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monessay ─ボーン・トゥ・ラン

monessay ─ボーン・トゥ・ラン

フイナム発行人、フイナム・アンプラグド編集長である蔡 俊行による連載企画「モネッセイ(monessay)」。モノを通したエッセイだから「モネッセイ」、ひねりもなんにもないですが、ウンチクでもないのです。某誌でずいぶん長いこと連載していたコラムが休載し、フイナムにて装いも新たにスタートです。今回は〈スイコック(SUICOKE)〉のサンダル。

  • Text_Toshiyuki Sai
  • Photo_Kengo Shimizu
  • Edit_Ryo Komuta
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第十八回 ボーン・トゥ・ラン

回前、この欄でも紹介したナイキの厚底スニーカー。確かに履いてみると具合がよい。バネ効果とでもいうのか、クッションが弾んで足が前に前に出るイメージ。足は確かに軽やかに前に出るけど、だからといって心肺機能がそれについていっているかというとこれまた別問題。そこにゲタを履かせてくれる道具はどうやらいまのところないようだ。

かしクリストファー・マクドゥーガルの名著『ボーン・トゥ・ラン』に出てくるタラウマラ族はペラペラ底のサンダルで何日も駆け回る。

キシコの渓谷にひっそりと住んでいる彼らは、別名”走る民族”。その由来は祝宴の後に行う仲間内のレースで2昼夜、道無き道を走りまわるからだそうだ。

ッションのないサンダルで走るから、着地はカカトではなく、つま先側から。実はこれがヒト本来の走り方で膝や腰を痛めないという。

の研究から生まれたのが、先のこの欄でも触れたファイブフィンガーズだったり、ナイキのフリーだったりする。後者はオレゴンだったかどこかの大学生が芝生の上を裸足で走るトレーニングから生み出されたという話もある。

もかく、そのタラウマラ族の一人が世界初の100マイルレースに繰り出され、優勝した。そんなことからこの本が生まれたわけだ。

人的には村上春樹の『走ることについて語るときに僕の語ること』とともに走る自分の座右の書でもある。

はこの本を読んだときにすぐに思いついたのが、テバのサンダル。スポーツサンダルというか走れるサンダルということで、それまでになかったものだったのでちょっとした驚きだった。

足で履くとどういうわけかゴムによって足裏が臭くなるという副作用があるけれど、ずいぶんお世話になったものだ。

まやこうしたスポーツサンダルの市場は世界的に拡大し、類似品やら新しいデザインやアイデアが盛り込まれたものが多く発表されている。

んなマーケットの中で異彩を放っているなあと以前から気になっていたのが〈スイコック〉。たまたま当社で働いていたスタッフが転職した先と聞いていたから応援したいとは思っていたのだが、こちらが応援するどころかいまでは世界に冠たるブランドのひとつになっている。

日、イノウエブラザーズの二人が東京にやってきて飲んだときに、この話題になった。いまや世界ではビルケン、テバと同等にリスペクトされる存在らしい。

ザインがいい。

のラインアップを見ても、プロダクトとして完成している。

るために作られたサンダルではないけど、いまのランニング界の厚底ブームと相まって、タラウマラ族に履いて走ってもらいたいもんである。

¥27,000+TAX

蔡 俊行

フイナム発行人/フイナム・アンプラグド編集長。マガジンハウス・ポパイのフリー編集者を経て、スタイリストらのマネージメントを行う傍ら、編集/制作を行うプロダクション会社を立ち上げる。2006年、株式会社ライノに社名変更。

ネイビー・ノート

電話:03-6456-4423

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