CLOSE
“発明”と“工夫”で生き残っていく。野外フェス「THE CAMP BOOK」のいままでとこれから。

Charm of THE CAMP BOOK.

“発明”と“工夫”で生き残っていく。野外フェス「THE CAMP BOOK」のいままでとこれから。

2019年6月8日、9日に富士見高原リゾートで開催される野外フェス「THE CAMP BOOK」。家族や仲間同士で楽しめる、多幸感に溢れた世界観が人気を博し、2017年から毎年開催しています。実はこのフェス、かなり特殊なバックグラウンドを持っています。というのも、そもそもこのフェスは株式会社リペアという住宅や店舗のリフォームやリノベーションを手がける会社の新規事業として始まったもの。今回「THE CAMP BOOK」を主催する株式会社リペアの樋口大貴さん、渡會竜也さんのお二人にこのフェスのコンセプトから、第3回となるフェスの楽しみ方、そして、日本各地で乱立するフェス戦国時代を生き残っていくための“発明”と“工夫”について語っていただきました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

樋口大貴 株式会社リペアイベント事業部

1983年生まれ、神奈川県出身。好きなアーティストはTURTLE ISLAND。

渡會竜也 株式会社リペア総合リフォーム事業部、意匠建築事業部

1983年生まれ、山形県出身。好きなアーティストはBLACKFLAGとUnsane。

群雄割拠のフェス需要における他との差別化。

現在、日本はフェス戦国時代と呼ばれるほど色々なフェスが乱立しています。そういう状況の中で、三年目を迎えられるというのは並大抵のことではないですよね。「THE CAMP BOOK」のコンセプトはそもそも何でしょうか?

樋口“共に学び、共に遊ぼう”というのを核に置いています。大人や子どもが楽しみながらも、互いの成長を実感できるような場をつくりたいという思いがあって。やっぱり野外に出てみんなで時間を過ごすことのいいところって、お互いの普段見られない部分が見られることだと思うんですよ。

渡會そうだね。去年は何もしなかった子どもが今年はテント立てるのを手伝ってくれてるとか、逆に子どもはお父さんが音楽、聴いて泣いてるとかそういう新たな一面を発見できるって他になかなかないよね。

樋口「THE CAMP BOOK」っていう非日常空間で思いっきり学んで、遊んで、楽しんでもらって、その体験を持ち帰ってもらって日々の生活に活かしていただけたらいいなって思ってます。

渡會続けていくってことが大事だなって思ってます。「THE CAMP BOOK」の“BOOK”にはまさに家族や友達同士での思い出を「本」に綴っていってほしいっていう思いが込められているんです。

熱い想いがこもってますね。「THE CAMP BOOK」は音楽以外にも、子どもも大人も楽しめるコンテンツが充実していますよね。これもそういうスピリットの現れなのかな、と。

渡會そうですね。RCのラジコンとかキックバイクのタイムトライアルとか。もう、これが子どもに大人気なんですよ。あとは地元の建材とか資材を使って楽器やハンモック、ジャングルジムを作ったりとか。子ども用のクライミング・ウォールもあります。あとはTURTLE ISLANDの竹舞さんが担当してくれている童謡や童唄、民謡等を親子一緒に生演奏する親子リズムなどとにかく盛りだくさんです。

樋口もちろん、子どもが楽しめるのは何よりも大事なんですけど、大人の方々にも存分に楽しんでもらいたいって思いがあって。去年から夜の時間帯にDJをやったりしていますね。やっぱり自分たちが子連れでイベントに行ったときにそういう時間が欲しいなって思ったんですよ。

DIYスピリットを発信し続けること。

なるほど、実体験が反映されているということですね。建築関係の会社としての強みのようなものものも会場では発揮されているのでしょうか?

渡會そうですね。「THE CAMP BOOK」が他のフェスと異なるのは、いいフェスって大体外部からデコレーターの方が参加して会場の装飾を担当されてるんですけど、ぼくらはそれらすべてを会社のスタッフがやってるんです。これまで培ってきた技術を総動員して動けるので、手の込んだ統一感のある装飾がつくれる部分はあると思います。

樋口普通のフェスって実行委員会形式がほとんどですからね。あと、先ほどコンセプトの部分で言い忘れましたが、「THE CAMP BOOK」は多幸感を感じてもらえるようなフェスにしたいって思いがあって。ひとつの企業がやっているということで、自分たちの思いみたいなものが非常に出やすい形でできていると思うんです。アーティストや物販、ワークショップなどのコンテンツが全部合わさってひとつの多幸感のある世界観をつくっている。そういう部分を感じてもらえたらいいなって思ってます。

渡會ぼくらは全体の装飾のコンセプトをステージのデザインを考えるところから始めるんですね。あまり多くは言えませんが、今年は“異国情緒”を感じてもらえるものを考えています。

樋口やっぱりぼくらは、自分の目で見たり、実際に感じたことをフェスに反映させたいって思いがあって。なので、飲食店もフェスの目玉のひとつではあると思うんですけど、「THE CAMP BOOK」に関しては、他のフェスに比べると圧倒的に少ないと思います。それはぼくらが普段から行っているお店や、地場のお店で美味しいところに出てほしいと思っているので。ありがたいことに「出店させて!」って言っていただける声もすごく多いんですけど、いまのところは自分たちの手の届くところでお願いさせていただいています。

渡會飲食店や協賛企業の方にも装飾に関してはすごくご協力いただいていて、全体の統一感を出すためにロゴや看板とかすべてデザインを揃えさせていただいているんです。

最高のロケーションと至高の音楽。

先ほどのお話にもありましたが、今年は富士見高原リゾートに開催場所が決定したそうですね。この場所の魅力について教えてください。

渡會とにかくキャンプをするには最高の場所なんです。八ヶ岳の麓にあって、南アルプスや富士山も見える。森に囲まれていて、六月だと緑も深くなってきていて花も咲いている。天国かよ!っていうような場所ですね(笑)。

樋口しかも晴天率がすごく高いんです。通年通して、80パーセントを超えていて、アクセスもすごくいい。中央道で一回も分岐せずに東京から2時間ぐらい。名古屋からも2時間半ぐらいなので、関東や中部地方の方々にお越しいただけるかなと。

ブッキングについても、お話を伺いたいと思います。音楽面に関しては、今回はどのようなコンセプトで決めていかれたのでしょうか?

樋口今年に関しては、1~2年目の流れを踏襲しつつ、やっぱり原点にある“多幸感”っていうものを感じてもらえるような、音楽の余韻に浸れるアーティストの方々に出演をお願いしました。ライブっていうものに重きを置いていて、来てくださる方を心の底から楽しませてくださるような。実際にいろんなライブに足を運んで「素敵だな」と思った方々をブッキングさせていただいています。

フェスをやると決めた時点で、この人たちは絶対に呼びたいと考えていたアーティストの方々はいたのでしょうか?

樋口そうですね。どの方にも熱量を持ってお願いしているんですけど、そもそものこのフェスの関係者はパンクやハードコアに精通している人が多くてですね(笑)。初年度でTURTLE ISLANDに出演していただけたのは嬉しかったですね。フェスをやるなら、絶対にお願いしたいと思っていたバンドだったので。

渡會最初のフェスのコンセプトの中には「親父のモッシュを記憶に刻ませよう」っていうキーワードもありましたからね。途中で消えましたけど(笑)。でも、確実にそのスピリットはあると思います。

樋口ただ、全体としては「ジャンルにとらわれないブッキングにしよう」って考えていました。ヒップホップの方もいれば、石野卓球さんみたいなテクノDJもいて、ギター一本で弾き語りをしてくださる方もいれば、ゴリゴリのサイコビリーバンドもいるというような。誰も知らないアーティストを世に広めたいみたいな大それた思いは全くないんですけど、会場に来た子どもたちにいろんな音楽に触れて欲しいなって思いはあります。

渡會今年も面白いブッキングになりました。嬉しいことに音楽業界の方々からの評判がすごくいいんですよ。「すごいところついてくるね!」って(笑)。

樋口吉本のある芸人さんにも「イかれてんな……このフェス!」って言っていただいたぐらいですからね(笑)。今年も異国情緒あふれるSoi48や、MONAURAL MINI PLUGっていうバンドだったりとかぜひ観てほしいですね。

今後の「THE CAMP BOOK」はどのような発展を遂げていく予定でしょうか?

渡會思いは変わらずに、これからも続けていくことが大事かなって思っています。建築が主体の事業の会社がやっているフェスなので、収益はもちろん大事なんですけど(笑)。点で見ずに線で考えていくことができる。「THE CAMP BOOK」の装飾には絶対に勝てないって他のフェスのスタッフの方々にも言ってもらえるようなところまで頑張りたいなって思ってます。

樋口先ほども話に上がりましたけど、いろんなフェスがある中で生き残っていく、共存していくのって本当に大変ですよね。工夫と発明が絶対に必要で。少し話が戻るんですけど、ぼくが「THE CAMP BOOK」を始めたいと思ったのは、TURTLE ISLANDが主催している「橋の下世界音楽祭」っていうフェスに行ったことがきっかけだったんです。

渡會最高だよね。

樋口本当にあのフェスは工夫と発明にあふれていて。入場無料で、ブッキングがまず知る人ぞ知るというような人から、ジャカルタとかモンゴルからもバンドを呼んでるんです。会場の装飾とかステージも独特で、草原の中でライブが始まったりする。運営の仕方も思いっきりパンクで、常に音が鳴っているような状態でタイムテーブルの概念がぶっ壊されましたね(笑)。

すごいフェスですね。

樋口でも、無料なので本当にいろんな人が来るんですよ。学生服を着た少年もいれば、年配の方もいる。その横で全身スタッズと刺青だらけのパンクスが暴れてるみたいな景色が広がっていて。本当に素敵だったんですよね。ぼくたちもそういう発明と工夫がいい形で結実しているフェスでありたいなと。これからもいろんな新しいアイデアを入れたりしながら続けていくと思うんですけど、「THE CAMP BOOK」のコンセプト自体を楽しんでくれるようなフェスにしたいなと思っています。

TAG
#THE CAMP BOOK
Page Top