつ、お引き受けさせていただきました。
ーそれで晴れて金子さんと働くことになったわけですね。
尾崎:ただ、最初はディストリビューターという、入荷した商品をお店に振り分ける仕事をしていたんです。ディレクターからは半年後にバイヤーにするから、とりあえずディストリビューターをやってバイヤーの流れを覚えておけと言われました。
ーなるほど。
尾崎:3月に辞令が出て、4月から東京に来て、6月にはピッティがあったんですけど、そのピッティに出張に行くことになったんです。忘れもしません、6月25日です。そのピッティが初めて金子さんと一緒に行った出張です。
金子:そうだったね。