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インディペンデントなコンバース。新たな価値をまとう三者三様のコラボレート。

CONVERSE made by 3 designers.

インディペンデントなコンバース。新たな価値をまとう三者三様のコラボレート。

創業から今年で110年。アメリカ・マサチューセッツ州でシューズブランドとして生まれた〈コンバース(CONVERSE)〉。ファッションシーンにおける多大なる功績は、もはや説明不要でしょう。オールスターを筆頭に数々の名作を生み出し、さまざまなデザイナーやブランドとコラボレートを行ってきた同ブランドですが、今回「ジャーナル スタンダード(JOURNAL STANDARD)」のサポートにより、まったく新しい感覚を呼び起こす3つのモデルが誕生しました。デザインを担当したのは、〈グッドオル(GOOD OL’)〉の福田健太郎さん、〈10匣(TENBOX)〉のPiguさん、〈フラグスタフ(F-LAGSTUF-F)〉の村山靖行さんの3名。インディペンデントな精神を抱くデザイナー陣を迎え、“ニュークラシック”な3モデルの誕生秘話を語ってもらいました。

  • Photo_Shinji Serizawa
  • Edit_Yuichiro Tsuji
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いままでにない、新しい価値をまとったコンバースの3モデル。

左から〈CONVERSE × 10匣〉スニーカー ¥11,000、〈CONVERSE × GOOD OL’〉スニーカー ¥14,000+TAX、〈CONVERSE × F-LAGSTUF-F〉スニーカー ¥14,000+TAX

インディペンデントな精神をもった3つのブランドが〈コンバース〉とコラボレート。ベースとなるモデルは存在しつつも、そこに大幅なアレンジを加え、これまでになかった新しいアイテムが完成しました。これまでのヘリテージに対して敬意を表しつつ、前へと進もうする気概を感じる3つのモデル。果たしてこれらのアイテムは、どのような経緯で誕生したのか? そのストーリーを辿ります。

左:Pigu / 10匣

セレクトショップでショップスタッフ経験したのち、2017年に〈10匣〉を立ち上げた。独自のコミュニティーを築き、国内外のアーティストと積極的にコラボレートを行っている。

中:福田健太郎 / GOOD OL’

アメリカのカルチャーを背景に、自身がいいと思った物事をアイテムに落とし込んだブランド〈グッドオル〉を2007年に設立。最近はセレクトショップのディレクションも手がけた。

右:村山靖行 / F-LAGSTUF-F

原宿にあるヴィンテージショップのバイヤーとして活躍したのちに〈フラグスタフ〉を2014年にスタート。音楽やストリートカルチャーを背景にクリエーションを展開する。

わからないことがあったほうがライブ感があっていい。

今回のプロジェクトはどのようにしてはじまったのでしょうか?

福田そもそもはぼくとブランド担当者との会話からスタートしたんです。〈コンバース〉は大きなブランドなだけに、一度の企画で生産しなければならないロット数が多い。だからいままでは大きな資本を持っているブランドじゃないとコラボレートすることができない状況でした。そんななかで「若いブランドとコラボレートしたら、もっとおもしろいことができそうなのに」と話していて。

大きなブランドだからこそのジレンマを抱えていたわけですね。

福田とはいえ、どこかセレクトショップがあいだに立ってくれれば、実現可能なんじゃないかな? というアイデアがあったんです。

なるほど。そこで「ジャーナル スタンダード」に白羽の矢が立ったと。

福田そうです。それでディレクターの方に相談したら「いいよ、やろうよ」と。

〈グッドオル〉に加えて、〈10匣〉と〈フラグスタフ〉の2ブランドも参加することになったのはどうしてなんですか?

福田若手のブランドということで、ぼくの頭のなかに浮かんだのがこの2つだったんです。とはいえ、ふたりとも年齢は全然若くないんですけど(笑)。

ブランドが若いという意味ですね(笑)。

村山さっきの話にもあったように、ぼくらのブランドの規模で〈コンバース〉とコラボなんて簡単にできないし、それにお二方も一緒ということでおもしろくなりそうだなって思いましたね。

Piguこれまでにインディーなブランドとコラボレートは行ってきても、〈コンバース〉のようなグローバルなブランドとはやったことがなかったし、やりたいなと思っていたタイミングだったので、単純にうれしかったですね、声かけてもらって。

とはいえ大きすぎてプレッシャーのようなものは感じませんでしたか?

村山それは全然ないですね。むしろ普通ならできないことができるというワクワクのほうが勝っていました。

そもそもみなさんは普段から接する機会が多かったんですか?

福田いや、そんなことないんです。最近よく思うことがあるんですけど、仲よし同士でやる仕事をあんまりしたくないな、と。なんか予定調和なクリエーションしかできなくなるじゃないですか。もちろんぼくらは仲悪いわけではないですけど、程よい距離感をキープした間柄ではありますね。

Pigu休みの日に遊びに行くとか、仕事終わりに飲みに行くというような気心知れた感じではないですよね。

福田ものづくりって、そういう間柄でやったほうがいいと思うんですよね。緊張感があるし、どんな手法でどんなものができあがるんだろう? って、見えないものがあったほうがおもしろい。

なるほど。そういう意図もあったんですね。

福田加えて、「ジャーナル スタンダード」と一緒にやるというのもぼくにとっては新鮮で。これまで取引があったところとベタベタしながらやるっていう感じではないので。とにかく、わからないことがあったほうがライブ感がでるし、それがアイテムにいい影響を与えるんじゃないかなと思ったんです。

大衆に媚びることなく、“つくりたいものをつくる”というスタンス。

実際にプロジェクトがキックオフして、デザインの作業をしていくなかで、クリエーションの自由度は高かったんですか?

福田当初はそうでもなかったです。というのも、やっぱりロット数が多いだけに、これまでの別注やコラボレートって、売るためのデザインになっていたと思うんです。でも、ぼくらがそれをやってもしょうがないし、そもそものコンセプトとズレる。だからやりたいことをきちんと〈コンバース〉に伝えていく作業をしていきました。本当にやれるの? っていうのをやらないとダメだなと。そういう意味ではPiguがつくったスニーカーとか、原型を留めてないですからね(笑)。でもそれがいいんです。

確かに今回の3つのモデルはどれも、新しいものをつくるという気概を感じます。

Piguお客さんに向けてデザインをしたことがなくて。ぼくはいつも自分が欲しいと思うものをつくるっていうスタンスなんです。

村山ぼくも一緒です。自分がつくりたいものをつくっただけで。

福田この3つはどれも、いままでにない自由な感じは出せているのかなと。グローバルなブランドだから、できることとできないことのレギュレーションが多いなかで、〈コンバース〉の担当の方もかなり融通を利かせてくれたと思いますね。

“旅”がテーマの、2度とはないであろうスキッドグリップ。

〈10匣〉のアイテムはデッキタイプの「スキッドグリップ」が原型とのことですが、先ほど福田さんが話されていたように、もはやそれではないですね。

Pigu自分のクリエーションのベースには“旅”というテーマがあるので、それを意識しました。モーテルで起きたとき、海から上がってきたときなどに、脱ぎ履きがラクなスリッポンをどうしてもつくりたかったんです。あとはロサンゼルスへよく行くんですけど、ローカルたちとスケートもよくするので、そのためにオーリーガードをつけて。あと、ぼくは黒い靴しか履かないんです。コーディネートをあれこれ考えるのがめんどくさいので(笑)。だから今回も黒にしました。

福田これ、もはや〈コンバース〉ではないよね。あのブランドのスリッポンだよね。

Piguそうですね…(苦笑)。

一同(笑)

Pigu「スキッドグリップ」には通常ヒールのパーツがついていないんですが、それをつけたりとか、ヒールパッチも赤にして、自分の好きなデザインにさせてもらいました(笑)。

よく実現しましたね。

福田もう2度このアイテムはできないでしょうけど、本当によくやりましたよね(笑)。

フェスに行って履き潰すのにちょうどいいALL STAR 100。

〈グッドオル〉では、どんなところにこだわりを持ってデザインされたんですか?

福田ぼくはオールスターが100周年を迎えたときにつくられた「ALL STAR 100」をベースにデザインしました。通常のオールスターよりもややワイズが広くて、インソールには“REACT”というクッション性に富んだソールが採用されてます。

なるほど。

福田そもそもこれをつくるにあたって、1万円~1万円代前半くらいの値段にしたかったんです。というのも、フェスとかに言って汚して履き潰すような靴があまり売ってないじゃないですか。ちょうどいい頃合いのアイテムがなくて、自分が困ってたんです。

街でキレイに履くというよりは、ハードな環境で気兼ねなく履くようなイメージということですか?

福田そうですね。だから当然防水性もあったほうがいいということで、“スコッチガード™”の撥水スエードを生地に使っています。あとはブランドのアイコンとして蛍光色をよく使っているので、それをシューレースとヒールパッチで表現しました。

Piguやっぱりインラインのオールスターよりも雰囲気あっていいですよね。

村山福田さんがこれ履いてキャンプとかフェスしてるのが想像できますね。

元ヴィンテージバイヤーならではの視点でデザインしたスター&バーズ。

最後に〈フラグスタフ〉ではどんなことを考えてデザインをされたんですか?

村山これは「スター&バーズ」というモデルです。海外で流通している〈コンバース〉のスケートラインにある「ワンスター」をよく履くんですけど、それをイメージして通常よりも毛足の長いスエードを使っています。加えて、ぼくはもともと古着屋でバイイングをしていたので、オリジナルで探しても見つからないものにしたかったというのもありますね。「スター&バーズ」は60年代にあったモデルなんですけど、なかなか出てこないレアなアイテムなんです。だからこの一足を手に取ったときに高揚感みたいなものを感じてもらえるとうれしいですね。

具体的にデザインのポイントはありますか?

村山オンでもオフでも履けるような高級感があるといいなと思って、配色をモノトーンにしています。セットアップにこのスニーカーを合わせて結婚式の二次会にもでれちゃう、みたいなシーンを考えました。ハトメにゴールドを使ったのもそのためです。一方でソールは蛍光色にして、目立つように。80年代の他のモデルでこの仕様があるんですよ。だから、そういうところでレトロな雰囲気をだしています。

福田これ、かっこいいよね。

Piguうん、いいですね。

打ち合わせなしの闇鍋感がうまい方向に転んだ。

今回はシューズだけじゃなくて、アパレルや小物類もつくられたと聞きました。

村山シューズに合わせる服をみんなでつくろうということになったんです。それぞれのブランドをミックスして着られるように、アイテムはバラバラにして。

左から〈10匣〉ペーパージャケット ¥37,700+TAX、ペーパーハット ¥8,800+TAX、〈F-LAGSTUF-F〉ナイロンボンテージパンツ ¥28,000+TAX、ベルト ¥5,000+TAX、〈GOOD OL’ × PORTER〉バッグ ¥22,000+TAX

通常であれば「靴をつくって終わり」となるところを、ウェア類もデザインするというのは、なんだか豪華な企画ですね。

福田「ジャーナル スタンダード」の懐の大きさと、あとはこの闇鍋感がいいですよね。今回だれもディレクションしてないんですよ。つまり、出たとこ勝負のデザインというか、「〈グッドオル〉ではこういうのつくるから、〈10匣〉と〈フラグスタッフ〉はこうして欲しい」っていうのがゼロで、デザインに関してお互いに干渉してないんです。それがいい方向に転んだ気がしますね。

Pigu擦り合わせをしてないからこそ、濃いものが生まれましたよね。

福田3人とも黒のスエードを使ってますけど、これもたまたまですからね。原型となるモデルが自然とバラバラになったのも偶然だし。

〈GOOD OL’ × 10匣 × F-LAGSTUF-F〉パーカ ¥25,000+TAX

このパーカだけ、3つのブランドのトリプルネームなんですよね。

福田完全に思い出づくりですね。まぁ、この先この3人でやる機会もなかなかないだろうということで(笑)。

どうやってデザインの作業を進めたんですか?

福田俺とPiguはなにもやってないよね?

Piguそうですね。

ということは村山さんがほぼひとりで?

村山そうですね。この3人はみんなそうなんですけど、キャンプとかフェス、旅によく行くんです。だからポケットがいっぱいあったほうがいいなと思って、そんなデザインにしています。

piguうまいこと3ブランドの要素が入ってますよね。シルエットが〈フラグスタッフ〉で、ポケットの生地と色が〈グッドオル〉、そしてポケットのディテールが〈10匣〉で。

村山デザインを描いて見せたら一発でオーケーいただきました(笑)。

福田天才だね。仕事が早くてびっくりしたよ。

村山もともとこういう服をつくりたくて、自分のなかでアイデアを溜めていたんです。だからすぐできました。

絶妙な距離感がいいものを生んだ。

最後に、この取り組みを振り返ってみていかがでしたか?

村山またやりたいですよね。

福田なかなかこういう機会ないもんね。

村山コラボって基本、単独でやることが多いんですけど、福田さんとPiguさんがいることで刺激になりましたし、いいものを作りたいという気持ちがより強くなった気がします。

Piguたしかに。自分が持っていないアイデアとか、ユニークな視点が見れて楽しかったですね。

福田やっぱり、馴れ合いにならない感じがよかったんだね。

Pigu飲みに行ったりしなかったですもんね。

福田それをやらないほうがいいっていうことだよね。この3人の絶妙な距離感が、いいものを生んだっていう感じがします。今回に限らずこれからも、そういった緊張感を大事に仕事をしていきたいなと思います。

JOURNAL STANDARD 表参道

住所:東京都渋谷区神宮前6-7-1
電話:03-6418-7961
営業:11:00~20:00(不定休)
Instagram:@jounalstandard.jp
journal-standard.jp/
※シューズ以外のアイテムは 「ジャーナル スタンダード表参道」と、オンラインストアでは、BAYCREW’S STORE内の「ジャーナル スタンダード」とZOZO TOWNにて販売いたします。

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