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スタイリスト松川総の、極私的なタイマーケットの歩き方。
Thailand is the land of happiness.

スタイリスト松川総の、
極私的なタイマーケットの歩き方。

探さずともSNSやAIが勝手にファッションを提案してくれる時代に、自分の足で歩いて探す。時間はかかるし失敗もするし先が見えないけど、見つけたときの高揚感は何にも代え難いものです。 スタイリスト松川総さんとともに2日間にわたってタイはバンコク周辺のマーケットを巡りながら、そんなことを考えました。ほぼ営業終了していた真夜中のチャトチャック市場にはじまり、有数な古着マーケットであるシーナカリン鉄道市場まで。 驚愕の36点の購入品はどのような経緯で手に入ったのか、現地で撮影した写真と帰国後の回想インタビューを合わせてお楽しみください。松川さんならではのニッチな尺度も必見です。

Chapter 3_シーナカリン鉄道市場で見つけた、Tシャツ屋。

市場全体の営業は木・金・土・日のみで、時間は17:00〜翌1:00。飲食店もありお酒も飲めるので、爆買い注意。

ーバンコク市内から車で1時間。古着のマーケットとしても有数の「シーナカリン鉄道市場」にやってきました。ここでは主にTシャツ屋に立ち寄りましたね。Tシャツを選ぶときの松川さんの基準はなんですか?

松川: Tシャツはお店の色が出ますよね、バンドTとかカレッジものとか、変なものが多いとか。個人的にはその変なTシャツのセンスに惹かれることが多くて。タイでは縫製やタグで年代を見つつも、プリントに惹かれたり、割と直感で選びましたね。バンTに関しては、どれが本物かレプリカかがわからないぐらいになってて、そのなかでもフィッシュはずっと探してて、タイではいい価格で買えました。

ーシーナカリン市場のTシャツ屋2軒は、それぞれどうでした?

1軒目。店名は不明。壁面には市場でも高値で取引されているバンドTシャツやロンTがちらほら。店主はレジ脇でDJを回していて、店内は陽気な雰囲気。

松川さんが購入したTシャツは、大体1枚600〜900バーツ(約3,000〜4,500円)。

松川: まずここは日本人が好きそうなチョイスだと思いました。バンドTシャツが充実していて、それなりに値段もつけていて、キースヘリングとかパタゴニアもあって、日本の古着屋と近しかったですね。

2軒目。店名は「CHOCO STYLE」。四方八方Tシャツの山だった。サイジングはやや大きめの印象。

古着の買い付けをしていただけあって、ハンガー捌きは異常な速さだった松川さん。話しかけるのもすこしはばかられた。

松川: ここはいわゆるなものも置いていたし、古いスポーツものやキャラクターものもあって、そのなかで自分が選んだのはそんなに高くないB級もの。自分で着る用ではなくて、モデルとか俳優さんの衣装を用意するときに、こういうのは変化球で効いてくるかなと。

コビー君のTシャツが5種類も見つかった。当時、広くPRをする目的もあって、全26話のアニメ「コビーの冒険」も制作されたらしい。

ーオリンピックTシャツもありました。

松川: 1992年に開催されたバルセロナオリンピックのこのキャラクター、何君かわからないけど、こんなに集めている店はそうそうないよね。(キャラクターの名前は正式にはコビー君)

ーお店側の意図が感じられますよね。松川さんにとっていいTシャツ屋の定義はなんでしょう。

松川: 店主のこだわりがTシャツはもろに出ると思っているので、メルカリでも高値になっているTシャツをお客さんに対してこれ好きでしょという目線で出してる店よりは、そういう視点じゃない店の方が魅力的ですよね。

ーTシャツ以外にも気になる店はありましたか?

松川: 学生ジャージがたくさんあったところもツボでした。アディダスでもナイキでもないノーブランドのジャージがよかったです。学生さんのだし小さくて。

外灯に照らされて、不気味な雰囲気の屋外で見つけた店。店主はおらず、フリースタイル。

学校名と思われる漢字や番号がプリントされていて、中国や台湾、日本などで使われていた学校指定のジャージであることがわかる。

ー帽子屋はどうでした?

帽子の山から松川さんが掘り出した4つ。左端は韓国の農薬メーカー東方アグロの商品名「확타(スタブ)」のキャップ、右から2番目は駐車管理という意味の「주차 관리(チュチャ クァルリ)」が描かれたキャップ。

フロントに韓国国旗が配された、黄色と赤のツートンのキャップ。深さはバッチリとのこと。

松川: ハングル文字が入ったキャップもよかったですね。このあいだ、(電気グルーヴの)卓球さんの衣装でこれを用意したら、「変なこと書いてないよね」って確認してました(笑)。キャップはメッシュキャップが個人的に好きで、後ろの裏のつばが緑とか、3本ラインが入っててツートンカラーだとか、珍品の証はいろいろあるんですが、僕は直感で選ぶタイプで。遊びものだから、古くて被り具合がよかったらとにかく買ってますね。あとはアメリカの田舎町の企業もの。

「アトモス」別注の〈アディダス オリジナルス〉『SUPERSTAR 82 GTX ATMOS “G-SNK”』のビジュアル。電気グルーヴ・石野卓球さんの衣装にタイで購入したキャップを採用した。

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