HOME  >  BLOG

Creator Blog

小西康陽音楽家NHK-FM「これからの人生。」は毎月最終水曜日夜11時から放送中。編曲家としての近作である八代亜紀『夜のアルバム』は来年2月アナログ発売決定。現在、予約受付中。都内でのレギュラー・パーティーは現在のところ、毎月第1金曜「大都会交響楽」@新宿OTO、そして毎月第3金曜「真夜中の昭和ダンスパーティー」@渋谷オルガンバー。詳しいDJスケジュールは「レディメイド・ジャーナル」をご覧ください。pizzicato1.jphttp://maezono-group.com/http://www.readymade.co.jp/journal

小西康陽・軽い読み物など。

小西康陽
音楽家

NHK-FM「これからの人生。」は毎月最終水曜日夜11時から放送中。編曲家としての近作である八代亜紀『夜のアルバム』は来年2月アナログ発売決定。現在、予約受付中。都内でのレギュラー・パーティーは現在のところ、毎月第1金曜「大都会交響楽」@新宿OTO、そして毎月第3金曜「真夜中の昭和ダンスパーティー」@渋谷オルガンバー。詳しいDJスケジュールは「レディメイド・ジャーナル」をご覧ください。
pizzicato1.jp
http://maezono-group.com/
http://www.readymade.co.jp/journal

Blog Menu

またブログ放置。

2011.10.31

このエントリーをはてなブックマークに追加
またしてもブログを放置していた。このところ、また忙しかったのだ。
 
先週末、クラブで顔を合わせた友人に、
 
「最近ブログの更新止まっていますよね?」
 
と言われた。
 
それをハッキリと口に出してオレに言う奴に初めて会ったよ、と答えたのだが、その男はクラブからの帰り際、自分の重いレコードバッグをタクシーを拾うところまで運んでくれたので、じゃあ、御礼に近々ブログを更新する、と口約束したのだった。
 
じつは九月の終わりには、新宿のクラブにこのフイナム編集部のKさんがやってきて、引き続きブログをお願いします、と言ってくれた。12月に絶対に成功させたいと考えている大きなパーティーを友人と計画していて、そのパーティーのことをフイナムで扱ってくれるなら、引き続き書いてもいいですが、などとダーティーな駆け引きをした手前、そろそろブログを更新しなくては、とこちらも考えていたところだった。
 

 
忙しかった、とは言ったものの、何をしていたのか、あまり思い出せない。
 
前回のブログを更新した直後に、「笑っていいとも」、というTV番組の音楽の仕事をした。
 
オープニングの「ウキウキWATCHING」曲と、テレフォン・ショッキングのテーマ・ジングル、ゲスト登場のジングル、CMへ行くときの「Qカード」と呼ばれるジングル、そして後テーマ、の五種類をすこし新しくしたい、というオーダーを、たったの10日前にもらって、なんとか仕上げた。
 
なんとか仕上げたものの、編曲に手を付けた最初の何日かは、かなり焦っていた。
 
いちばん難しかったのは、<すこし新しくしてほしい>けれども、<大胆にイメージチェンジしてほしい>わけではない、という匙加減。何しろ30年間もまったく変わっていない音楽だったのだから、大幅に変えては出演者もスタッフも戸惑うし、何より視聴者も困惑する。
 
じっさい、オンエアを観た限りでは、それほど変わっているようには聴こえない。スタジオALTAのステージに立っている出演者が「ずいぶん変わりましたね」、と言っていたのを観たが、残念ながらお茶の間では出演者たちの喋る声に掻き消され、あまり違いは判らない。
 
この場所で言い訳をしても仕方がないのだが、納品してしまった後もずっと、いまでもなお、この仕事のことは考えている。もっと良いアレンジはなかったのか、もっと印象的な聴かせ方がなかったのか。
 
ひとつだけ、この仕事をして良かったことは、伊藤銀次さんが作曲し、鷺巣詩郎さんが編曲したこのテーマ曲が、じつによく作られた素晴らしい音楽だ、と気付いたことだった。ここ数年、グッドタイム・ミュージック、という言葉を耳にするが、その言葉が指し示す音楽の、日本で作られた最良の作品がこの「ウキウキWATCHING」だということを理解した。
 
番組のプロデューサーであるK氏には、いつか米国のバンド<NRBQ>に、この曲のカヴァーをオファーしてほしい、というアイデアをメールで伝えた。TVや広告の世界では、ときどき耳を疑うようなキャスティングや企画が通ってしまうことがあるから、これも決して夢のまた夢、というわけではない、と思うのだ。
 

 
前後して手掛けていたのは、「からあげクンのうた」だった。
 
おなじみ、コンビニエンスストア・チェーン<ローソン>の大人気商品である<からあげクン>の発売25周年を記念したキャンペーンの一環として、「あきこロイドちゃん」、というキャラクターに歌わせる楽曲の歌詞を一般公募する、という企画。
 
この仕事の話が来たときは、一も二も無く飛び付いた。
 
まず、いわゆる<ボーカロイド>に初めて歌わせる、という試み。前からやってみたかったのだけど、なかなかチャンスがなかったんですね。仕事以外で音楽を作ることがないもので。
 
歌詞の公募、というのも楽しい。かつて、自分が幼かった頃には、「週刊平凡」、「週刊明星」、あるいは「セヴンティーン」、といった女性誌・芸能誌で人気スターが歌う新曲の歌詞の一般公募、というものが盛んに行われていたのだが、こういうカタチで甦るとは思ってもみなかった。
 
だが、何よりも、自分自身が<からあげクン>のファンである、ということが大きい。自分の周りの人間でも、嫌いという人間を知らないし。友人に話してニコニコ笑ってもらえる仕事なら、絶対に引き受けたい、と思っているので。
 
尊敬しているロック・ミュージシャンのKさんは、とあるファースト・フード・チェーンがスポンサーを務めるラジオ番組に長年出演していた縁で、そのレストランの<ブラックカード>を所有している、という話を、いつかどこかで聞いたことがある。そのカードを提示すれば、全国どの店でも食事が出来るのだという。
 
お洒落で美食家。美味しいものを少しだけ、美酒と共に味わうというイメージの、件のロック・ミュージシャンと、あまりにも有名なファースト・フードの取り合せが、このエピソードの素晴らしいところなのだが、自分もまた、この「からあげクンのうた」の仕事を引き受けるときに、ちょっと<からあげクン・ブラックカード>なるものを考えてしまった。いや、そんなモノはありません。
 
この「からあげクンのうた」、一般公募は締め切られ、すでに歌詞の審査選考が行われた。ご期待ください。
 

 
週末は旅が多かった。DJの仕事で、新潟。仙台。札幌。高松。相も変わらず、7インチのレコードばかりを買っていた。
 
レコードの話、音楽の話なら、いくらでも書くことがあるのだけれど、なんとなく、このウェブサイトの読者が好んで読みたいと思っている話題は音楽のことではないらしい。ただし、アイドルの話は別として。それもブログの更新を遅らせる理由のひとつ。けっきょく自分はほとんどの時間、音楽とレコードのことを考えているのだ。
 
旅の話に戻ると、じつは先の二つの仕事が一段落したところで、三泊四日の海外旅行にも出掛けていた。その話はまた、いずれ。