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蕎麦。
2007.02.07
事務所の三軒くらい隣にそば屋がある。と言っても勘違いされそうな三宿の「板蕎麦 山灯香」ではなく、さらに横の普通のしみたれたそば屋だ。事務所で腹が減るとよくそこへ入る。そこには何故か懐かしいマンガ「B・B」だけが全巻揃っていて、行く度に何気なく読んでいた。するとだんだん続きが気になり、いつしかそばを食いにというより、マンガを読みに行くようになっていた。
先日、またいつものようにB・Bを読みにそば屋へ入った。ところが時間がなくて一冊読みきれなかった。ルール違反は承知の上でそこのおばちゃんに「すぐ返すから持って帰っていいか」と尋ねた。すると「いいよ」って気持ちよく貸してくれた。でもそれならお言葉に甘えてって何冊かまとめて借りてしまうのが早いけど、そこは礼儀を重んじてありがたく一冊だけ持ち帰らせてもらった。
翌日、そのマンガを返しに行った。お腹はあまり空いてなかったけど一応、礼として一番安いもりそばを一つ注文し、いつものようにB・B第6巻に目を通し始めた。すると「おまちどーさま」とテーブルに盆が置かれた。「ありがとー」とマンガから目を移すと、そこにはもりそばが二枚置いてあった。慌てておばちゃんの顔を見ると無言で微笑んでいる。それは「たーんとめしあがれ」というような可愛い息子を思いやる母親の眼差しだった。
困った。つーか腹へってねーし。むしろマンガ読みたかっただけだし。通常、注文した料理をたとえ残したとしても同じ金を払うのだから失礼とは思わない。ただこーゆーのは微妙だ。そこに「優しさ」というサービスがプラスされている。ありがたい事だが、今回のような場合、それは脅迫に変化する。麺類は好きだ。一日三食ずっとでもかまわない。ただ、腹が空いてればの話だ。もう、おばちゃんの顔色と、もりそばを交互に見ながらそれを何とか無理やり腹に押し込んだ。まあ寒空にTシャツ一枚でやってきて、500円のもりそば一枚じゃ、そらおばちゃんも不便に思うか。ごめんなさい。
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