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居心地のいいアットホームなフェス。「頂」が人気を集める5つの理由。

HOW ABOUT ITADAKI !?

居心地のいいアットホームなフェス。「頂」が人気を集める5つの理由。

2008年に静岡でスタートした音楽フェスティバル「頂(ITADAKI)」。インディーからメジャーまで、幅広い出演アーティストたちによるジャンルレスな音楽はもちろん、気持ちのいい気候、快適な空間演出、環境への配慮など、数え上げたらキリがないほどたくさんの魅力に詰まった音楽の祭典です。今年も12回目の開催を終えたばかりの同フェスに、我々フイナム編集部も参加してきました。音楽とアウトドアを存分に堪能した2日間(もちろんフードやビールも!)。来年の開催がいまから待ち遠しい限りですが、そんな気持ちをみなさんと共有すべく、独自の視点でこのフェスの魅力を掘り下げていきます。

  • Photo_Shinji Serizawa
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Jun Nakada
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来場者と一緒につくる賑やかな景色。

今月はじめ、静岡県吉田町にある吉田公園に行ってきました。目的はここで開催される音楽フェス「頂(ITADAKI)」に参加するため。2008年にスタートしたこの音楽の祭典は、今年で12回目を迎えました。そして特筆すべきは、回を重ねるごとにアップデートを繰り返し、そのスケールを大きくしてきたこと。

とはいえ、ただ単に大物ミュージシャンを招致して、目に見えやすい形でお客さんを集めているのではありません。「頂」はきちんと細かな部分に目を配り、来場者本位で改善点をブラッシュアップしているのです。つまり、運営者たちが自分たちの手足を動かしなら作り上げてきたフェスだということ。

「頂」の魅力を存分に体感したこの2日間。良質な音楽やフードはもちろん、何より会場に漂う空気感が最高でした。そしてそれは、主催者がいくら奮闘しても狙ってできることではありません。なぜなら、その空気が生まれる背景には、そこに集った来場者たちの姿も含まれるから。個々が気持ちよく過ごせるからこそ、トラブルもなく、楽しく、安心してフェスに没頭できる。そうしたムードが会場の至るところで発生し、賑やかな景色へと姿を変え、我々の目に映り込んできたのです。

では、どうして気持ちよく過ごすことができたのか? その理由を考えてみました。

REASON_01
豪華なアーティスト勢と緻密に組まれたタイムテーブル。

「頂」には、大小問わず色とりどりミュージシャンたちが出演しています。ポップス、ロック、ヒップホップ、ジャズ、レゲエ、アブストラクトミュージックに至るまで、さまざまな音楽を奏でながら宴を盛り上げます。

さらに、きちんと場の雰囲気をイメージしながらタイムテーブルが考えられているところもポイントで、昼間は盛り上がるミュージシャン、夕方からはしっとりとメロディーを聴かせるミュージシャンがいたりと、時間帯に合わせて心地よくムードを包まれるようなプログラムが組まれていました。それによって出演しているアーティストのみなさんも気持ち良く演奏できたことでしょう。

King Gnu(ITADAKI Photo Crew)

never young beach

トップバッターは思い出野郎Aチーム。ダンサブルなファンクを奏でながら快晴の週末が気持ち良くスタート。その後はD.A.N.、韻シスト、iri、MIGHTY CRON、PUSHIM with HOME GROWN、King Gnu、never young beach、SPECIAL OTHERSといったアーティストが続々と登場し、来場者たちの気分を徐々に上げていきます。

Clammbon(ITADAKI Photo Crew)

日が沈み、空にきれいな青いグラデーションが生まれる心地よい時間には、キャンドルステージでClammbonがアコースティックセットで登場。キャンドルの灯だけの幻想的な空間の中でしっとりした演奏を披露しながら、フェスという非日常的な環境をより強く感じる時間を創造していました。

長岡亮介(ITADAKI Photo Crew)

その後はGOMA&The JRS、スチャダラパーがメインステージで再び観客はヒートアップ。そして日付が変わるまであと数時間というタイミングでは、キャンプサイトに設置されたムーンステージで、Port of Notesやフイナムではおなじみの長岡亮介が、うっとりさせるようなパフォーマンスを披露。虫たちの鳴き声と混ざり合いながら、気分をスローダウンさせる、緩やかで心地よい演奏は、来場者の疲れを癒してくれました。

高木正勝(ITADAKI Photo Crew)

翌朝。高木正勝によるピアノの旋律が緑溢れる会場に鳴り響き、ゆっくりと2日目がはじまりました。

唾奇

その後は沖縄出身のラッパー・唾奇。続いて抑揚のあるメロディーとバンドアンサンブルが心地よいスカートがステージに上がり、2日目のステージに火をつけ、昼頃にはRickie-G、PJが登場。彼らのまどろむようなグルーヴは、日曜の昼というシチュエーションにピタリとハマっていました。

14時からは石崎ひゅーい、ORIGINAL LOVE、The Birthday、BRAHMAN、サンボマスターが続けてステージの上に立ち、加速するように来場者たちの気持ちを煽り、音楽が生み出す力のすごさを教えてくれました。

1日目と同様に、日が暮れる頃には再びキャンドルタイムがスタート。ステージではEGO-WRAPPIN’が「Mellow Twilight SET」を披露。文字通りメロウな音楽でゆったりとした時間を演出します。

最後は恒例となった渋さ知らズオーケストラが登場。フロア全体をステージとして使う彼らのライブパフォーマンスは、演者とオーディエンスという垣根を壊し、会場をひとつにまとめていました。

こうした流れるような緻密なタイムテーブルがあるからこそ、僕たちはそれぞれのアーティストの特徴を捉えられ、パフォーマンスの魅力を知ることができる。それによって2日間とも、飽きもせずにどっぷりと音楽に浸ることができるのが「頂」のすごさなのです。

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緑溢れる会場の居心地のよさとホスピタリティ。

音楽を聴いているとき、よりステージに近い場所でパフォーマンスを堪能したり、芝生に座りながらゆっくりとマイペースな時間を過ごしたり、フードやビールを片手に楽しんだりと、さまざまなアプローチでアーティストたちの演奏に耳を傾けていた来場者。

会場内は、手持ちの椅子やテーブルを広げられるスペースと、音楽を聴きたい人が自由に楽しむためのスペースがしっかり区画分けされており、思い思いの距離感を取れるよう配慮されていました。しかも、会場となった吉田公園は綺麗に整備された芝生も魅力のひとつ。立っているのに疲れたら、その場に座って休憩をとることもできます。サンダルを脱いで裸足で歩いている人も多く見受けられました。

1日目のチケットはソールドアウトしたようですが、会場が人でぎゅうぎゅうになることはなく、来場者がそれぞれ楽しむためのスペースがきちんと確保されていました。これも「頂」の高いホスピタリティのひとつと言えるでしょう。

また会場内にはたくさんの物販ブース、そしてフード&ドリンクブースが設けられていました。カレーや焼きそばといったガッツリ系から、ピザのようにみんなとシェアできるフード、ポテトなどのおつまみなんかも用意され、選択肢がとにかく充実。一方ドリンクも同様に、ビールやカクテル、それに焼酎系のお酒もあって、気分に合わせていろんな食べ物を楽しむことができました。しかも、ひとつのお店に大行列ができることはなく、スムーズに買い物ができたのもうれしかったことのひとつ。1ヵ所にフード&ドリンクコーナーが固まるのではなく、広い会場内に分散するような形で立地することで、便利さも感じられました。もちろん、どのお店もクオリティーの高い料理を提供していたのは言うまでもなく、だからこそいろんな種類のフードを楽しもうと、お店に足を運ぼうという気持ちになったのです。

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小さな子供でも安心して遊べる安全性。

「頂」には子供たちが遊ぶためのキッズエリアが設けられており、大人が子供たちと一緒になって遊ぶ光景を至るところで見かけました。これだけ多くの子供たちが一堂に介し、たくさんの遊具に囲まれれば、彼らもきっと楽しくないわけがないでしょう。

エリア内には子供向けのワークショップなども開催され、親子でフェスを楽しむきっかけづくりも積極的に行われていました。

大人たちが手を取り合って助け合い、子供の楽しみを優先させる姿に、ほのぼのとした気持ちにさせられると同時に、それは学びの瞬間でもありました。主催側に一方的に頼るのではなく、来場者同士でできることをやる。そうして一緒になって楽しい場をつくろうとする光景は、ファミリーが多い「頂」ならではのものかもしれません。

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環境に配慮した地球に優しいフェスティバル。

会場に到着してすぐ、エントランスで家庭で出た廃油を回収している場面に遭遇。「頂」では、会場内で使用される電力をバイオディーゼル発電で運営しています。ステージ照明、音響、出店テントの電気といったフェスに必要な電力すべてです。

自分たちが持ってきた廃油をエネルギーに変え、それによってフェスが運営され、自分たちがアーティストのパフォーマンスやフードなど、さまざまなアクティビティを楽しむ。極めてエコな循環だと思いませんか? しかも、回収した廃油1リットルあたりを10円に換算し、東日本大震災、熊本地震の復興支援活動に役立てているのだとか。

また会場内で提供されるフードやドリンクの器は、すべてデポジット制。食べ終わったらゴミ箱ではなく、リユース食器返却所で回収され、洗った後に再び使用されます。こうして不要なゴミが出ないよう、労力と人手を確保しているのです。

ただ楽しいことを考えるのではなく、いかに社会貢献をしながら楽しいことをするのか。そうしたことを考える良いきっかけを「頂」は与えてくれました。

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