マグロのように、動き続ける人生を。
ー熱を帯び過ぎてかなり長めのインタビューになってきましたが、そろそろ締めくくりに移りたいと思います。あらためて、完成した本を見ていかがでしょうか。
加藤: これまでに〈SSZ〉で「裏〇〇」ってのをつくってきてるんですけど、実はこの本にもそのギミックが隠されているんですよ。表紙をひっくり返すと、スケシンさん(グラフィックデザイナー SKATE THING)デザインの「“裏”表紙」が現れるんです。
ーおおお! 凝ってますね。
加藤: なので好きな方を表紙にして飾ってもらいたいですね。ちなみにカバーを全部取るとシルバーになっているんですけど、これがスクラッチになってて。
ーそれはすごい! 削ると何が出てくるんですか?
加藤: いや、嘘ですよ(笑)
ー(笑)。本当かと思いました。加藤さんならやりかねないので。
加藤: 野菜の本『WE ARE 831』のときにもスケシンさんにお世話になったんですけど、あのひとは本当にかっこいい。ずっと憧れの存在です。ガキの頃も、いまも、影響を受け続けています。あとこの本でいうと、ZINEが差し込まれているのも気に入っています。
ーやっぱりそれは外せませんよね。加藤さんといえば“手書き”の印象があります。ZINEもそうですし、過去には社長への直談判の際に手書きの企画書をつくったこともあるとか。
加藤: 社長に対して直談判をしたのがおれが初めてだったみたい。それで、一時期会社内で直談判ブームになっちゃって。おれのせいなんだけどさ(笑)。いまは禁止になったみたい。
ーそんなエピソードもある社長が、本の帯に直筆のメッセージを書いてくださっているのは、なんだか感動しますね。
加藤: まあここはやっぱり社長かなって。『I AM BEAMS』をつくったのも社長だし、こんなおれを深い懐で見守り続けてくれてるしね。
ーバイヤー、ディレクター、農家…。何足もの草鞋を履いて走り続ける加藤さんですが、何がそこまで加藤さんを突き動かすんでしょうか。
加藤: すごいひとに囲まれてるからかな。昔っから影響されやすいタイプなんですけど、やっぱり自分より遥かに忙しいであろうひとたちが、クリエイティブを止めずにヤバイものをつくりまくっているところを見ると、自分なんてまだまだだな、もっとやんなきゃな、って思っちゃうんですよね。それが原動力かもしれないです。
ーそんな方々から刺激を受け続けているんですね。
加藤: 一方で、おれほどやってるヤツもいねえだろ、って思ってる自分もいて。服つくって、畑行って、朝から市場にも行って、サーフィン行って、音楽聴いて、チャリ乗って…、つねに何かをやっていて、マグロみたいに泳ぎ続けている感じなんです。
加藤: でも、根底にあるのはそのどれもを“楽しんでる”ってこと。じゃないと続けられないじゃん。何事も楽しく働きまくろうって思っています。そういう意味では、そんなめちゃくちゃなおれを受け入れてくれている「ビームス」には本当に感謝しかないですね。
ーこれから“ビームスの加藤忠幸”としてやりたいことはありますか?
加藤: 海外ポップアップをやってみたいですね。売れるか分かんないけど。前にちらっとやったことはあるんですけど、コロナの余波がまだ残ってた頃だったから、いまやったらどうなるんだろうなーとかは気になりますね。
加藤: もちろん国内でもどんどんやっていきたいです。ご当地コラボみたいなのも積極的にやっていきたいしね。
ーこの前の「崎陽軒コラボ」みたいなことですね。
加藤: そうそう。ああいうのっておもしろいじゃないですか。やっぱりそういうの考えるのが好きなんですよね。
ーでは「ビームス」を抜きにした“ひとりの男・加藤忠幸”として、今後なにかしたいことはありますか?
加藤: まあこういう性分だから、結局死ぬまで動き続けるんだろうけどさ(笑)。これは密かに考えてることなんですけど、「原宿レゲエ祭」をやりたいですね! イベント名だけでワクワクしてこない?
ーそれは壮大でめちゃくちゃいいですね! そのときにはぜひまた取材させてください。
加藤: もちろんだよ!