小西康陽・軽い読み物など。
小西康陽
音楽家
NHK-FM「これからの人生。」は毎月最終水曜日夜11時から放送中。編曲家としての近作である八代亜紀『夜のアルバム』は来年2月アナログ発売決定。現在、予約受付中。都内でのレギュラー・パーティーは現在のところ、毎月第1金曜「大都会交響楽」@新宿OTO、そして毎月第3金曜「真夜中の昭和ダンスパーティー」@渋谷オルガンバー。詳しいDJスケジュールは「レディメイド・ジャーナル」をご覧ください。
pizzicato1.jp
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http://www.readymade.co.jp/journal
ブログ放置・3
2011.09.09
8月に書こうと思っていたこと。いくつかあったはずだが、もうあまり思い出せない。
鹿児島でのライヴのときに会場のフリー・マーケットで手に入れた1970年代のデザイン誌を、真夜中にぼんやりと眺めていたら、またレコードやCDのジャケットが作りたくなってしまったこと。
そのとき、この先、自分にレコード・ジャケットを作る機会は、もうそれほど残されていない、と思った。自分がやってみたかったのは、もしかしたら音楽を作ることではなくて、パッケージを作ることだったのではないか。自分は選ぶべき職業を間違えたのではないか。
ちょうど、編曲や作曲の仕事で頭を悩ませていた時期で、そのうえ、今年作ったアルバムに対する取材などが落ち着いた頃でもあった。何となく、自分は音楽の仕事に向いていなかったのではないか、と考えていたところだった。
26年も音楽の仕事をしてきて、やっと今頃気がついたのか。そう思う人も多いに違いない。だが、いままでは、なるべくそのことを考えないで済むように、あくせくと仕事をしてきたのだ。
このブログでそのことを突き詰めて考えるのは止めておこう。みんな秋冬物の服の話や、美味しかった店の話をしている。
●
最近目にしたCDのジャケットで、感心したものが一枚、あった。
それは藤本一馬さんの『SUN DANCE』、という作品だった。http://amzn.to/n2JUKL
きれいな写真だし、強いイメージだ。でも、なぜ上下に模様柄のスペースを取っているのだろうか。
もちろん、音楽はまだ聴いていない。この先も耳にすることはないかもしれない。彼の所属していたオレンジ・ペコーというグループの音楽は知っている。
このジャケットの意匠は、はたして音楽に合っているのか。そもそも、どうして野を駆ける馬なのか。
と、考えたところで気がついた。「一馬」さんのソロ作品だから、この写真なのか。
語呂合わせ、と解って、思わずニヤリとしてしまった。
このジャケットのアート・ディレクターは、吉永祐介。自分のアルバムのデザインも、この男に頼んだ。元レディメイドの社員。ときどき、一緒にDJをする友人。そしていまは、わりと人気デザイナーであるらしい。
いつも手堅い仕事をするのは知っていたけれど、こういう頓智をここまでシンプルかつ美しいデザインに落とし込む技を見たのは初めて。お見事。
だが、もっと突き詰めて考えるなら、本当にきれいなアイデアを出したのは、この名前を選んだ藤本さんのご両親、ということになるのか。
鹿児島でのライヴのときに会場のフリー・マーケットで手に入れた1970年代のデザイン誌を、真夜中にぼんやりと眺めていたら、またレコードやCDのジャケットが作りたくなってしまったこと。
そのとき、この先、自分にレコード・ジャケットを作る機会は、もうそれほど残されていない、と思った。自分がやってみたかったのは、もしかしたら音楽を作ることではなくて、パッケージを作ることだったのではないか。自分は選ぶべき職業を間違えたのではないか。
ちょうど、編曲や作曲の仕事で頭を悩ませていた時期で、そのうえ、今年作ったアルバムに対する取材などが落ち着いた頃でもあった。何となく、自分は音楽の仕事に向いていなかったのではないか、と考えていたところだった。
26年も音楽の仕事をしてきて、やっと今頃気がついたのか。そう思う人も多いに違いない。だが、いままでは、なるべくそのことを考えないで済むように、あくせくと仕事をしてきたのだ。
このブログでそのことを突き詰めて考えるのは止めておこう。みんな秋冬物の服の話や、美味しかった店の話をしている。
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最近目にしたCDのジャケットで、感心したものが一枚、あった。
それは藤本一馬さんの『SUN DANCE』、という作品だった。http://amzn.to/n2JUKL
きれいな写真だし、強いイメージだ。でも、なぜ上下に模様柄のスペースを取っているのだろうか。
もちろん、音楽はまだ聴いていない。この先も耳にすることはないかもしれない。彼の所属していたオレンジ・ペコーというグループの音楽は知っている。
このジャケットの意匠は、はたして音楽に合っているのか。そもそも、どうして野を駆ける馬なのか。
と、考えたところで気がついた。「一馬」さんのソロ作品だから、この写真なのか。
語呂合わせ、と解って、思わずニヤリとしてしまった。
このジャケットのアート・ディレクターは、吉永祐介。自分のアルバムのデザインも、この男に頼んだ。元レディメイドの社員。ときどき、一緒にDJをする友人。そしていまは、わりと人気デザイナーであるらしい。
いつも手堅い仕事をするのは知っていたけれど、こういう頓智をここまでシンプルかつ美しいデザインに落とし込む技を見たのは初めて。お見事。
だが、もっと突き詰めて考えるなら、本当にきれいなアイデアを出したのは、この名前を選んだ藤本さんのご両親、ということになるのか。