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FEATURE|NY発のクリエイティブレーベルが伝える、これからのコミュニティの作り方。

NY発のクリエイティブレーベルが伝える、これからのコミュニティの作り方。

SPECIAL INTERVIEW FOR PARKS DEPARTMENT

NY発のクリエイティブレーベルが伝える、これからのコミュニティの作り方。

平成も終わりに近づき、令和という名の新元号へと突入する我が日本。これからの時代に、主流となっていくであろう新たなコミュニティの価値を、ニューヨークのクリエイティブレーベル「パークス デパートメント(PARKS DEPARTMENT)」のディレクター、アーサーが教えてくれました。3月15日(金)から10日間ほど開催された、原宿の「BEAMS T」でのポップアップストアのイベントを振り返りながら、謎に包まれるそのクリエイションについても迫ります。

  • Photo_Yuki Aizawa
  • Edit&Text_Yuho Nomura
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Profile

Arthur Soleimanpour

Arthur Soleimanpour
アーサー・ソレイマンポール(PARKS DEPARTMENT ディレクター)

ニューヨークを拠点に様々なアンダーグラウンドカルチャーの情報を発信するインターネットラジオ番組の「Know Wave」。その共同創設メンバーであり、2016 年にコレクティブなコミュニティレーベル「パークス デパートメント(PARKS DEPARTMENT)」をスタートさせた。主な活動はインターネットラジオによる新たなメディアの在り方を示しながら、ファッションやデザイン、音楽など様々なカルチャーが交わる場所=プラットフォームを表現する場として機能させ、既にニューヨークではユースカルチャーを中心に様々な化学変化を巻き起すきっかけに。またニューヨークのレジェンドキーマンたちとも繋がりながら、日々若き才能をフックアップして新たな時代のクリエイティブを提案。さらに自身は映像ディレクターとしての顔も持つ。

気の合う仲間たちと好きなことや仕事をしていくことは、
すごく健全なことだし楽しいことだよ。

まずはアーサーのこれまでの活動と、「パークス デパートメント」というレーベルをつくるに至った経緯を教えてください。

アーサー元々ぼくは、デフ・ジャムの創設者であるラッセル・シモンズが手掛けていたファッションブランドのサポートからキャリアをスタートさせたんだ。その後、自由な社風だった職場でデザインの仕事に携わりながら、もっと違う形態でのクリエイションを探るようになった。そして個人的な活動として、ライブビデオの放送を思いついたんだよね。ファッションブランドの広告などで使用されるムービーを転換したビジュアル制作やインターネットラジオのコンテンツなど。その当時は、可能性に満ち溢れていると感じていたよ。それから2016年に「パークス デパートメント」というレーベルを立ち上げた。

いまだその全貌が明かされていませんが、「パークス デパートメント」では実際にどんな活動をされているのでしょう?

アーサー主にライブビデオの制作を主軸コンテンツとしているけど、その活動は様々だね。「パークスデパートメント」は、公園のようなコミュニティを目指していて、集まる人たちによって変化していくから。例えば、ブランドと協業してビジュアルムービーを制作したり、一緒にインターネットラジオの番組を作ったり、販売目的ではないTシャツなどのグッズをつくったり。最近では、ニューヨークの若い仲間たちと一緒に「チャイナ シャーレー(CHINA CHALET)」っていう中華料理屋が閉店した後、夜の時間帯を利用してパーティイベントなんかも企画しているよ。新陳代謝の激しいニューヨークだと、常に旬な遊び場が変わっていくからさ。いまはそうした本来とは異なる目的の場所を使って遊ぶのが流行っているんだ。

コンテンツに左右されず、集まる人によってクリエイションが変化していくのは新しい試みですね。

アーサーそれが一番自然だと気付いたからね。クリエイターやアーティストたちの多いニューヨークでは、彼らは常に新しい働き方や表現方法を模索し、アップデートを繰り返している。人によって全然違うんだ。だから正解もひとつじゃない。気の合う仲間やフックアップしたいと思える若手、そしてリスペクトするベテランたちと好きなことや仕事をしていくのはすごく健全なことで、楽しいことだよ。

アーサーの周りには常に様々なクリエイターやアーティストがいますよね。

アーサーそうだね。ニューヨークでは遊び場が一緒だったり、クリエイションに共通する言語があれば、すぐに繋がるんだ。だから自ずとコミュニティが広がっていく。昔から一緒に服をつくったりしている〈ルック スタジオ〉や〈グッド カンパニー〉は日本でも知られているよね? あとは今回「ビームス T」で行ったポップアップイベントにも参加している大御所DJのストレッチ・アームストロングや〈パワーズ〉というブランドを手掛けているエリック・エルムス、モデルのマノン・マカサエットなんかも昔からの友人だよ。

今回「ビームス T」で主催していたイベントの企画はどのようなきっかけでスタートしたのですか?

アーサー共通の知人が「ビームス T」を繋いでくれて、ぼくらの活動やロゴのデザインに注目してくれたんだ。『ビームス Tでイベントをやらせて欲しい』ってね。アメリカでも「ビームス」という存在は知られているし、何よりぼくらの思い描いているビジョンと合致すると思ったんだ。そこからどんな内容にしていくか、沢山話し合って、進めていったよ。1年間くらいは時間をかけたんじゃないかな。

長い時間をかけて実現した企画だったんですね。「パークス デパートメント」にとっては、はじめての日本でのイベントということもあって、大変なこともあったんじゃないですか?

アーサーぼくらはあくまでクリエイティブレーベルで、ファッションブランドではない。だから服づくりの面では苦労する部分も多かった。特に品質に関しては日本のクオリティは世界でも最高峰。なかなかそのハードルをクリアできなかったりもしたけど、最終的には優秀な「ビームス」のスタッフたちのお陰で様々な障害を乗り越えることができた。感謝しているよ。

それは良かった。今回のイベントで、「パークス デパートメント」が伝えたかったことはなんだったのでしょうか?

アーサーポップアップストアという形式を取りながらも、アイテムの販売はあくまでもぼくらにとってはオマケ。一番の目的はコミュニティの輪を広げたかったんだ。これからの時代、ニューヨークだけではなく、国境を超えて様々な取り組みをしていきたかったからね。今回もぼくよりも歳上のストレッチ・アームストロングがいたり、同世代のエリック・エルムスがいたり、ニューヨークでユースカルチャーを牽引している10代のマノン・マカサエットがいたり、性別や世代を超えた繋がりから生まれるグルーヴ感を表現したかった。そしてそれが国境の壁も越えたら楽しいなって。大御所のクリエイターだからって気を遣うわけでもなく、若い子の感性についていけないと嘆くわけでもなく。かといって自分たちの世代だけで盛り上がるのもナンセンス。すべてをミックスして生まれるモノやコトに、新しい価値があるんだ。それがぼくからの今回のイベントにおけるメッセージだよ。

もっと大人は若い人の声に耳を傾けるべきだよ。
その声には、新しい発見とアイデアが溢れているから。

新しいコミュニティの在り方とはそういうことだったんですね。その潮流は確かに今後新たな可能性を持っている気がします。加えて、今回はポップアップイベント以外にもコンテンツが盛り沢山だったようですが、その内容についてもお話いただけますか?

アーサー「ビームス T」でのポップアップストアと同じ開催日に、イベントでも一緒にコラボレーションしているマノンと〈エックスガール〉がアートエキシビジョンを開いたり、そのスペシャルナイトイベントとして、渋谷の「フリーダム」で朝までパーティを企画したんだ。ぼくらの仲間のサブリナという女の子がボーカルを務める「プリティーシック」というバンドがライブしたり、東京のクールなDJたちが世代問わず出演してくれた。忘れられない夜になったよ。その翌週には「マスタードホテル 」で二日間ラジオライブも行った。初日はマノンとサブリナを、二日目は東京でぼくらに近い活動をしていると噂を聞いていた「トウキョウ ビタミン」をそれぞれゲストに呼んだんだ。「トウキョウ ビタミン」は面白いクルーだったね。

彼らも少し前からインターネットラジオを活動の軸としていた、いまの東京ユースカルチャーの中心的存在ですよね。

アーサー英語を話せるメンバーが多いから様々な国にコミュニティを持っていたし、皆頭の中がクリエイティブだったよ。ラジオショーの当日は正規メンバー以外に友人のイラストレーターやラッパー、フィメールのトラックメイカーなども遊びに来て、そのままゲストとして参加してくれたり、いまの東京で流行っている音楽を流してくれたり、とても有意義な時間だった。彼らは国籍や世代にハードルを感じない、ニューヨークらしい感性を持っているね。今度日本に来るときは、今回とは違った形で「トウキョウ ビタミン」と取り組みをやりたいなって思っているよ。

良い出会いもあったみたいで、今回の来日は大成功ですね。3週間ほど東京に滞在していたみたいだけど、街の雰囲気など印象はいかがでしたか?

アーサー今回の来日で日本に来るのは4回目で、いちばん長く滞在していたんだけれど、とても堪能できたよ。いつ東京にやってきても皆親切にしてくれる。渋谷や原宿の街は、雑多なニューヨークよりも密集していて、とてもエネルギーに溢れていて、感度の高いお店が沢山ある。毎日いても飽きないね。あと、実はぼくの前の奥さんが日本人だったんだけど、その頃に連れていってくれた青山にある大学に行って学食を食べて物販を買ったり、大好きな和食を味わったり。あとは鎌倉の大仏も良かったね。大満足だよ。

人との交流も盛んだった今回の来日で、東京とニューヨークでのコミュニティやクリエイターの創造性など、なにか違いを感じることはありましたか?

アーサー東京のユース達はみな創造することに飢えている気がしたね。話を聞けば、SNSやYOUTUBEなどのメディアで自分自身を発信している人も多いらしいけど、その環境から離れようとしている若者もいると。そんな才能ある若者をもっとフックアップする環境があれば良いのにと思ったよ。ニューヨークはそうした若いクリエイターを決して遮断しない。もちろんすべての人にチャンスがあるわけではないけど、そうしたクリエイターたちが活動しやすい環境整備が最も発達している街なんだ。街が活性化していったり、経済が成長を遂げていく一方で、そうした分野への後押しができる人や企業が増えるといいね。

そう思います。そうした活動をアーサー自身も体現しているわけですもんね。

アーサー特に若い才能から得ることは大きい。それはなにもファッションやアート、音楽の分野に限られた話ではない。もっと大人は彼らの声に耳を傾けるべきだよ。その声には、新しい発見とアイデアが溢れているから。

最後にアーサー自身、そして「パークス デパートメント」の今後の展望を教えてください。

アーサーぼく自身も「パークス デパートメント」もそうだけど、常に活動する、そのスピード感を大事にしているんだ。物事が移ろいやすく、次から次へと流れてくる情報に左右されていくいまの時代だからこそ、マイペースにカルチャーを育てていくこと。お金のためではなく、サスティナブルなマインドを皆で共有できる世界こそ、ピースに決まっているからね。具体的な部分としては、まず近々では、「マスタードホテル 」で収録したラジオショーの記事を「パークス デパートメント」のオフィシャルサイトや僕のSNSアカウントで発信していく予定。そして少しづつこのレーベルのグッズを活動資金にすべく、ニーズのある分野に届けていこうと思う。流行りとして消費されてしまうことのないクリエイションは、田舎町の景色を眺め歩くくらいのスピード感がちょうどいいんだよ。

INFORMATION

PARKS DEPARTMENT

INSTAGRAM:@parksdept
www.parks-department.com/

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