根っこの部分に共通点があるように思う。
水野桂一
2007年に開廊した原宿のアートギャラリー「GALLERY
TARGET」の代表。現在は国内外の現代美術作家の作品を扱い、展覧会の開催やギャラリー外での企画、アートフェアへの出展なども行う。花井祐介、長場雄、KYNE、LYら、カルチャー色の強い作家を紹介してきた。
ー今回「ビームスT」からのオファーを受けて、どんなことを思いましたか?
水野: 50周年って、本当にすごいことですよね。そして「ビームスT」も誕生から25周年を迎えるということで、大きな節目の年に「GALLERY TARGET」にお声がけいただけたのはとても光栄なことで、二つ返事で「やりましょう」とお応えしました。
ー今回10名の作家さんが参加されていますが、ラインナップに対して水野さんの意見もあったのでしょうか?
水野: セレクションはすべて先方にお任せしました。若い頃、「ビームスT」にお世話になった作家がほとんどで、恩返しのような形になってよかったなと思います。
ー水野さんは「ビームスT」に対して、どんな印象を抱いていますか?
水野: このお店ができたとき、画期的だなと思ったんですよ。小売というよりは、さまざまなカルチャーをTシャツに落とし込んで、アートの楽しさを発信することに重きを置いていた。それをいまでも継続しているというのが、本当に素晴らしい。ウィンドウのレールも25年前からずっと変わらないし、店内のレイアウトもこのまま。だけど色褪せていないというのが、本当にすごいなと。
水野: 集まっているひとたちもユニークな方々が多いですよね。若いエネルギーであふれているし、ギャラリーに集まるお客さんとは、またちょっと違う。そこにおもしろさがあると思うんです。
ー今回参加されている作家さんたちの作風も、Tシャツとの相性がいいですよね。
水野: そうですね。彼らがいまのような知名度を得る前から、おもしろいといってフックアップしてくれていたのが「ビームスT」で、それは本当にありがたいですよね。やっていることは本当に同じで、媒体がTシャツか、キャンバスかの違いしかない。アート作品はいろんな縛りがある中でセールスをしますが、Tシャツの場合はやっぱり波及効果がものすごい。そうしたダイナミズムには敵わないですね。
ー作品が歩いているようなものというか。
水野: もちろん、サインがあるかどうかや、質感の違いはありますが、Tシャツの場合は刷って気軽に着ることができますよね。それで多くのひとの手に渡るというのは、見ていて気持ちがいいですし、我々にとっても刺激になりますね。
ー時代もどんどんアートに対してオープンになっているような気がします。
水野: 「GALLERY TARGET」も来年で20周年を迎えますが、設立当時と比べて圧倒的にギャラリーの数が増えました。とくにコロナ禍を経て、アートの需要が高まった。うちにいる作家たちは、そうした現象が起こる前から地道に活動をして、やっぱり根っこの部分に共通点があるように思うんです。ひと言では表せないけど、辿ってきた道が近いというか。それは「ビームスT」も同じだと思うんです。
ーそうした想いを「COMMON GROUND」というタイトルに託したわけですね。
水野: そうですね。同じ時間が過ぎて振り返ると、接点はなかったけど、共通点は多い。アウトプットが違うだけで、やってることはそんなに変わらないんじゃないかなと。
ー今回の企画の見どころは、どんなところにありますか?
水野: それぞれの作家が考える「ビームス」を作品にしていますが、十人十色のはずが、不思議とまとまりがある。そこが面白いなと思いますね。「ビームス」らしさと、「GALLERY TARGET」らしさが共存しているというか。
ー最後に「ビームスT」に対して、今後期待することを教えてください。
水野: 「ビームスT」はカルチャーをファッションに変換する力をもっていると思うので、今後もノイズを感じるものや、未分類のパワーみたいなものを拾い上げて、発信を続けて欲しいと思います。私自身もそうしたことを心がけているのですが、改めて今回のイベントを機に、そうした気持ちが再び強くなったので。