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神南坂 ジャーナル スタンダードが切り拓くセレクトショップの新時代。

The start of New Age

神南坂 ジャーナル スタンダードが切り拓くセレクトショップの新時代。

今年の9月、渋谷にオープンしたばかりの「神南坂 ジャーナル スタンダード」にはもう行きましたか? これまで「ジャーナル スタンダード」が育んできた歴史や伝統を受け継ぐだけでなく、それを新たな方向へと発展させるショップで、店内に一歩足を踏み入れると、これまでの同店とはどこか違うことを理解できるはずです。そしてその変化が40日周期で訪れるのが最大の特徴です。ということで、ディレクションを務める栗原潤さんにお店の機能について語ってもらいました。さらに、10月26日から店内で行われているイベント「A-LEAGUE」の主要人物である「オーサムボーイ(AWESOME BOY)」のKIC©さんと、〈ICHIRYU MADE〉の一柳 輝さんにも登場いただき、絶賛開催中の催しについて話を聞きました。

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栗原潤 / ジャーナル スタンダード レリューム チーフ ディレクター

「ジャーナル スタンダード」が設立して間もない頃からのメンバー。長年バイヤーとして活躍し、2016年よりディレクターに就任。2018年秋より「ジャーナル スタンダード レリューム」を担当。

“固まったコンセプトを設けない”というのがコンセプト。

このお店をオープンさせることになった経緯を教えてください。

栗原今年の8月に神南で21年の歴史を持つ「ジャーナル スタンダード 渋谷店」がクローズしたんですが、渋谷の“神南”という場所でなにも発信しない状態にはしたくなくて。神南坂付近であれば人通りもあるということでこの場所を選びました。

やはり神南という場所には思い入れがあるんですか?

栗原「ジャーナル スタンダード」の歴史がはじまったのは神南ですし、そういった気持ちはあります。あとは海外からこのエリアに集まってくる方も増えているのと、ホテルが増えたり、来年は渋谷パルコが再オープンすることからジワジワと盛り上がりを感じているのも理由ですね。

なるほど。店内を見渡すと、メンズのアイテムのみのラインナップになっています。そこにはどんな狙いがあるんですか?

栗原新しいことにチャレンジしたかったというシンプルな理由からです。ここは「ジャーナル スタンダード」と「ジャーナル スタンダード レリューム」の2つの屋号が組み合わさったお店なんですが、どちらもメンズのみにファーカスを当てたことはなかったので。

お店の周りにはメンズ、ウィメンズで商品を展開するセレクトショップが多いなかで、少し異色な存在のような気もします。改めてお店のコンセプトを教えてください。

栗原そのときの気分、つまり“いま”を発信する基地のようなイメージです。というのも、ここでは40日周期で新しいイベントやポップアップを展開しようと思っているんです。お店の雰囲気であったりテイストがコロコロ変わったほうが、いろんな角度でお客さまにアプローチができる。つまり、“固まったコンセプトを設けない”というのが「神南坂 ジャーナル スタンダード」のコンセプトなんです。

店内のレイアウトもミックス感があるというか、いろんな要素がいい意味でごちゃ混ぜになった印象です。

栗原そうですね。カテゴリーで区分けするのではなくて、もっと多様的な見せ方をしたいなと思って。お店にあるアイテムはもちろんなんですが、それよりもこのショップ全体を通してお客さまにおもしろいなと思っていただきたいんです。

これまでのセレクトショップは文字どおりアイテムのセレクトに重点を置いていました。でも、その形が変わってきているように感じます。

栗原“セレクトする”というのはもう当たり前の時代ですよね。インポートの商品にしても、オリジナルにしても、お店としての味を提案していかないと、お客さまとしてもそのお店で買い物をする理由というのが見つけづらいと思うんです。

どこでも情報が得られて、どこでも買い物ができる状況にあるなかで、ただ「セレクトがいい」という武器はもはや通用しないと。

栗原ここで何を発信したいのか。それを表現する手段として“セレクト”という方法があるのかなと。「モノがいいから」「かっこいいから」という理由だけではなくて、そこにプラスアルファを加える必要がある。なので、40日ごとに訪れるイベントに合わせて、そのための必需品を揃えていくというやり方をしていきます。

現在は「A-LEAGUE」という“スポーツ”と“ヒップホップ”をテーマにしたイベントが行われています。

栗原機能服のようないわゆるスポーティなアイテムを集めたのではなく、もっと根本的な意味でのスポーツをいまここで表現しています。

先ほど話されていた多様性がここにも表れているような気がします。

栗原下町にあるような安売りのスポーツ用品店をイメージしています。

常に服が山積みになっていて、年中ワゴンセールをやっているような、雰囲気のお店ですか?

栗原そうです。あの雑多なムードがすごく好きで、スポーツを軸にいろんな要素を入れました。サッカー、バスケ、野球はもちろん、クラシックなハンティングだって一種のスポーツですし、そういったエレメントを上手に編集して並べています。

とくに深く関わっているのが原宿にあるヴィンテージショップの「オーサムボーイ」と、リメイクブランドの〈ICHIRYU MADE〉ですね。両者のコラボレートによるリメイクアイテムがひときわ目を惹きます。

栗原「オーサムボーイ」はヒップホップを軸にしたお店なんですが、そこから発信するアイテムとして〈ICHIRYU MADE〉と一緒にスポーツアイテムをリメイクして服をつくっているんです。とはいえ、それだけでポップアップをやるのではなくて、あくまでスポーツという漠然としたテーマを表現する上での一員として、力を貸してもらっています。

9月のオープンから2ヶ月が経とうとしていますが、お店全体を通してお客さまの反応はいかがでしょうか?

栗原メンズのみの展開ではあるものの、実際には女性のお客さまにも多く足を運んでいただいているんです。男性も幅広いスタイルの方々に来店いただいているので、これを継続していろんな人たちの集まるお店にしていきたいですね。

今後はどういったイベントを行う予定ですか?

栗原「ジャーナル スタンダード」が持つ“アメリカ”という要素は根本に置きつつ、その上で“いま”の時代を表現したりとか、逆にクラシックなものに振ったりとか。あとは時代を行き来するだけではなくて、いろんな視点を加えながら表現していこうと思っています。

スポーツウェアをリメイクした新しいファッションのカタチ。

栗原さんのインタビューにもあったように、「神南坂 ジャーナル スタンダード」では現在スポーツをテーマにした「A-LEAGUE」というイベントを開催中。店内を構成するアイテムのなかでも異彩を放つのが「オーサムボーイ」のリメイクアイテムです。

〈AWESOME BOY × ICHIRYU MADE〉リメイクバスケットボールベスト ¥25,000+TAX

〈AWESOME BOY × ICHIRYU MADE〉リメイクカンフーフットボールシャツ ¥25,000+TAX

〈AWESOME BOY × ICHIRYU MADE〉リメイクトラックカーゴパンツ ¥20,000+TAX

〈AWESOME BOY × ICHIRYU MADE〉リメイクベースボールコート ¥30,000+TAX

本気のスポーツアイテムに新たな手を加え、ファッションとして成立させたコレクション。続いては、このアイテムの制作を手がける「オーサムボーイ」のKIC©さんと〈ICHIRYU MADE〉の一柳さんを迎え、制作の裏話をお届けします。

一柳 輝 / ICHIRYU MADE

アパレルの販売を経て、テーラーへと転職。そこで培った技術をもとにリメイクブランド〈ICHIRYU MADE〉をスタート。自身の手で一つひとつアイテムを制作している。

KIC© / AWESOME BOY

原宿にあるヴィンテージショップ「オーサムボーイ」のオーナー。ヒップホップを軸とした古着のアイテムを扱っている。昨年よりリメイクアイテムの制作をスタートした。

共通の知人を介して知り合ったふたり。

「オーサムボーイ」はいつオープンしたんですか?

KIC©2010年頃からウェブでスタートして、お店は2015年にオープンしました。お店もリメイクの企画もすべてYUという相方と一緒に運営しています。90’sとか、そのあたりのヒップホップに軸を置いたお店で、アーティストのアパレルウェアや当時のスタイルを標榜したアイテムを取り扱っているんです。

“スポーツ”というのはお店の軸のひとつとして掲げているんですか?

KIC©いえ、スポーツというよりも、B-BOYという括りのなかでスポーツアイテムをファッションに取り入れているんです。

B-BOYというスタイルを表現する上での大事な要素であると。

KIC©そうですね。欠かすことのできないカルチャーだと思うので、リメイクをするときも外すことはできないです。

一柳さんとはいつからリメイクアイテムをつくっているんですか?

KIC©去年からいっしょにものづくりをしています。

一柳もともとぼくはとあるブランドのショップで働いていたんです。デニムのアイテムを中心に扱うお店で、リペアとかもやっていて。そのあとテーラーに入って服の構造とか、お直しの技術を勉強して独立しました。

もともとリメイクブランドをやりたいと思っていたんですか?

一柳ブランドとしてというよりも、自分で好きな服を着たいがために、服と服を組み合わせてリメイクアイテムをつくっていたんです。それでもっと技術をつけたほうがいいなと思ったので、テーラーに入りました。そこで数年間働いたあと、去年の2月に独立したんです。

KIC©ぼくらも服をつくりたいと思ったのが去年の夏のはじまりくらいで、たまたま共通の知人との話題に一柳くんの名前が挙がって。それで一緒にやろうということになったんです。

KIC©さんがリメイクのアイテムをつくろうと思ったのはどうしてなんですか?

KIC©古着屋としてアイテムを仕入れてそれを売るというサイクル以外にも、新しいことにチャレンジしたかったというのが理由です。古着以外にもなにか発信することはできないかなって。

なるほど。

KIC©それで残っている在庫を掛け合わせてつくったのがはじまりですね。はじめはサッカーシャツとアロハシャツのコンビでした。

やってて難しいなと思うことはありますか?

KIC©ある程度の数量をつくることを念頭に置きながら仕入れをするので、そこですね。例えばこのバスケのユニフォームを使ったベストも、全部ブルズでやろうとなると難しい。なので、調達できるアイテムをベースにデザインを考えています。

コーディネートの発想から生まれるデザイン。

デザインはすべてKIC©さんが考えているんですか?

KIC©相方のYUと共同でデザインしたものを、一柳くんに生産してもらうというやり方です。

一柳KIC©さんから来たデザインをもとに、縫い方であったりとか、形の提案であったりとか、細かなディテールに関してはふたりで話し合ってます。

KIC©一柳くんのリメイクには特徴的なデザインがあって、ぼくはそれが好きなんです。ウェアの真ん中を残して、サイドに他の服のパーツを縫い合わせるっていうスタイルですね。そのやり方を念頭に置きながらデザインを考えています。だからコラボとして成立するのかなと。

一柳単純に体が大きくなって一枚で着れなくなったんです。だから2枚組み合わせちゃおうって(笑)。

たとえばモッズコートとベースボールシャツを組み合わせるというアイデアはなかなか思い浮かばないと思うんですが、どうやってデザインを考えているんですか?

KIC©まずはじめにコーディネートが思い浮かぶんです。このコートなら、ミリタリーアイテムにスポーツウェアを組み合わせたらおもしろいんじゃないか? とか、民族衣装とスポーツを合わせたらかっこいいんじゃないか? とか。重ね着をする感覚とほぼ同じです。

それをひとつにすると。

KIC©ふたつがひとつになることで、また他のアイテムをコーディネートに取り入れられるようになります。たとえばコートのインナーとしてパーカを着られるようになったりとか。そこに新しい可能が生まれればいいなと。

一柳さんは生産を担当していて、KIC©さんのデザインに感じることはありますか?

一柳これできるのかな? っていうのはよく思いますね(笑)。ぼくの頭のなかにはないデザインが送られてくるので、最初は面喰らうんです。でもつくってて楽しいし、できあがるといいものができたなという実感が生まれます。

KIC©でも、かなり大変だと思います。全部一柳くんのミシンで一つひとつ縫ってもらっているので。

ファッションやデザインの根源的な楽しさに気づける。

こういったスポーツアイテムの魅力や楽しさはどんなところにあると思いますか?

KIC©たまに「誰が着るのこれ?」とか、「これは着れないでしょう」って言われることがあるんです。でも、着てみると意外とハマったりするんですよ。要するにファッションって楽しいって感じてもらえるアイテムなんじゃないかと思ってます。スポーツ云々というよりも、もっと根源的な服やデザイン自体が持つ魅力というのに気づけるんじゃないかと。

今回「神南坂 ジャーナル スタンダード」で展開することが決まったときはどんなことを思いましたか?

KIC©これまでずっと小さな場所でコツコツとやってきたので、こうやって大きなお店とひとつの取り組みができるのはすごくうれしいですし、光栄ですね。

今回の「A-LEAGUE」に期待することを最後に教えてください。

KIC©やっぱりぼくらのアイテムをいろんな人に着て欲しいです。それで「オーサムボーイ」と〈ICHIRYU MADE〉のことをたくさんの人に知ってもらえたらうれしいです。

一柳ぼくも同じですね。ここに置かれることで、ぼくらが普段接することができないお客さんに見てもらえる。「A-LEAGUE」をきっかけに海外の人たちの手に渡って、ゆくゆくはグローバルなブランドとして成長していきたいです。

神南坂 ジャーナル スタンダード

住所:東京都東京都渋谷区神南1-18-2 1F/B1F
電話:03-5457-0700
営業:11:30~20:30(不定休)
Instagram:@jinnanzaka_journalstandard
journal-standard.jp

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