PROFILE
1973年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後にビームスに入社し、販売スタッフを経て2012年よりSURF&SK8部門のバイヤーを担当する。2017年には、自身のブランドである〈SSZ〉をローンチ。加藤農園の4代目として鎌倉で野菜を育て、4日に1度は市場で販売も行う。
Instagram:@katoyasai
撮影現場のカオスさは幸せの証。
ーこういう会議室であらたまってインタビュー、みたいなのは少し変な感じがしますね。
加藤: いつもそこの「ゼッテリア」で女子高生に囲まれながらやってるもんね(笑)。あれはあれで話が弾んでいいんですけどね!(※フイナムの有料会員向けサイト『 Commune H 』で、加藤さんのコラムを毎月連載中)
ー今日は間違いなく音声を拾えてそうで安心してます(笑)。さて、今日お時間をいただいたのは、昨年末にちらっとうかがっていた「加藤本」がついにリリースされたとのことで、そのことについてお話を聞けたらと思っています。まずは出版おめでとうございます!
加藤: ありがとうございます。あのバタバタの撮影現場を知っているからこそ、こうして形になったのを見ると感無量ですね。
ーそもそも、この「ビームス」の本『I AM BEAMS』というのはどういうものなんですか?
加藤: 「ビームス」で働く社員、そのいち個人にフォーカスした本です。ファッションでもライフスタイルでもなんでもいいんですけど、そういうのに特徴があるというか、強いこだわりがあるというか、そんな社員をピックアップして1冊にまとめるというもの。社長の意向としても“スタッフをオモテに出していきたい”ってのがあって、まあ要するに社員のタレント化ですよね。ほら、うちって変わった社員が多いから(笑)
ーそして今回の加藤さんで11冊目。つまり11人目のスター社員として選ばれたわけですが、声がかかったときはどんなお気持ちでしたか?
加藤: 実は随分前からずっと言われてて。断り続けていたんです。
ーえ、そうなんですか!? それはまたどうして…?
加藤: おれはずっとZINEを自主制作していることもあって、“紙もの”の大変さっていうのは身に染みて分かっているつもりです。それでなくても自分の興味関心のあることって超幅広いから、それをまとめるのって難しいだろうなー、と。
ー言われてみるとたしかに。そんな断り続けていた本の製作、今回はつくろう! と思った背景にはどういう心境の変化があったのでしょう?
加藤: 理由はふたつあって。まずひとつが昭雄くん(スタイリストの長谷川昭雄さん)に背中を押されたこと。飲んでるときに昭雄くんが「会社がお金出してくれるって言ってるんならやった方がいいじゃん」って言ってくれて。
過去の「ビームス」限定コラボの〈ヴァンズ〉×スタイリスト・長谷川昭雄。
加藤: まあ確かになと思ったのがひとつと、もうひとつの理由はいろんな節目と重なったから、ですね。
ー節目というと?
加藤: 今年2026年で「ビームス」は50周年、そしておれは入社して30年、さらに〈SSZ〉が10周年。このタイミングを逃したらもう絶対やんねーだろうなと思って、出版に踏み切りました。
出版を記念して「ビームス 原宿」で開催されたリリースイベント。
ーそしていざ撮影に臨んだら、予想を遥かに上回る大変さだったみたいですね。
加藤: そうなんですよ。分かっちゃいたんですけどね。スタジオに運んだ私物の量は驚愕の30パッキン超え。それでもかなり絞った方なんですけど。その精査というか、ある種の断捨離みたいな作業がとても大変でしたね。
ー加藤さんは何度も断捨離の波を乗り越えてきてますもんね。
加藤: “手放さない”で有名だからね(笑)。家での精査がまず大変で、その次にスタジオでの精査が大変でした。当然だけど30パッキン分すべては撮りきれないから。しかもその30パッキンの中身ってのは実はだいたい本とか服。配送中に壊れたら嫌だなと思って、スケートデッキとかおもちゃとかフィギュアは自分のクルマで持ってきたんですよ。そうなると案の定、スタジオはカオスですよね。
ーでも家だと蒐集したコレクションをいっきに広げて見る、なんてことはできないから、ある意味幸せな時間だったんじゃないですか?
加藤: いやーそうだね、よく集めた。我ながら普通じゃねぇなって思いました(笑)。でもやっぱりその瞬間は記憶に残ってて、撮影もしてもらったんですけど、なんだかんだその写真がいちばん好きかもしれないですね。
ー加藤さんの夢や憧れが詰まった写真ですよね。広げてみることで新たな発見もあったのでは?
加藤: これは新たな発見というか再認識に近いんですけど、バラバラに集めているように見えて、なんだかんだ全部がリンクしてんだなって思いました。家に保管しているときは、例えばクリス・リンディグなら、彼に関するデッキと本とおもちゃがひとつのところにまとまっていなくてバラバラになってるんですけど、広げられるからこそまとめられて、ああ、同じアーティストでここまで揃えてたか、って再認識できたんです。
加藤: あ、これはクリス・ヨハンソン関連、これはジェイソン・アーノルド、ああこれはポーラス・ウォーカーのだ、みたいに自分の興味関心が横に広がっていってる感じが目に見えて分かった瞬間でしたね。
ーこの量を自宅でアーティストごとに並べるなんて、不可能ですもんね。このカテゴリーは載せるのを諦めた、というのもあるんですか?
加藤: サーフボードだね。3本は載せてもらったんですけど、これはもうシンプルにスタジオにそれ以上持って行けなかったです。本当は家にある30本、全部登場させたかったんですけど(笑)
ー撮影が終わって、例の30パッキンはもう片付いたんですか?
加藤: 少しは頑張ったんですけど、あと10パッキンくらいはそのまま置きっぱなしです。もう撮影から3ヶ月くらい経ってるんだけどね(笑)。あの年末年始の大変さをまだ引きずっちゃってて。一種のトラウマだね。だから片付けに関してはもう少しだらだらやろうかな、と思っています。