ジャケット:エーグル「BENET」 ¥19,000+TAX、シャツ:エーグル「WR GINGHAM CHECK JKT」 ¥19,000+TAX、その他本人私物
waltz 店主 角田太郎さん
1969年、東京都生まれ。レコードショップ「WAVE」でバイヤーを経験後、2001年に「アマゾン・ジャパン」に入社。2015年3月に退社すると、同年8月に中目黒に「waltz」をオープンする。2017年には〈グッチ(Gucci)〉がブランドのインスピレーション源になった場所を紹介するプロジェクト「Gucci Places」に日本で初めて選出された。
普段お店に立つときは、どのような服を選ぶことが多いのでしょうか?
毎日納品があるので、汚れてもいい服だったり、動きやすさを重視します。あと、商品が売れたときに値札を胸ポケットに仕舞うことにしているので、シャツやショップコートなど、胸ポケットがあるものを選びがちですね。
今回選んでいただいた〈エーグル〉のシャツも胸ポケット付きですね。ジャケットは軽量のものですが、こういった機能服を日常的に着るシーンもありますか?
そう多くはないんですけど、持っていると便利だと思います。お店のある中目黒は僕の地元でもあるので、出勤も徒歩。すごく限定された距離感での生活なので、仕事着にそのままさっと羽織れるものっていうのは重宝します。
以前「アマゾン・ジャパン」に勤めていたというだけに、服も通販で買ったりすることは多いのでしょうか?
基本的に服を通販で買うことはありません。たしかに「アマゾン・ジャパン」には立ち上げから14年間在籍しましたが、僕のキャリアのスタートはレコード屋のバイヤーだった。あくまで実店舗が好きなので。
モノが売れない時代に、実店舗を構えることに不安はありませんでしたか?
「アマゾン・ジャパン」の立ち上げ当初って、取引先を回っていても『「アマゾン」が実店舗を潰す』なんて言われることも少なくなかった。でも、僕は全然そうは思っていなくて。実店舗でしか出せない価値は確実にあると思っていました。そのことを、僕はいまここで証明しようとしているのかもしれないですね。
いま、あらゆるシーンでアナログなものが見直されています。「waltz」はその流れの一端を担っているような気がします。
実は、過去のものを懐かしんでもらおうと思ってこの店をやっているわけではないんです。むしろ「いまの視点で見ると新しいでしょ?」という気持ちでいる。それを象徴しているのが店の中央のテーブル。これらは全部新譜なんです。カセットテープでアートを表現しようとしているクリエイターが、現在進行形で世界中にいますから。
ジャケット:エーグル「W MTD CHESTER」 ¥39,000+TAX、シャツ:エーグル「W LINEN CTN OVER SHIRTS」 ¥12,000+TAX、バッグ:エーグル「MISS JULIETTE TOTE M」 ¥14,000+TAX、その他本人私物
山フーズ 主宰 小桧山聡子さんさん
1980年、東京生まれ。多摩美術大学油画科卒業。2011年から「山フーズ」の活動を開始。東京都美術館、DNPルーブル美術館、山形ビエンナーレほか、イベント等のレセプションでケータリングや撮影コーディネート、ワークショップなど多岐に渡り活躍。“食べる”を身体で体感できるような仕掛けのある提案を行っている。
2018年の9月までは、毎年山形の山に食材探しに行っていたと伺いました。もともとアウトドアはお好きだったのですか?
いえ、そのときは2年間、毎月のように山に入ったりしていましたが、それまでは山登りなんてしたことがなかった。だから、徐々に必要なものを揃えていきました。
〈エーグル〉は、もともとフレンチアウトドアをルーツとするブランドなので、山に入るのにもうってつけなんです。
山形では、山に登って、そのまま打ち合わせに行くことも多かったんです。だから、どんな格好をしたらいいか、いつも悩んでいました。普段着だと汚れるし、アウトドアのものだと移動や打ち合わせのときに不自然だし。そんなとき、今日選んだリネン混のシャツやシボ加工されたバッグみたいに、デザインも機能も兼ね備えているものが役立ちますよね。
山形に食材を採りに、という話もそうですが、小桧山さんの仕事って、すごく多岐に渡りますよね?
以前はケータリングが主な仕事でしたが、いまはイベントやパーティでの空間演出やワークショップ、インスタレーションを含めた商品づくり、販売などを主な活動としています。
ワークショップではどのようなことをされるんですか?
食べられる器とカトラリーで食事をするワークショップを子ども向けに開催したり、ピアニストとコラボレーションして、音と食についてのワークショップを行ったり。後者については、演奏をしている最中のピアニストに食べ物を食べてもらい、味によって音がどのように変化していくか、というものもあったりします。
お皿やフォークの存在を改めて考えたり、音を聞いたり、食べるという行為を分解してみたり。普段排除してしまっている感覚を、ツンツンと揺さぶるのが大好きなんです。同じものを食べても、状況、気温、体調、感情、あらゆることが影響して、味って全然変わってきます。そういうことに、すごく興味がありまして。
同じように“纏うこと”についても、普段から意識されますか?
以前舞踏をやっていたとき、全身を白塗りにした経験があります。不思議なもので、塗ると恥ずかしさがなくなったり、苦手なはずの高いところも怖くなくなったり。ひとつ膜を張るだけで、こんなにも違うんだって驚きました。服も一緒で、仕事着の白衣を着ると、どんなにやる気が出ない日でも頑張れちゃうんですよね。
ジャケット:エーグル「COUMELE」 ¥39,000+TAX、ポロシャツ:エーグル「DFT EAGLE PIQUE POLO」 ¥7,900+TAX、その他本人私物
Little Nap COFFEE ROASTERS オーナー 濱田大介さん
1997年にイタリア各地を旅し、バール文化に触れる。帰国後コーヒー器具を扱う商社に勤め、その後独立。2011年、代々木公園にコーヒースタンドLittle Nap COFFEE STANDをオープン。その他さまざまな店舗・空間のプロデュースも手掛けながら、同時に、FUJI ROCK FESTIVALをはじめとした音楽イベントにDJとして参加するなど、コーヒーを軸に多面的な活動を繰り広げている。
濱田さんというと、普段も仕事中もワークウェアを着こなしているイメージがありますが、〈エーグル〉のようなアウトドアライフスタイルブランドも着たりすることはありますか?
そう多くはないです。特に、今回選んだポロシャツのようなアイテムは普段は手に取らない。でも、この〈エーグル〉のポロシャツに関しては、ちょっとくすんだような色味に惹かれました。ジャケットに関してもGORE-TEXなのに風合いがあって、普段着ているものと合わせてもトゥーマッチにならないのがいい。
165年以上の歴史がある〈エーグル〉なので、そういったヘリテージ感も魅力のひとつなんです。あと、もともとはファーマー向けのラバーブーツをつくってきたブランドなので、ワークスタイルという点では濱田さんとの共通項もあると思うんです。
ワークウェアは全部が機能的なので、汚れてなんぼの仕事をしている僕らにはぴったり。結局僕らは労働者なので、そういった古い伝統的なものには憧れがあるし、流行り廃りなく、ボロボロにしながら、何十年も着られるものには好感が持てます。〈エーグル〉のようなタイムレスなブランドも、そういう意味で魅力的に映りますね。
「Little Nap COFFEE STAND」も「Little Nap COFFEE ROASTERS」も、サードウェーブなどの流行りとは、別の軸で活動している気がします。
まずは近所のひとのためのお店でありたい。地元のひとたちが育ててくれた店だから、彼らが使い慣れてくれることが大前提。海外の公園には、気の利いたコーヒー屋があって、ハンバーガー屋があって、そばでバンド演奏をやってて、っていう場所がたくさんあります。そういうカルチャーを20年以上前から見てきて、それを追求し続けてきたからこそのいま、という感じです。
これからもずっとお店を続けていきたい、という気持ちはあったりしますか?
ないですね(笑)。目標は現状維持。ああしたい、こうしたい、とかってないんですよ。いまが楽しければいい。店の新しい世代のスタッフにも、楽しみ方を教えるんじゃなく、まず自分が率先して楽しんでいる姿を見せていきたい。そうやっていつまでも、“我がママ”にやっていきたいですね。
ジャケット:エーグル「RETROSTARRE NEW」 ¥33,000+TAX、靴:エーグル「AIGLENTINE COLOR BLOCK」 ¥19,000+TAX、その他本人私物
写真家 森本菜穂子さん
1982年生まれ。2008〜2011年、写真家若木信吾氏に師事。独立後、東京を拠点に食や手仕事に関わる旅を撮影している。個展「To Eat」(2015 Tokyo)、(2016 Kamakura)、「Boa Memoria」(2019 Fukuoka)、グループ展「banryoku – The worth of worthless things – 」(2018 Tokyo)など。www.nahokomorimoto.net
シェルもラバーブーツも、とてもいい色をチョイスしていただけました。
実は、今日のために出張先の博多にあった〈エーグル〉の店舗で、たっぷり試着をしてきました(笑)。シェルは何色も着てみましたが、白がすごく気に入って。青すぎず、黄色すぎず、なんとも絶妙で綺麗な白ですよね。
色については、写真家ならではの感性というか、服を選ぶ際の大きな基準になるのでしょうね。
結構「ピンクばか」みたいなところがあって、ピンクのものは無条件で選びがちなんです。ブーツに関してはピンクもそうですが、メタリックブルーとの組み合わせが本当によくって。これまで〈エーグル〉に抱いていたイメージを覆すような組み合わせでした。
雨が降ると思って気合をいれて長靴を履いて外出して、結局降らないということもよくありますが、これなら長靴然としていないので、そういうときにも落ち込まなくて済みそうです。
そうですね。わりと多いと思います。畑に入って撮影したり、漁船に乗って海に出たりすることも少なくありません。しっかり長さのあるラバーブーツならそういうときにも安心できます。あと、普段から機能的なウェアやカバンは気になる方で、カメラバッグも、結局はアウトドアメーカーのバッグを選びがち。専用のものだと、使い勝手が合わないことも多くって。
希望を込めてあえて撮影に持っていかないこともあります(笑)。とはいえ、降ると大変なので、降りそうなときは完全防水のものは必須。
いつも、カメラを首から提げた状態で、その上に完全防水のアウターを羽織ります。だから、あえてワンサイズ上のものを選ぶことが多い。レンズもそこまで長いものを使わないので、そうすればだいたいのカメラは雨や雪からしっかり守ることができます。このアウターは、完全防水のうえにとてもしなやかなので、現場で動きやすそうでうれしい限りです。
ジャケット:エーグル「MTD SOUTIEN COLLAR CT 2.5」 ¥29,000+TAX、靴:エーグル「ICARE」 ¥15,000+TAX、その他本人私物
はいいろオオカミ+花屋西別府商店 店主 西別府久幸さん
スタイリストのアシスタントを経てフラワーズネストで働いた後、独立。古道具屋「はいいろオオカミ」店主である佐藤克耶さんとの出会いから、合同店舗を構えるに至る。また、個人の作品展も開催するなど、ショップ業務以外にも活躍の幅を広げている。作品のオリジナリティ、丁寧な仕事、気さくで穏やかな人柄にファンも多い。
仕事柄もあってか、〈エーグル〉のラバーブーツがとても堂に入っていますね。
ありがとうございます。やはり天然ゴムのやわらかさには驚きますね。ぐにゃぐにゃ曲げられるし、履きやすいし、おまけに自然とフィットする感覚は他のラバーブーツでは味わえないものです。
職人の手でゴムを配合し、型に流し込むのではなくパーツごとに組み合わせて仕上げているからこその履き心地なんです。仕事でラバーブーツを履く機会も多いですか?
そうですね。山に入ることも多いですし、畑仕事や庭の手入れもする。靴も服も、動きやすさと軽さが非常に重要です。
花や植物に自然と馴染むようなカラーリングを、自然と選んでるかもしれません。あとは、土いじりをしたあとで、そのまま配達に出かけないといけない場面もあるので、機能的でありつつもそのまま電車に乗れるくらい、ある程度街にも馴染むものを着ることが多いです。今回選んだコートは、まさにそういう視点で選びました。
いまのお店は「はいいろオオカミ」と「西別府商店」、2店舗が同居しているんですね。
はい。それまでは美容室の一角を借りてお店をやっていたんですが、もうちょっと独立した場所が欲しかった。そんなときに、彼が仕入れたアンティークに僕が選んだお花を挿したとき「ああ、これは一緒にやらないとダメだ」ってピンときたんです。
もちろん、これからもここでやっていきたい。ただ、「はいいろオオカミ」のオーナーである佐藤くんは建築の仕事もやっているし、私は私で作家活動もしています。ふたりの場所も持ちつつ、それぞれに戦うフィールドも広げていけたらと思っています。
ジャケット:エーグル「W WR COTTON MA-1 JK」 ¥19,000+TAX、靴:エーグル「MACADAMES LOW」 ¥17,000+TAX、その他本人私物
「She is」 編集長 野村由芽さん
1986年生まれ。編集者。カルチャーメディア「CINRA.NET」においてクリエイターやアーティストの取材・編集、アジアのバイリンガルシティガイド「HereNow」の東京キュレーターなどを務める。のちに自分らしく生きる女性を祝福するライフ&カルチャーコミュニティ「She is」を同僚の竹中万季と立ち上げ、編集長に就任。
今回のコーディネートのポイントについて教えてください。
運動やアウトドアをする人間ではないので、自分が持っている服とどう合わせるのがいいかを考えました。結果、甘めなワンピースと、〈エーグル〉のカジュアルだけれど職人さんの技がしっかり行き届いている骨太さみたいなものがあいまって、いい感じにひきしまりました。実は〈エーグル〉のウェアとリュックは、富士山に登るときにはじめて着用したんですけど、着心地がよく頑丈で、なおかつスタイリッシュな雰囲気で、心強かった印象がありました。今回着用させていただいてるものも、当時の印象と変わらず、いい感じです。
野村さんは、好きなものを好きなように着ている印象があります。
経験上、好きなものを「好きだ」って表明することで、周りとの関係もうまくいくし、自分の行きたい方向にも行ける気がします。言霊みたいなもので、着るものひとつとっても、それを好きなひとが周りに集まってくると思うんです。
意識的に服を着るようになったのは、いつ頃のことですか?
小学生の頃から、あまりひとの目を気にせず、好きな服を着ていました。赤のオーバーサイズのスエットに緑のフレアスカートを穿いたり。なので、すれ違うひとに二度見されるなんてこともしょっちゅうでしたね。でも、それを悪いことだとは思っていなかったような気がします。
周りの目を気にしない、大人になればなるほど難しくなっていくような気がします。
たとえば会社で、自分の好きなものについて話せないひとは多いと思います。そういうひとから、『She
is』が拠り所になっているという声を聞くとうれしいですね。もちろん、そもそもは私たち自身が拠り所を欲していたわけですが、同じように感じているひとが想像していたより多くって。
数え切れないほどのウェブメディアがあるなかで、『She is』というメディアがすごく支持を集めていますね。
いまは女性を主語にしていますが、そもそもは、だれもが抱える悩みや生き方について考える場所をつくりたかったんです。だから、集まってくださるひとたちとの時間をもっとも大切にしている。『She is』が数あるメディアと少し違うところがあるとすれば、そういった関係性の濃さや成り立ちの違いからかもしれません。まだまだ、日本中には届いていない現状ですが、私たちと同じような精神性をもったひとが世界中に存在していると思うので、できるだけ遠くまで届けていくのが今後の課題です。