Boolog A Go-Go!
石光 史明
VISUAL CONNEXION C.E.O
NY発のヴィジュアル誌、VISIONAIRE<ヴィジョネアー>の日本総代理店を営んでいますが、最近はもっぱら映画鑑賞家として「つぶやいて」います。昨年は自腹観賞232本! 今年も観まくるぞぉ~♪
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2010.02.15
僕が17歳でミラノに単身で渡った時、思い切って飛び出したわりには「これ」といった進路が見出せないでいた自分に父親が電話で言った事をいくつか思い出します。
ひとつは、「学校に行くな。日本で学校が好きじゃなかった奴が、海外に行って急に好きになるわけがない。」
もっともな事ですが、これはどちらかというと「無理をするな」という言葉の裏返しでしょう。
もうひとつは「とりあえずグレープフルーツを食べて、ビールさえ飲んでおけば死ぬことはない。」
確かに、これもある意味間違いではないでしょう(笑)。
そして、実はこれが一番実践した事なのですが...
「何もする事がない時は、公園に行って陽を浴びて本を読め。鬱にもならないし馬鹿にもならない。」
その言葉通り、僕は日々公園に足繁く通っては、様々な本に読みふけったものです。
内容は様々ですが、当時のミラノはとても閉鎖的(いまもそれほど変わったとは思えませんが)だったので、日本語の書物を手に入れるのは不可能に近く、もっぱら父親が送ってくれたものが主でしたが...
なので、基本的に彼の趣味(笑)。
「イタリアにいるんだから...」という最もな理由で塩野七生から、マキアベリの君主論。はたまたフリーマントルの「チャーリー・マフィン」シリーズなど幅広かったのを覚えています。
その中で僕が好んで読んでいたのが、英国の作家、ディック・フランシスの「競馬シリーズ」といわれるものでした。
自身の競馬騎手として活躍した経験を活かしたその作品は、競馬に全く興味のない自分ですら、競馬場の歓声や厩舎の佇まい、馬たちの息づかいにそれを取り巻く人々の熱意や下心までが手に取るようにわかる描写に興奮し、時間が経つのを忘れて読みふけったものです。
そのディック・フランシスが亡くなったというニュースが、いましがたTwitterのタイムライン上にニューヨーク・タイムズの速報という形で流れてきました。
どんなにイヤな事があっても、大なり小なりそれなりの悩みがあった時も、彼の作品のを読みふける事で没頭し、その時ばかりは別の世界にいる事ができたからこそ、今の自分があるのだと思います。
もちろんそれは彼の作品だけに限ったわけではありませんし、ちょうど今の自分が映画を観に行ったり、泳いだりする感覚に近いんだと思います。
ただ気になって調べてみると、僕が最後に買った「再起」という作品は、2000年に奥様を亡くして以来、長い間発表していなかったものの、2006年に息子さんの力をかりて出版したものだそうです。
そして、なんと先月、日本で最新刊が翻訳され発売されていたのです。
もちろんワンクリックで注文したのは言うまでもありません。
DICK FRANCIS
1920 - 2010
ご冥福をお祈りします。
素敵な作品をありがとうございました。
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