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睡眠。
2007.04.18
やっと普通の生活に戻れた気がする。しばらく寝る間も惜しんでちょっとした作業を行っていたので、先週くらいは疲れてボロボロだった。以前ここで書いた気もするけど普段はあまり睡眠をとらない。けれども疲れなのか、単純に年齢のせいか、珍しく週末は一日中眠りこけていた。ほとんど気絶にちかい。眠るのがあんなに幸せとは、普段はそれほど感じないのだけど。
昔、学生時代の友人にNという男がいた。一緒に悪さばかりしていた親友というか悪友で、この男が嘘みたいに寝てばかりいるヤツだった。一度寝てしまうとしばらく死んだように起きない。本人曰く、平均睡眠は毎日9時間だそうだが、ヘタすると12時間くらい平気で寝ていた。当然、まともに授業が受けられるはずもなく、だいたい3、4時限目あたりからの社長出勤だ。理由は違えどボクも似たようなもんだったが、ともかくコイツは酷かった。わけあって中学から一人暮らしだった彼のアパートの窓から、彼の寝ている姿は見えるものの、窓を叩いて大声で呼んでもピクリともしない。最終的にその窓を外し部屋に上がりこむのだが、殴っても蹴ってもそれでも起きないのだ。ある種の睡眠障害、ほとんど病気だった。はたしてコイツは将来、社会で生きていくことができるのだろうかと、ギリギリアウトな自分が、完全アウトな彼の将来を憂いたりしていた。
まあ、そいつには余計な世話だったかもしれない。でも同じような心配を抱かせるヤツが実はもう一人いる。先日、晴れて我が事務所の所属スタイリストになったUNOだ。
彼のアシスタント歴は長かった。周りの誰よりも長かった。彼がスタイリストを志し上京してきた日のことを思い出す。ボクが某先輩スタイリストに忙しいからと頼まれ手伝いをしていたところ、やって来たのが彼だった。上京してきていきなり慌しい撮影現場、テンパってるところへ、さらに別の現場から足りないアイテムを至急届けろと指令が下る。青森から東京に来て右左どころか前後もわからずいきなり運転。しかも高速飛ばして横須賀まで来いっていくらなんでも無茶ぶりすぎだ。それでも何とか地図をみながら現場に到着すると、
「とっくに終わったから帰っていいわよ」
先輩女アシスタントの冷たい一言。それが22才の彼の上京初日だった。
UNOは現在29才。7年も何をしていたのだろうか。その理由が睡眠である。彼も高校の友人と同様、一旦寝ると起きれない人間だった。寝坊が原因で幾度となくクビを宣告されるも、その人柄からか周りに助けられ、なんとか独立へと漕ぎ着いた。
しかし以前から思っているが、そもそも彼はアーティスト向きな人間だ。書道家の親を持つ筆の腕前は相当なものだし、加えて絵の才能にも長けている。うちで制作している服のグラフィックなんてほとんど彼の手書きによるもの。茨の道かもしれないがスタイリストなんかよりそっちの道を探求したほうがいい気もする。かといって、どんな世界であれ寝坊はダメだろーけどね。そんなわけで、うちの期待の新人よろしく頼みます。
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