どんな役柄も自分のなかに生きている。
―先ほどの「常にフラットでいたいけど、どこか抜けていたい」という言葉は、俳優としての在り方にも繋がりますか?
青木: 俳優としてというより、ひとりの人間としてというか。飛び抜けてクレイジーでもないし、でもどこかに頑固なこだわりがある。余白を持っていないとしんどくなる、というのは自分の生活スタイルとして自覚していて、それが仕事にもリンクしてるなとは思います。直感や才能だけでは行き詰まるから、俯瞰することはすごく大事にしているんですが、演じるときはその俯瞰している自分すら飛び越えていく可能性を持っていないと、つまらなくなっちゃう。
―主観と客観を同時に持ち合わせているような感覚なんですかね。
青木: どんな役柄でも「自分のなかにある」という感覚を大切にしていて、台本を読んでいても、このキャラクターの気持ちがまったく分からないと思うことが、実はあまりなくて。自分なら絶対しないけど、まあそうなるひともいるよな、という感覚をすごく信じているんです。悪役でも、ひとを傷つける役でも、そういう凶暴性って誰しも頭のどこかに持っているものなんじゃないかなと。外付けでキャラクター性を乗せるんじゃなくて、自分のなかにあるものを膨らませて血を通わせていく。そっちの方が、リアルなキャラクターに近づく気がしています。
―大陸さんは映画を観るとき、キャラクターの感情や造形をしっかり追う方ですか?
大陸: 正直、理解できないなって思うキャラクターもいれば、自分もそうかもってなるキャラクターもいるし、どっちもありますね。ただ、小学校のときに観た映画と、30歳になって観た映画とでは全然見え方が変わってきていて。『ホーム・アローン』なんて、昔は主人公のケビンの気持ちがめちゃくちゃ分かったのに、いま観ると逆にお父さんやお母さんの感情の方が分かるようになってきた。コレクションをつくるときも、心境に合う映画を選ぶんですが、全部が全部1本の映画にはまるわけじゃないから、いろんな映画の断片を組み合わせて、自分なりの主人公をつくっていく感じです。
青木: めっちゃ面白いですね、それ。
―最後に、今回の対談を通じて〈ハミルトン〉の印象はいかがでしたか?
大陸: これから映画で〈ハミルトン〉の時計が出てきたら、ニヤッとしてしまいそう(笑)。『オッペンハイマー』とか『DUNE 砂の惑星PART2』も見返したくなりましたし、映画を観る楽しみが1個増えた感じです。
青木: ここまで映画と距離の近いブランドとは知らなかったので、それを知れたことが嬉しかったです。長い歴史を持ちながら、映画やゲームなどいろんなジャンルに柔軟に関わり続けている。変わっていくことを恐れずに、でも芯はブレていない。そういうスタンスは、自分の仕事にも重ねて考えさせてもらいました。もし自分が出演する映画で “マーフウォッチ” が小道具として登場したら、もうスタンディングオベーションですよ(笑)。そういう瞬間が来たら、すごく胸熱だなって。
カーキ フィールド マーフ 42mm
今回、大陸さんがつけた、“マーフウォッチ” のオリジナルのケース径42mmモデル。秒針には、マーフが方程式を解いた瞬間に叫んだ言葉「Eureka(分かった!)」がモールス信号で密かに刻まれている。¥157,300