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FEATURE|ALPHA INDUSTRIES
スタイリストの原田学が指南する、ミリタリーの選び方・取り入れ方。

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ALPHA INDUSTRIES

スタイリストの原田学が指南する、ミリタリーの選び方・取り入れ方。

ミリタリーの季節ともいうべき、秋冬シーズンの到来。それは本物志向な愛好家たちから若い世代にまで広く愛される、本格派ブランドの〈アルファ インダストリーズ〉の存在感がより増す時期とも言えます。今回、業界屈指の古着好きとしても知られ、その道20年以上のキャリアを誇るベテランスタイリストの原田学氏を指南役に、今季らしいミリタリーアイテムの選び方、取り入れ方について話を訊いてみました。

  • Photo_Shunsuke Shiga
  • Text_ Yuho Nomura
  • Edit_Hiroshi Yamamoto

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古着から知る、ミリタリーのいろは。

原田さんといえば古着の中でも特にアメカジに強いという印象がありますが、ミリタリーに対しても思い入れは強かったのでしょうか?

原田古着好きが高じてこの業界に入ったものの、実はそこまでミリタリーには傾倒していなかったんです。僕がスタイリストとして働き始めた頃は、既にミリタリーの分野を専門とする愛好家やマニアの方が沢山いて、そうした方々が今に繋がるミリタリーのあり方の礎を築いていたんです。でも、当時の僕は性格的にそうした先駆者から習うのではなく、もう少し自由度の高いアメカジのスタイルを追求したいと思っていました。

ただ、リサーチなどで古着屋さんをまわる中で、どのお店にも必ずミリタリーのアイテムは並んでいたので、やっぱり目にはしてきましたし、そのなかで個人的に気になったアイテムを自分なりに掘り下げて、徐々にミリタリーの背景にある本質的な部分にも触れるようになっていきました。

ミリタリーを知る上で古着という視点はやはり大切なんですね。

原田もちろんです。トレンドとなるアイテムはお店によって様々みたいなんですが、それでも毎シーズン、ミリタリーのアイテムは必ず売れると聞きます。それほど古着屋にとってミリタリーは生命線なんだと思います。昔からデニムとミリタリーは、古着の定番と言われていますからね。

実際、古着屋のオーナーの方は、古着の知識だけではなく、現行の商品もよく見ているんですよ。世間話を通して情報交換したり、そのお店の傾向なんかを聞いたり、あるいはお店にやってくるお客さんのリアルな着こなしを見たりしてみると、トレンドやニーズが浮き彫りになってくるんですよね。

古着屋に足繁く通うからこそ、得られる情報も有ると。

原田それはこの仕事をしていて、如実に感じます。僕の場合は基本的に古着屋をまわることが多いですが、そこを軸にセレクトショップやドメスティックブランド、はたまたメゾンブランドのコレクションを見ると、そのモチーフが手に取るように見えてきたりするんですよね。一方でミリタリーの本丸とも言える〈アルファ インダストリーズ〉の店舗に顔を出すと、ミリタリーにおける新しい発見があったりする。ここを、こう変えてきたのか、的な(笑)。

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気になったモデルを掘り下げていく楽しさ。

それは具体的にどんな発見だったのでしょうか?

原田わかりやすい部分でお話すると、〈アルファ インダストリーズ〉の代名詞であるMA-1の豊富なバリエーションには驚きました。メンズはもちろん、近年爆発的にヒットしたレディース、さらにはキッズまで取り揃えていて、シルエットも様々。オールレザーやプリマロフトといった素材も様々で、カラバリのボリュームも見応えがありました。

ヘリテージとして受け継がれてきたものを、きちんとモダンな視点でタウンユース仕様にアップデートしているんです。若い世代に支持されるのも納得だなと。しかも、実際にお話を伺うと、かつてのヴィンテージをモチーフにしたディテールが随所にあしらわれていたり。

あと、やっぱりこの時期はコラボレーションモデルが店頭に並んでいるのも魅力ですよね。それぞれのブランドの個性と〈アルファ インダストリーズ〉のフィロソフィーがプロダクトとして結実していくさまは、見ているだけでもとても勉強になります。

原田さん自身が〈アルファ インダストリーズ〉のアイテムを初めて手にしたのはいつ頃だったのでしょうか?

原田常に王道を避ける傾向があったので、実際にゲットしたのは意外と最近なんです…(笑)。たしか4〜5年くらい前。自分の好みに合うデザインとサイズ感の古着のMA-1を安価で見つけて、今買うならアリだなと勝手に自分なりに納得して買ったんですよね。

それはミリタリーの歴史的な背景よりも単純にプロダクトとしての格好良さに惹かれたということでしょうか?

原田変わったデザインや見たことのないモデルに惹かれてしまうんです。そこからモデルの正式な名称や年代、どんな目的を持って作られたのか、プロダクトの背景を掘っていくのが楽しいんですよ。先日もスーツタイプのフライトジャケットを見つけて、よく見たらそのモデルが電熱仕様で、コンセントに挿すようなプラグまで付いていて。デザイン的にも機能的にも面白いなって。

そういう変わり種を見つけるのも楽しみの1つだと。

原田ミリタリーだからといって、固定概念に縛られる必要はないと思うんです。僕らくらいの世代だと、どうしても固まったイメージにとらわれて、似たようなコーディネイトになってしまう傾向があるんですよね。フライトジャケットにはアーミーパンツやベイカーパンツ、足元はブーツ、みたいな。

それが決して悪いわけではないのですが、昔からもっとファッションは自由に着るべきだと思っていたので、個性のあるアイテムを見つけたりすると、ニヤリとしてしまうんです(笑)。ミリタリーって奥が深いし、自由度も高いので、スタイルとしてまだまだ可能性があるのだなと、アイテムを通して実感するんですよね。

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セオリーに縛られることのない自由な着こなし。

自由なファッションを楽しむ。もしかしたらそれは、若い世代を筆頭にミリタリーのスタイルが流行している現在の風潮とリンクする部分がありそうですね。

原田その指標を図る上でMA-1の着こなしを見るのが、一番わかりやすい。少し前まではあまりMA-1が売れていない時代があって、僕らの周りでも「今だったらあえてMA-1を着たいよね」っていう時期があったんです。

それこそ今の若い人たちのように袖をカットオフして素材を変えてみたり、ワッペンや缶バッジをつけてカスタムして着たりしていたんですよ。それからしばらくして、若い人たちや女の子の間で急激にMA-1が流行り出した。

ビックシルエットのサイズ感で着たり、合わせるアイテムもモードからストリートまで様々。僕らの想像には及ばないようなスタイルで、MA-1を自由に着こなしていたんです。そういったセオリーに縛られない若い子たちのミリタリーの着こなしは、刺激を受けましたね。

それはスタイリストという視点で感じたのでしょうか?

原田いや、個人的な視点ですね。そういったジェネレーションの異なるスタイリング感覚って、単純に新鮮じゃないですか。その新鮮な部分を素直に受け入れて、自分なりに咀嚼できればなと。やっぱり結局のところファッションは、自分らしく着ることが一番面白いですから。もちろん、そういった姿勢がスタイリストの仕事に言う切ることもありますが。

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アルファ インダストリーズは、年代を超えて愛せるブランド。

改めて原田さんにとって〈アルファ インダストリーズ〉はどんな存在ですか?

原田古着に明るくない人でも唯一知っているミリタリーブランドじゃないですかね。これほど認知度も高くて、〈アルファ インダストリーズ〉って聞くだけで安心できますよね。歴史も長く、ヴィンテージから現行品まで、その年代に合ったモデルを探し、その違いを楽しめるブランドってそんなに多くないお思います。入門編としても、また本物志向な人たちにもしっかりとアプローチができる、信頼のブランドなんですよね。

原田さんが考えるミリタリーの魅力ってどんなことですか?

原田やっぱり年代の差ですかね。モデルの形状やスペック、ディテールなど細かな部分から、当時の流行や社会背景、テクノロジーの進展まで見えてくるのってロマンがあるじゃないですか(笑)

そういった視点で現行の商品を手にとって見るのもいいし、古着と見比べてみるのもいい。とはいえ、まずは難しく考えずに、ファッションとして気軽に楽しむことが大事だとは思います。アメリカのスリフトストアで大量に売られているのも、今回紹介しているような商品も、決して高額ではないですからね。

その手に取りやすさが、いまの若い支持されている理由の1つなんじゃないかなと。

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原田さんが厳選した3つのアルファ インダストリーズと、その着こなし術。

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ワッペンでアレンジが施されたフライトジャケットは、ベーシックなアメカジスタイルを表現。「相性抜群のフランネルのチェックシャツに、スエードのセットアップやコーデュロイのキャップを加え、素材使いで季節感を醸し出してくれます。全体的には統一感があるので、トークンバッグやバンダナでアクセントにプラスしているのもポイントです」

〈アルファ インダストリーズ〉のCWU-45 / P ¥26,800+TAX(アルファ インダストリーズ)、〈ウエストオーバーオールズ〉のスエードジャケット¥54,000+TAX、スエードパンツ¥43,000+TAX(ともにトフ / 03-3711-7795)、ヴィンテージのヘビーネルシャツ¥12,800+TAX , ヴィンテージのサーマルシャツ¥3,900+TAX(ステップアヘッド / 03-6379- 4394)、ヴィンテージのコーデュロイキャップ¥3,990+TAX(ヒッコリー / 03-3419-4146)、ヴィンテージのキャンバススニーカー¥9,900+TAX , ヴィンテージのトークンバッグ¥3,900+TAX(ロスコー / 03-5378-2601)、ヴィンテージのチューブソックス¥600+TAX(ガソリン / 03-6454-6310)、ヴィンテージのバンダナ¥2,000+TAX(ジャンピン ジャップ フラッシュ / 03-5724-7170)

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ジャケットやコートに比べると薄手なキルトライナーを、あえてアウターとして活用したスタイリング。「ミリタリーではベーシックなオリーブカラーは、無骨な印象を与えつつも、綺麗な光沢が品の良さも感じさせてくれます。基本的にトラッドなアイテムで統一し、大人っぽいクラシカルな着こなしを提案してみました。個人的には、インナーダウンやライナーの下にはネックに主張のあるニットなどをレイヤードすることが多いので、オススメです!」

〈アルファ インダストリーズ〉のキルトライナー¥9,800+TAX(アルファ インダストリーズ)、〈HSアタイア〉のカシミヤタートルニット¥48,000+TAX、〈デンツ〉のレザーグローブ¥49,000+TAX(ともにHSアタイア / 03-6455-0122)、〈ニュアンス〉のスラックス¥35,000+TAX(アルファ PR / 03-5413-3546)、〈ステットソン〉のハット¥26,000+TAX(ステットソン ジャパン/ 03-5652-5890)、〈G.H.バス〉のローファーシューズ¥23,000+TAX(ジー・エム・ティー / 03-5453-0033)、〈ポートキャンバス〉のブリーフバッグ¥4,990+TAX(ヒッコリー / 03-3419-4146)、ヴィンテージのメガネフレーム¥12,800+TAX(ガソリン / 03-6454-6310)

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「ミリタリーアウターの中では汎用性も高く、人気の高いMA-1は、第一印象で気に入ったブラックカモの柄を選択。ここ数年はずっと無地が主流だったので、今年あたりは柄物が新鮮かなと。そしてその柄に合わせるなら、やっぱりストリートライクな合わせが一番しっくりきます」。全身をブラックのワントーンで構築しながら、オレンジのマフラーやバックパックのブラック、ホワイトのベルトなど、全体の配色を考慮した小物使いは、ぜひとも参考にしたいところ。

〈アルファ インダストリーズ〉のMA-1¥19,800+TAX(アルファ インダストリーズ)、〈マーカウェア〉のスウェットパーカー¥26,000+TAX(パーキング / 03-6412-8217)、ヴィンテージのTシャツ¥7,000+TAX(ジャンピン ジャップ フラッシュ / 03-5724-7170)、〈エリックハンター×ジャーナルスタンダード〉のラインパンツ¥9,800+TAX , 〈インバーアラン〉のマフラー¥21,000+TAX(ジャーナルスタンダード渋谷店 / 03-5457-0700)、〈カムズアンドゴーズ〉のニット&メルトンキャップ¥11,000+TAX(アルファ PR / 03-5413-3546)、〈ティンバーランド〉のブーツ¥24,000+TAX(ティンバーランド/VFジャパン / 0120-953-844)、〈キルナ〉のベルト¥3,000+TAX(フェイス / 03-5459-5801)、〈ロリンザ〉のバックパック¥30,000+TAX(ベストパッキングストア / 03-5773-5586)

ALPHA INDUSTRIES
電話:03-5604-8900
www.alpha-usa.jp

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