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FEATURE|俳優・安藤政信。映画『デイアンドナイト』からその私生活まで。

俳優・安藤政信。映画『デイアンドナイト』からその私生活まで。

DAY AND NIGHT

俳優・安藤政信。映画『デイアンドナイト』からその私生活まで。

1996年に北野武監督作品『キッズ・リターン』で衝撃の主演デビュー。その後も映画を中心に数々の作品に出演を果たしてきた安藤政信。一時期の俳優活動休止を経て、ここ最近は映画だけに限らずテレビでもその活躍が目覚ましい。映画愛を公言する安藤が今回挑んだ映画『デイアンドナイト』は、山田孝之がプロデュースを務め、「善と悪」をテーマに人間の持つ陰と陽を照らし出すような作品になっている。山田孝之から直接オファーされ出演を決めたという彼に、同作への想いと今まであまり明かされていなかったプライベートの部分について話を伺った。

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『デイアンドナイト』

 
 

〜STORY〜
善と悪はどこからやってくるのか。
父が自殺し、実家へ帰った明石幸次(阿部進之介)。父は大手企業の不正を内部告発したことで死に追いやられ、家族もまた、崩壊寸前であった。そんな明石に児童養護施設のオーナーを務める男、北村(安藤政信)が手を差し伸べる。孤児を父親同然に養う傍ら、「子供たちを生かすためなら犯罪をも厭わない。」という道徳観を持ち、正義と犯罪を共存させる北村に魅せられていく明石と、そんな明石を案じる児童養護施設で生活する少女・奈々(清原果耶)。しかし明石は次第に復讐心に駆られ、善悪の境を見失っていく―。

安藤政信

神奈川県川崎市出身の俳優。1996年北野武監督作品『キッズ・リターン』でデビューし、数々の賞を受賞。2012年から俳優活動を休止し、3年後に復帰。近年ではドラマ「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-3rd season」や映画『きらきら眼鏡』など幅広く活躍している。山田孝之が初の全面プロデュースを務めた『デイアンドナイト』は今年1月26日より全国公開。

今回の映画に共感する部分はどこでしょうか?

安藤政信(以下、安藤)共感っていうのがすごく難しいんですけど、やっぱりちゃんと自分がしていることを正しいと信じているところですかね。さすがに、劇中の北村という役は、現実からかけ離れてはいるかもしれないですが、彼は彼なりに自分が正しいことをやっているんだっていう強い気持ちで生きて、そこに存在してることには共感できるかもしれません。僕も、迷いながらも表現することとか、自分のやっていることは正解であるって思っているので。役者ってやっぱり自分のこと信じてないとなかなかできないことだと思うし。

光と陰なら自分はどちらだと思いますか?

安藤まあ、両方ありますよね。常に明るいわけでもないし、だからといって常に荒みきってるわけでもないので、そこをずっと行ったり来たりして、生きてるような気がしますね。

ちなみに今日はどちらでしょうか?

安藤今日は朝からずっと撮影が入っていたので、久しぶりに「あぁ、今日来たくないな」って言って来ました(笑)。でも、やっぱり行ったり来たりですよ。

正しさは、絶対的か、相対的かどちらだと思いますか?

安藤どうなんですかね。わからないですねえ。一言でパシッと言える感じではないですね。

大切なものをなくしたという設定の役ですが、安藤さんがこれまでで失った、取り返しのつかないものというのはありますか?

安藤取り返しのつかないものって結構ありますよね。人生でも、あそこの選択間違ってなければ、ここまでどん底にならなかったのにっていうのもありますし。でも、そのどん底に行ったから這い上がれたし、それがあったからぜんぜん違う経験をできたっていうのもありますから。だから、這い上がれなかったら、たぶん後悔でしか生きていけなかったと思う。生きていたらやっぱそういったものってありますよね。

人付き合いが苦手だという安藤さんですが、現場の雰囲気はどうでしたか?

安藤今回はやっぱり、プロデューサーの山田孝之が直接、俺にオファーをくれたから、孝之に対して、今自分がもっているスキルを出す気持ちで取り組みました。断るっていう選択はオファーを受けた時点でなかったですし、絶対成立させるっていう気持ちはありましたね。

山田孝之(プロデューサー)

プロデューサーの山田孝之さんとの関係について教えて下さい。

安藤前の事務所が一緒だったんですけど、その時は全然付き合いがなくて。その事務所を辞めてから一度共演することがあったんです。クランクアップの時に孝之に「今度、また違う作品で一緒にやろう」みたいな話をしていて。共演はしていないけど、一緒にやる作品として今回の『デイアンドナイト』なんですよね。前の時はグルーヴ感も出せなくて、申し訳ないっていう気持ちがありましたから、償いじゃないですけど(笑)。話を受けた時には、絶対やってやるっていう気持ちはありましたね。

受けた理由の一つとして、俳優としての山田孝之さんに共感があったということはありますか?

安藤やっぱり役者としての彼への評価は、とても高いですね。自己表現力とプロデュース力とか、どう考えても長けてる人だと思います。だけど、孝之の芝居って実はあんまり見たことなかったんですよね。それこそ、『クローズZERO』とか。でも、つい最近BSかなんかでたまたまやっていたドラマを観たら、すごくいい表情する人だなあって。まあ、すごい好きなんですよね(笑)。

役作りはどんなことをされましたか?

安藤役作りっていうよりは、僕自身その場面場面で感じたものや、状況を表現するタイプだと思うので、台本を読んで役作りをしたって感じは特になかったですね。撮影場の秋田に行って、秋田の景色を見て、その作ってもらった状況の中に入って感じていくというか。その2週間前までは『きらきら眼鏡』っていう映画で癌患者の役もやっていましたし、そのまた2週間前はまた全然違う作品を撮ってましたから。だから、役作りって感じは特になかったと思います。

いつも事前に役作りをするというよりは、その場に合わせていくことが多いんでしょうか。

安藤そうですね。その光景を見て感じていくっていうことですね。台本もクランクインの3日前くらいに読んで、こんな内容なんだって感じなんでね。衣装合わせの段階とかでは、全然読んでませんよ(笑)。昔はすごい読み込んで、自分の好きな監督とか自分の役柄を気にしてやっていたんですけど、その時に合わないなって思っちゃうと、そこで立ち止まっちゃって何もやれなかったんですよね。だから、今は逆に台本とかを読まずに。まず飛び込んじゃって、そこから考えるようにしています。

映画とドラマ。合っているのはどちらだと思いますか?

安藤映画とドラマだったら、北野武さんと出会って映画を大事に20年間やってきたこともありますし、それはやっぱり映画の方が自分に合ってると思いますし、映画の演出とかの方が自分の芝居も合うと思っています。でも、かといってドラマを否定してるわけではなくてドラマにはドラマの演出があって、自分も芝居をする時はそれに合わせるようにもしています。

映画を決めるときのオファーは?

安藤昔は単純に自分の好きな監督、その人たちとやりたいなっていうのでやってました。でも、ここ最近は本当そういうのも関係なく、オファーをもらって話を少し聞いて、「あ、この人のためにやりたいな」とか。そうゆう風に今は受けてやってますね。

『デイアンドナイト』を撮り終えたときの感想は何かありますか?

安藤スケジュールが結構大変で、その時に自分は映画を立て続けに4本撮ったりしていたんで、結構体力的にはきつかったんです。でも、期待に応えたいっていう気持ちからこの映画に参加して、最後の撮影シーンがわりと衝撃的だったから、すごい感情が高ぶったままクランクアップしたんですよ。それで撮影終わって、「最後に一言!」って言われたんですけど、もう撮影のテンションのままで、そのまま嗚咽みたいなスピーチになっちゃって。「孝之に応えられてよかったー!」みたいな感じで号泣しちゃって(笑)。その後、帰りの新幹線で「なんであんなことになっちゃったんだろうな」って思いながら帰りました(笑)。で、僕はロケに行ってる時とかに家族と連絡を一切とらないんですよ。だから撮影中は、家の状況も全然わかってないんですけど、その日帰ったら、うちのすぐ近くが、竹中直人さんと斎藤工が主演を務める白石和彌監督の新作のロケ地になっていて。「ええ!何これ?!」っていう1日でしたね(笑)。

フォトグラファーとしても活動されていると伺いました。

安藤ちょこちょこですけどね。撮るのは好きで20年前からずっとやっていて、プライベートで女優さんとか共演者の人たちとかを、別の設定で撮らせてもらったりしてました。それはずっと続けていますし、写真はすごく好きですね。

写真を、趣味で撮ることと、仕事として撮ることのちがいは?

安藤趣味でも仕事でもそこに違いはないですね。単純に写真が本当に好きで、写真自体に魅力を感じているので。フォトグラファーの友人もいっぱいいて、写真のことを話したりすることもよくあります。でも、ついこの間「GQ」でお仕事を頂いて10人を10秒で撮らなきゃいけない企画だったんですが、機材トラブルになっちゃって。結果6人しか撮れてなかったんです(笑)。本当に泣きましたよ。

使っているカメラはなんですか?

安藤昔はニコンのX1とかサムライとかフィルムで撮ってたりして、友達の家で焼かせてもらったりしてたんですけど、今はキャノンの80Dという安いデジタルのでずっと撮ってますね。

好きなフォトグラファーはいらっしゃるんですか?

安藤そうですね、『キッズ・リターン』で役者始めたばかりのときに、取材で一緒になったフォトグラファーさんに「写真好きなんですよ」と話したら、「今から写真展行くけど、来る?」って誘ってもらって、新木場の美術館に行ってシンディー・シャーマンとかを見たときに、彼女の自分で演じて撮るスタイルと、自分のまだ演じたばかりで写真が好きだというところが少し重なったんですよね。なので、最初の頃はセルフでずっと撮ってましたね。街中行って、撮って。まあ、被写体がいいからどう撮ったっていいんですよ。全然決まるっていうか(笑)。そんな感じでやってましたね。でも、女優さんを撮り始めたときは、当時僕の中で“死”というテーマが大きくてそれを投影して写真を撮ったりしてましたね。

今はどういった写真が撮りたいですか?

安藤やっぱり、女性ですかね。艶っぽく撮りたいというか、ずっと撮ってますしね。あとはさっきの映画の役作りじゃないですけど、脚本を読んだときやその時の感覚で写真も撮ってるんですよね。『コード・ブルー』のときは脳外科の医者の役だったんですけど、同意書を書いて脳の手術を真隣で見せてもらったりしていて、脳みそばかり見ていたんですよね。そうすると、花を撮ってもやっぱり脳みそっぽいというか。あと、女性の性器をずっと見ている役をやったときは1日中それしかみていなかったので、ペットボトルのキャップが取れて穴が空いてるだけで、性器に見えるというか。そのとき休憩時間に撮った椿の花は全体的にも性器にも見えるし、1つ1つでも性器に見えてました。なんか、いつも血液を感じるんです。

『デイアンドナイト』

2019年1月19日(土)秋田県先行公開/1月26日(土)全国公開
©2019「デイアンドナイト」製作委員会

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