〈エルメス(HERMÈS)〉の男性向けのスタイルコードをつくった人物といえば、ヴェロニク・ニシャニアンです。
彼女は37年以上にわたり、このメゾンのメンズ部門を牽引。流行り廃りの激しいファッションデザインに抗うかのように、時流にとらわれない服づくりを提案してきました。
長年仕事をともにするメンズシルク部門のクリストフ・ゴワノーはヴェロニクのクリエーションには常に「明確なビジョンがある」とHOUYHNHNM's coverageで明かしています。
そんな〈エルメス〉のメンズの世界において密かに人気を集めるのが帽子です。当連載でもこれまでキャップやバケットハット、ベレーを取り上げてきました。毎シーズン、どんな格好にも合うベーシックなものからファッション性の高い色柄のものまで、さまざまなタイプが店頭に並びます。
これらに続く新作が「マイルス・キュイール」。
そもそも「マイルス」といえば定番のキャップのひとつであり、デザインやディテールに手を加えながらリリースされてきました。
マイルス・キュイール
¥200,200
この「マイルス」がまとうのは、プレーンな黒のカーフレザー「ヴォー・ニュートン」。それは見るからに艶やかで質のいい、耐久性に富むグレインレザーです。
見どころは内側のシルク素材のライニングにも。そこには馬の絵で知られ、〈エルメス〉のスカーフ「カレ」のイラストを長年手掛けるフランス人画家、ユベール・ド・ワトリガンのドローイング作品「レ・ゼタロン」があしらわれています。
手に取るひとだけが楽しめる、内側のプリント。
抜かりない後ろ姿も見事だ。
そして、ディテールに目をやると、日差しを遮るバイザーの長さは7cm。後ろのスナップボタンでサイズ調整ができるようになっています。
他の〈エルメス〉の製品と同様に「マイルス・キュイール」もまた、手に取るひとに寄り添い、あらゆる場面で期待に応えるでしょう。
Photo_Hiroyuki Takashima

