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ヨーロッパアルプスの絶景を堪能! フイナム ランニング クラブ♡のUTMB参戦記。

UTMB 2018

ヨーロッパアルプスの絶景を堪能! フイナム ランニング クラブ♡のUTMB参戦記。

2018年8月末、世界最高峰のトレイルランニングレース「ウルトラトレイル・デュ・モンブラン(UTMB)」が開催されました。フランス、イタリア、スイスの国境を超えながら、ヨーロッパアルプスの壮大な山々を自らの足で駆け巡るこのレースに、フイナム ランニング クラブ♡のメンバーが参戦。壮絶を極めたレースの模様をお届けします。

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世界一のトレイルランニングレースと言われる所以。

UTMBは毎年8月末、ヨーロッパアルプスの最高峰モンブランの周辺の山々を舞台に開催されるトレイルランニングレース。人気も規模も数あるレースのなかでもトップクラスで、世界中のトレイルランナーが一度は出てみたいと願う憧れの大会です。

レースはUTMB(170km)のほか、CCC(101km)、TDS(121km)、OCC(55km)など様々な種目が用意されていて、ランナーは自分の走力や適正にあわせて出場するレースを選ぶことができます。ただ、レースによっては、資格レースに出場・完走し、規定の「ポイント」を獲得しなければ、エントリーすることができません。たとえばUTMBは最低15ポイント必要。これはざっくり言うと、過去2年間のあいだに100kmのトレイルレースを3本完走してようやく達成できるもの。さらに、エントリーできたとしても、その先には抽選が待っています。スタート地点に立つだけでも、相当なレベルの実力と運が求められる。それがUTMBなのです。

会期中、シャモニーの街はお祭り騒ぎ!

メイン会場はフランスのシャモニー。モンブランの麓にあり、冬はスキー客で賑わう山岳リゾート地です。

会期中の一週間、この街は世界中からやってきたトレイルランナーたちで賑わいます。これほど華やかな雰囲気は、日本の大会ではなかなか見られません。

今回UTMBに参戦したフイナム ランニング クラブ♡のメンバーはこちらの4名。

右から、副部長の山本博史(CCCに出場)、部長の榎本一生(CCCに出場)、部員の安達隆太(TDSに出場)、部員の長谷川愛(UTMBに出場)。4人とも初めてのUTMB、初めてのシャモニーです。

荘厳な雰囲気のなか、レースがスタート!

さて、ここからは榎本・山本のCCCのレースの模様を振り返ります。

CCCはイタリアのクールマイユール(Courmayeur)をスタートし、スイスのシャンペ湖(Champex-Lac)を経て、フランスのシャモニー(Chamonix)に戻ってくる101kmのコース。それぞれの頭文字をとって「CCC」というわけです。

スタートは朝9時。当日はシャモニーから朝6時過ぎのシャトルバスに乗り、7時前にクールマイユールに到着。着替えなど支度を済ませ、荷物を預けて、スタート地点に向かいます。

ランナーが身につけているゼッケンとサブゼッケンには出身国の国旗が記されているので、どこの国から来たか一目瞭然。

まわりのランナーを見渡すと、様々な国旗が。国際色豊かであることもこの大会の特徴のひとつです。

そしてCCCのテーマソングであるヴァンゲリスの「Across the Mountains」が流れる荘厳な雰囲気のなか、レースがスタート! この曲を知らない人はYouTubeで検索してみてください。トレイルランナーならこれを聴くだけでテンションぶち上がること請け合い。ちなみにUTMBのテーマソングは同じくヴァンゲリスの「Conquest of Paradise」。選曲ひとつとってもさすがのセンス。見事な演出です。

CCCの制限時間は26時間30分。榎本・山本は無事にゴール地点であるシャモニーまで時間内にたどり着けるのでしょうか? モンブランのまわりをめぐる101kmの旅がこうして幕を開けました。

雄大な景色に圧倒されっぱなし!

クールマイユールをスタートした後、しばらくは樹林帯の登山道を進み、森林限界を超えると、ヨーロッパアルプスの絶景が目に飛び込んできた!

壁のようにそびえ立つ雄大な山々と、そのあいだを縫うように伸びる美しいトレイル。レース中は終始、ヨーロッパアルプスのスケールのデカさに圧倒されっぱなしでした。

レース序盤は榎本・山本ともに元気いっぱい。その後まさかのトラップが待ち受けていることは、このときは知る由もありません。

天候急変。冷たい雨風がランナーを襲う。

日中は薄曇りで、時折陽が差す時間帯もあったこの日のレース。気温はそれほど低くなく、服装は途中までは半袖短パンで問題なし。山頂付近の稜線ではウインドジャケットを羽織るくらいでちょうどいい気候でした。

しかし、午後の遅い時間帯から、天候が急変。27km地点のC3アルヌーヴァを超えたあたりから、どんよりとした分厚い雲が空を覆い始めました。

イタリアとスイスの国境であるグランコルフェレの山頂付近に着くと、あたり一面が霧で真っ白に。

その後、雨が降り始め、気温は急降下。時間が経つにつれ、雨脚は強くなるばかり。もちろん、必携品であるレインウェアは携行していますが、それだけではしのぎきれないレベルの雨と風がランナーを襲います。

41km地点のC4ラフーリーに着いたときには全身ずぶ濡れ。濡れた服が全身にまとわりつき、体温が容赦なく奪われていく。太陽も徐々に沈み始め、気温は下がる一方。雨が止む気配もなし。55km地点のC5シャンペ湖に命からがらたどり着いたものの、ゴールまで行くにはこれから先あと大きな山をふたつ越えなくてはならない——諸々考えた結果、この悪天候のなかでこれ以上先に進むのは無理と判断し、榎本・山本ともにリタイアという苦渋の決断を下しました。ああ、悔しい。

CCCに挑んだ榎本・山本の装備を公開。

ちなみに、榎本・山本の装備はこんな感じでした。

写真に写っているものがすべてではないけれど、概ねこんな感じ。レインウェアのほか、防寒用のミッドレイヤーや防水手袋など、万全を期してのぞんだつもりだったものの……結果としては、レース当日の雨と寒さは予想以上に厳しく、これでもしのぎきれないほどでした。シューズは両者ともコロンビア モントレイルの「トランスアルプス F.K.T.II」。剛性が高くクッション性に優れたソールが、硬めのサーフェスが多いUTMBのコースと好相性でした。

部員たちの命運やいかに?

部長・副部長がまさかのリタイアという残念な結果に終わったわけですが、他のメンバーはというと……。

部員の安達くんはTDSを完走! 121kmという途方もない距離を、29時間37分19秒かけて見事に走り切りました。

そして紅一点、部員の長谷川さんはUTMBを完走! シャモニーをスタートしてモンブランをぐるっと一周し、またシャモニーに戻ってくる100マイルの壮大な旅を終えました。タイムは42時間27分42秒!

完走できた人、できなかった人、結果は悲喜こもごも。こうしてフイナム ランニング クラブ♡にとって初めてのUTMBチャレンジは幕を閉じました。

UTMBの魅力とは? フイナム ランニング クラブ♡の考察。

あの経験、あの感動は一生モノ。

「完走できなかったことは残念だし、悔しい。けれど、それ以上に、得られた感動がとてつもなく大きかった、というのが正直なところ。憧れ続けたシャモニーの地を踏めた。夢だったUTMBの舞台の一角に立てた。大歓声を受けながら、花道を抜けて、フィニッシャーといっしょにゴールラインをくぐれた(自分は完走してないけど)。あのとき、あの場にいられたというのは、自分にとって一生モノの経験になったかな、と。ちなみに僕はこれで100km超のトレイルレース、5連敗中。スランプから脱したいのはやまやまだけど、ここのところずっとうまくいかず仕舞い。来年も懲りずにシャモニーには行きたい。なんとしてでも行きたい。なんなら自分は選手として出なくてもいい。あの感動をまた味わえるのならね」(フイナム ランニング クラブ♡部長・榎本一生)

想像を絶する寒さに完敗。いずれリベンジします。

「猛暑日の続く東京を抜け出し、シャモニーに到着してからもTシャツ、短パンで過ごせて、ときおり日差しの強さを感じるほどの夏模様。レース前日に厳冬装備を推奨されたものの、そんなに天候が崩れるとは思いもしませんでした。が、グランコルフェレを登る頃から雨が振り出し、寒さで手がぶるぶると震えはじめ、カラダを動かし続けても体温は上がらず、エイドでボトルに詰めたホットティーはみるみると冷えていく。深夜帯を迎えれば寒さがより厳しくなるのは目に見えてます。そんななか2000mオーバーの山々を登る覚悟を持てなかった。その心の隙間にあらゆる負の要素がなだれ込み、気づけば頭の中で考えるのは辞めることばかり…。いやあ、情けない。とはいえ、トレイルランニングの最高峰の舞台を、実際に目の当たりにできたのは大きな経験にはなったのかな。ストック使用率の高さや、シングルトラックで避けない人の多さ、アジア圏における中国勢の台頭、ゴールする選手を祝福するゲート付近で看板叩き、美しい稜線の傍らに無数に転がる牛糞の数々など。この経験を糧にするためにも、いずれはCCCをリベンジせねば、です!」(フイナム ランニング クラブ♡副部長・山本博史)

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