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FEATURE|ファッションとスケートボードの邂逅。 デラックスとエビセンが提案するリアルとは。

ファッションとスケートボードの邂逅。 デラックスとエビセンが提案するリアルとは。

New Ground Of Skateboarding.

ファッションとスケートボードの邂逅。
デラックスとエビセンが提案するリアルとは。

スケートボードの人気と認知度は上がったけれど、その分、ポーザーも増えた。街に溢れる、本物のスケーターよりもスケート然としたファッションや、服屋の店頭にズラリと並んだ横ノリ風のアイテム。本当にカルチャー愛のある人だったら、それを見てもきっと素直に喜べないんじゃないだろうか。そんな折に届いた、〈デラックス(DELUXE)と〈エビセン スケートボード(Evisen Skateboards)〉のコラボの報せ。質の良いストリートウェアを象徴するブランドと、東京切っての個性派スケートチーム。その試みは果たしてリアルか、ポーザーか。それぞれを率いる2人の言葉に耳を傾けつつ、その判断はみんなに委ねたい。

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Profile

HUE

HUE(DELUXE デザイナー)

東京都出身。20代で渡米し、数年をニューヨークで過ごしたのちに帰国、2002年に〈デラックス〉を設立する。“ストリートテイラー”をコンセプトに掲げ、自身が触れて育ったカルチャーに根ざした高品質な服づくりを一貫して続けているデザイナー。

南勝己

南勝己(Evisen Skateboards ディレクター)

東京都出身。10代でスケートボードに出会い、路上で出会った仲間たちと研鑽を重ねて、その個性を知らしめてきたストリートスケーター。2011年には〈エビセン スケートボード〉を発足し、ライダー、フィルマー、アパレルデザインと様々な形でチームを牽引する。

エビセンの洋服は、120%デラックスの影響を受けてます。(南)
何ができるか考えたとき、やっぱりクオリティの部分が答えかな、って感じたんです。(HUE)

HUEさんが以前に手掛けていたショップ「ブリッジ(BRIDGE)」では、長い間〈エビセン〉を取り扱われていましたが、一番最初の出会いはいつ頃だったんですか?

HUEいつだったかな。 結構早いタイミングだったよね?

「ブリッジ」には2011年から置いてもらってました。エビセンを始めて間もなくですね。

HUEそのとき店長をやってたコウちゃんが元々勝己くんと仲が良くて、「ヤバいスケーターの人がいるんです」って彼から聞かされたのがきっかけでした。普段、あんまりそういうことを言うタイプじゃなかったんだけど、「本当にすごい人たちだからプロモーションしたいんです。お店に置けませんか?」って言われて。

「ブリッジ」は何年からやってたんでしたっけ?

HUE2005年だね。

じゃあ、ぼくとコウちゃんは2005年からの付き合いですね。そのときぼくは渋谷の「アークティーズ(arktz)」でバイトしてて、共通の友達も多かったからコウちゃんはそこによく来てくれてたんです。彼はその頃からめちゃくちゃオシャレだったんですよね。で、「それどこの服?」って話から入って、すぐそこにある「ブリッジ」っていう店で店長をやってて、そこで扱ってるブランドだって教えてくれて。その後、ぼくがブリッジに行ったのが、〈デラックス〉との出会いです。2005年かぁ……。そんなに前だったんですね(笑)。

HUEうん。それから〈エビセン〉の服はお店で扱いながらずっと見てたね。面白いグラフィックをやってるなぁ、って。

「ブリッジ」は主に〈デラックス〉の旗艦店としての機能がメインだったと思うんですが、そういうセレクトしたアイテムも初期から扱ってたんですか?

HUE例えば〈ヴァンズ(VANS)〉のスニーカーとか、そういうものは元々入れたりしてました。あとはコウちゃんが海外に行ったときに面白いものを見つけてきたり。コウちゃんがスケーターだったから、結局「ブリッジ」にスケートの色を付けてくれたのは彼だったんだよね。

そうですね。コウちゃんとHUEさんにフィーチャーしてもらってましたね。始めたばっかりの頃、東京の「ブリッジ」っていうイケてるお店に置いてあったから〈エビセン〉が良く見えたっていうのは確実にあったと思います。他はスケートショップだけだったんで、それまではファッションの方では全然広がりがなかったんです。

基本的にスケートショップにしか卸さないというのは、決めていたことだったんですか?

いえ、正直そういう見え方までは計算してなかったんですよ。でも、「ブリッジ」に置いてもらうのはぼく的にすごくナチュラルなことだったし、その後も周りの友達から「ブリッジに置いてあるよね」って言われたり。それで、すごく影響力があるんだなぁ……って思いましたね(笑)。

HUEありがとう(笑)。

マーケットが違ったから、全く知らなくて(笑)。

HUEさんたちと付き合いが始まるのも、ローカルのスケーターたちとハングアウトするような感覚だったんですね。

そうですね。コウちゃんとの付き合いが長かったから、色々勉強させてもらいました。あ、あとこれだけは言っておきたいんですけど、〈エビセン〉の洋服は、120%デラックスの影響を受けてます。

HUE(笑)。

正直に言いますけど、最初の頃はブリッジに行って「あ、こういうのつくれば良いんだな」って全部パクってました(笑)。しかも、半公認で。「すいません、これウチもやって良いですか」って。服に関しては、本当にHUEくんが師匠みたいな感じです。HUEくんとコウちゃんに毎回相談しに行って、日々勉強していました(笑)。

HUE全然だよ(笑)。ぼくたちのショップも〈エビセン〉の服があったことで、スケート色が濃くなって面白かったし。やっぱりリアルなスケーターの人たちだから、そういう化学反応みたいなのはすごく良いなあと思ってた。

ぼくらは“服ってどうやってつくるんだ?”ってところから入ってますからね。そこから〈デラックス〉の服をステッチの一本一本とかまで見るんですよ。ぼくらがやってみたのとどこが違うんだ……と。そしたらもう全然違って(笑)。毎回コウちゃん経由でそれを聞いたりしてましたね。「勝ちゃん、こういう風にやっちゃダメだよ」とか言われたりしながら。

HUE(笑)。

エビセンの象徴的なスイングトップで「E-9」っていうモデルがあって、それは〈バラクータ(Baracuta)〉の名作「G-9」が元ネタなんです。元々デラックスが〈バラクータ〉とコラボしてたのに憧れて、それをぼくらなりにアレンジしてつくったのがエビセンの服の始まりなんですよ、2011年以来、毎シーズン「E-9」は出してますね。

そう聞いていると、お互いに持っていないものを持っていたんですね。今回のコラボレーションを知って驚く人もいると思いますけど、そう考えるとすごく自然な流れですよね。

  • DELUXE × Evisen Skateboards ZEN ¥23,500+TAX

    〈デラックス〉の定番アイテムである作務衣型のカーディガン「ZEN」を〈エビセン〉流にアップデート。ボディには上質なフェイクレザーを使用し、フロントとバックに両者を象徴とした刺繍が刻まれている。

  • DELUXE × Evisen Skateboards CAMELLIA SHIRTS ¥23,500+TAX

    ヴィンテージクロージングのなかで、玄人から人気の高いスリーピングシャツがモチーフとなっていて、いまのトレンドを的確に捉えたルーズなシルエットと肌触りの良いコットンが特徴的な一着。胸元に同色で刺繍されたカメリア(椿)もポイントのひとつ。

  • (L)DELUXE × Evisen Skateboards FLOWERS ¥9,000+TAX(R)DELUXE × Evisen Skateboards TAG ¥6,500+TAX

    〈デラックス〉が毎シーズン使用しているTシャツに、〈エビセン〉のオリジナリティ溢れるグラフィックがプリントされていて、非常にクールな仕上がりに。ブラックとホワイトの2色展開。

  • DELUXE × Evisen Skateboards DECK ¥10,000+TAX

    両者の思いが凝縮されたスケートデッキ。裏には秀逸なグラフィックが大きくプリントされている。クルージングとしてはもちろん、部屋のインテリアとしてもおすすめ。

  • DELUXE × Evisen Skateboards SENSU ¥3,500+TAX

    今回のコラボレーションを象徴する扇子には、〈エビセン〉のブランドロゴが全面に散りばめられている。これから蒸し暑くなる季節、ポケットやバッグに忍ばせておくと重宝しそう。

“たまたまずっと昔からの関係だった”ってのを強く言いたいですね。本当は、エビセンのコラボは一番最初にデラックスやりたかったんですよ。タイミング的にこの時期になっちゃったんですけど。

HUEそういう話は昔からずっとしてたよね。今回のコラボのアイデアも、話し始めたのは確か一年くらい前からかなぁ。

いえ、もっと前っすね。ぼくらが〈アディダス(adidas )〉とやる前だったんで。

HUEもっと前か。それで、次第にカプセルコレクションみたいなのをしたら良いんじゃないかということで、色々話していって、このタイミングになったんです。

最初は俺がHUEくんに相談したんですよね。「散々服パクってるから、オフィシャルでなんかお願いできませんか」って(笑)。

HUEそうだったね(笑)。ぼくらの事務所の場所が変わって、近くなったから話しやすくなって。

はじめてHUEくんに会うときはガチガチに緊張してましたね。「ヤベェ、なんかすいません」みたいな(笑)。

(笑)。どういう経緯でこういったラインナップになったんですか?

HUE元々、〈デラックス〉のインラインで羽織りを出してて、勝己くんがそれを気に入ってくれて。「これ、やりましょうよ」ってなって、じゃあ、それをどうアップデートしようか? とか、それに合うアイテムは何だろう? とかっていうところから始まりました。

アパレルもですが、特に扇子は意外でした。

HUE〈エビセン〉ってこういう和洋折衷的なところがあって、日本の良いところを取り入れた上でのハードコアスケートを地で行ってると思っているんです。それで、彼らと一緒にやるときに〈デラックス〉に何ができるかな、って考えたとき、やっぱりクオリティだったりそういう部分が答えになるのかなって、感じたんです。最初は浮世絵みたいなデザインとか、そういう案も出したんだけど、先に本家の人たちとやっていたりしたから、カブっても良くないなあと思って。

それで、扇子をコレクションに取り入れたんですね。

HUEそうです。やっぱりこの時代的にもオリエンタルな雰囲気がするものは面白いと思ったし、〈デラックス〉にはそういうイメージはなかったと思うから、そういう意味でも新鮮かなと思いました。で、アパレルに関してはこっちにお任せしてくれるってことだったから、そこから始まってこういうコレクションになった感じかなぁ。

色もかなりストイックに黒で統一されてますね。

HUE昔(トニー・)アルヴァのスケートチームがみんなライダースを着た真っ黒い格好をしてたことがあって、それが格好良くて。南くんにそれを話して、こんな雰囲気も良いんじゃない?っていうことで、こういう形になりました。ぼく自身がここしばらく黒をよく着ていたこともあるんですけどね(笑)。普段のエビセンはもっと色を使うし、グラフィカルですよね。

スケートブランドの洋服ってチープなところも面白さではあると思いますけど、生産も〈デラックス〉が担当しているということは良い意味でスケートブランドらしからぬ物になっているっていうことですよね。

そうっすね。ぼくは〈エビセン〉を始める前から〈デラックス〉の服を着ていたんで。周りのスケーターには「それどこの服?」って聞かれてたんですよ。〈デラックス〉の服のクオリティって、他のスケートブランドとかとは明らかに違うんで。

在りモノボディにプリントしたTシャツのチープさとはまた別の良さがありますよね。

もちろんぼくもそういうものも着ますよ。それと〈デラックス〉を組み合わせるのが好きだったんです。

スケーターの中には、昔ながらに安価でローファイなものを着ることを美徳とする方もいる気がしますけど、南さんはそこに固執されていなかったんですね。

そういう感覚はまったくないですね。金がなかったらそうするし、良いものが着られるなら別に拒まないっていうか。多分、スケーターってみんなそういうラフな感覚だと思うんですよね。

成功して有名になって、お金回りが良くなると服装が変わる人もいますもんね。

そうそう。急に細くなったりとか。まぁ、それが一番ダサいっすけどね(笑)。ぼくは捻くれてるんですよね。たくさんいるスケーターと同じ格好をしたくないとか、言っちゃえば出し抜きたいっていうような感覚があるんですよ、常に。スケーターでいつも同じ格好してる人もいるけど、個性商売だからぼくはそんなことやってらんねぇなって。

(笑)。アイテムのデザインについて、もう少し教えていただけますか?

HUE今日南くんが着てくれてる別注の羽織りは、インラインのものをずっと着てくれていて、「もっとシルエットを大きくしたいです」とか「アクションがしやすいサイズ感にしてみましょう」とか、そういう意見をもらいました。

時代的にも大きめのものをつくるようにはなってたけど、ウチのインラインじゃ出しづらい形でも、〈エビセン〉っていうフィルターを通すことによって表現できたのが面白かったですね。シャツやTシャツひとつにしても“エビセンサイズ”ってものを今回はつくっていて、インラインとはパターンから変えています。

なるほど。じゃあ、実際にこれを着てスケートしてくれる人がいたら……。

HUEもちろん嬉しいです。それが街中でもパークでも。この前も南くんとイメージビジュアルの撮影に行ってきたんだけど、本物のスケーターの人たちがこういうのを着てスケートしてる姿はやっぱり格好良かったなぁ。

〈エビセン〉の若手スケーターをモデルに起用しました。

HUEやっぱりぼくらが普段ルックを撮ってるファッションモデルとは違ってリアルだし、面白かったです。服を着せるときも、「これはイヤっすね」とかってはっきり言われたり(笑)。スタイルがあるから、それも良いなぁって。

(笑)。今回のコラボレーションは本当に自然にできてますよね。の一方的な愛とリスペクトから始まってるんで嬉しいです。いや、本当ですよ?(笑)

HUEありがとう(笑)。

オリンピックの正式競技になったり、スケートボードを取り巻く環境もかなり変わってきていますし、多様化も進みそうですよね。南さんはそういう動きをどう感じていますか?

めちゃくちゃありがたいっすよね。自分たちとしてはまったく変わらない動きをしているし、今後もそうだと思うんです。いまのムーブメントはおそらく1、2年で終わるだろうなとは思ってるけど、流れが来ているのは単純にありがたい。

そういった意味でも、〈デラックス〉とのタッグは数年で終わる一過性の流れではないんでしょうね。

そうですね。2005年からずっと続いてることだから。いまはたまたまこういう形になっているだけで。昔からスケートボーダーはずっとスケートボーダーですしね。

HUE板(デッキ)をつくるとかっていうのも、エビセンとじゃなかったら絶対にできなかったと思います。技術的にはできても、それをやったらポーザーっていうか、フェイクになっちゃう。だからウチでは、それを絶対やってこなかったし、出すことに何の意味もないと思ってました。

今回のコレクションを見てくれる人たちに、ぼくらの付き合いが長いんですよ、っていうのは本当に伝えたいですね。

HUEそうだね。パッと始まって何となく“スケートとファッション”みたいなことじゃなくて、本当に長い間そういうことを真剣に話してできてるし。さっき、最初にコラボレーションしたかったって言ってくれたのはすごく嬉しかったなぁ。いまではエビセンって引っ張りだこだと思うし。

いや、そんなことないっすよ。ウチらは基本全部、仲間とだけやってるんで。正直、よくわかんない商社とかからもめちゃめちゃコラボレーションのオファーって来るんですよ。でも、そういうのは最初のメールの時点で全部無視してますね(笑)。

HUE(笑)。例えばコラボレーションはするけど、普段一緒に遊んだりはしないとか、コラボレーションをしてもそのときだけの関係で終わっちゃうとかだったら意味がなくて。今回は本当に何の無理もなくて、自然な流れで生まれたから。良く見えるとしたら、それが理由なんじゃないかな。

一番関係は深いですからね。ついに、お返しすることができましたって感じです(笑)。これだったら、失礼がないかなって。

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