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新エリア「BEAMS Village」で「頂」を最高の思い出に。
さらに注目したいのは、今年から「BEAMS Village」という新たなエリアが追加されたこと。セレクトショップの「ビームス」は、2016年から「頂」と一緒に取り組みを行っており、かねてから温められてきた両者の関係が一歩前へと押し進められ、ついにエリアとして形になって現れたのです。
主な内容は、〈ノルディスク〉の代表的なテント「アスガルド」を使用した4組限定のグランピング体験と、マクラメという紐を編んでつくる壁飾りのワークショップの開催、そして〈FUJIFILM〉と手を取り合って行われたインスタントカメラ「チェキ」の貸し出しサービス。
「頂」と「ビームス」の関係がどのようにして発展し、どうしてグランピングエリアを設けることになったのか、今回の仕掛け人のひとりである「ビームス」の前田太志さんに教えてもらいました。
これまで「ビームス」はどのような形で「頂」に参加してきたのですか?
前田いままではFUJIFILMさんのinstax「チェキ」を使ったワークショップを開いたりしていたんです。エリアの一角を使ってお客さまの思い出に残るようなコンテンツを、ぼくらが一緒になってやらせていただいていました。あとはスタッフTシャツのサポートもしていましたね。
今回は「BEAMS Village」として大掛かりなコンテンツを制作されました。どういった経緯ではじまったのでしょうか?
前田ぼくらにとっても「頂」は大好きなイベントですし、もっといろんな人に外遊びを楽しんでもらいたいという気持ちがあったんです。なので、こうした空間のプロデュースを通してそれを実現しようと思ったのがきっかけですね。これまでのお付き合いの中で、「頂」のスタッフの方々とぼくらが共鳴する部分がすごく多かったというのも後押ししてくれています。また、「ビームス」では「HAPPY OUTSIDE」という外遊びを楽しむためのプロジェクトも行なっており、その中で「頂」とも手を取り合っているんですが、この「BEAMS Village」はそのプロジェクトがひとつの形として立体的に現れた場所になっています。
外遊びにもさまざまなアプローチがある中で、どうしてグランピングをやろうと思ったんですか?
前田ぼくらもアウトドアが大好きで、日々お店にある商品や、それを実際にプライベートで使って楽しんでいるんです。その楽しみをお客さまと一緒に共有したい。そんな気持ちがありました。ただ単にスペースを確保して、そこで自由に楽しんでもらうだけなら、僕たちがやる意味はありません。じゃあ「ビームス」らしさをどう表現するか。そこで、僕たちがセレクトしたアイテムを僕たちのアイデアで配置して、空間を彩るという方法を思いついたんです。
ということは、ここで使われているアイテムはすべて「ビームス」で販売されているものなんですか?
前田いえ、今回のために集めたアイテムでグランピングをセレクトして構成しています。僕らが個人的に信頼しているアイテムを使っていて、いろんなメーカーやブランドさんからご協力いただいて今回のコンテンツが成立しているんです。
「ビームス」の商品を使わず、わざわざ今回のためにアイテムを集めるのはどうしてなんですか?
前田もちろん「ビームス」のアイテムは、自信を持ってオススメできますし、使いたい気持ちもあります。でも、前提として「頂」がある。僕らはそこに参加させてもらっているという気持ちがあるので、自分たちが前のめりになり過ぎてそのムードを壊したくないんです。
なるほど。あくまで「頂」という空間との調和を目指していると。
前田はい。「頂」を楽しんでいる来場者といかに共感できるか。そして、さらに感動してもらうにはどうすればいいか。そこが大事なポイントだと思っています。
前田あと、FUJIFILMさんの「チェキ」を来場者の方に貸し出すことで、思い出を写真に具現化したり、メインステージから離れた場所で休憩スペースとしてここを利用してもらったりしています。
前田一方では、マクラメという紐でつくる装飾アクセサリーのブランド〈ウッドアンドノット(WOOD&KNOT.)〉にも参加してもらって、ワークショップも開催しています。実は「ビームス」のスタッフがこのブランドを運営していて、アウトドアへの造詣も深いこともあり、より感度の高い人たちに向けたものづくりを楽しめるコンテンツになりました。それに「頂」の来場者は、若い方、音楽好きな方、アウトドア好きな方、子連れのファミリーなど、いろんな方がいらっしゃいます。そういった人たちが自分のペースで楽しめる、そんな空間を目指しました。
自分たちの考えを押し付けるのではなく、あらゆることを想定しながらみんなで楽しめる場所になっていると。
前田そうですね。だからグランピングのテント内のインテリアも、いろんなことを考えながらつくりました。イメージは「溜まり場」です。ひとりになったときとか、寝る前に漫画を読みながら時間を過ごしたりとか、テント内の中央にテーブルを設けることで一緒に来た人たちと団らんできたりとか、女性のお客さまがいることも想定してメイクするのにちょうどいいサイドテーブルを設置したりとか。とにかくいろんなことを考えて納得いくスペースにしました。
地面に座るのに疲れた人はコットに座ることができたり、体が冷えないようにラグが敷かれていたりなど、本当に細かな気配りがなされていますね。
前田アウトドア好きな人はもちろんですけど、そういったアクティビティに慣れ親しんでない人でも十分楽しんでもらえるように工夫しました。いかに「頂」を楽しんでもらえるかということに関して、とにかくみんなでアイデアを出し合い、形になったのが「BEAMS Village」なんです。
2日間を通して、「BEAMS Village」には絶え間なく人が足を運んでいました。そしてグランピングを体験した4組の人たちも、より一層快適で思い出に残るフェス体験ができた様子。女性だけのグループや、ファミリー、アウトドア上級者やビギナーの人たちなど、利用した人たちの層はバラバラ。ですが、どのグループも声を揃えて話していたのは「とにかく快適で、大満足だった」ということでした。
女性グループに話を聞くと「コンセントがあるって事前に聞いていたので、家から持って来たアイロンとドライヤーを使うことができたのがうれしかったです」「これを機に自分たちでもキャンプ道具を集めてみたくなりました」といった女性ならではの声を聞かせてくれました。
一方アウトドアビギナーの方は「何も知識がなくても楽しめました。リッチな感覚というか、ちょっとした贅沢を味わった気分です。夜にテントの中でこじんまりとみんなと話ができたのもすごく楽しかったですね。アウトドアの魅力を知れるいいきっかけになりました」と、新しい体験に感性を刺激された様子。
「ステージに近い場所にあるのがすごく良かったです。疲れたらすぐに帰ってこられるし、ここにいてもステージの音楽が聴こえてくるから休憩しながら演奏を楽しむこともできます」と話してくれたのはファミリーで参加した来場者。「大人3人、子供4人で泊まっても全然窮屈さを感じなかったし、〈ノルディスク〉のテントが欲しくなりました。設営も片付けもせずに帰れるのもうれしいですね」と大満足の様子。
自分たちの道具を持ち込んで、グランピングにオリジナルのカスタムをして楽しんでいたアウトドア上級者のグループ。「普段フェスに来るときは寝る場所を確保するためにキャンプをしている感覚なんですが、今回はすでに用意されていたので、安心して音楽もキャンプも楽しむことができました。居心地が良すぎたのか、ステージそっちのけで、つい長居してしまいました(笑)」と、楽しそうに話してくれました。
会場内では「BEAMS Village」でレンタルしたチェキを持ち歩く人がたくさん見られ、用意していたカメラがすべてレンタルされて“待ち”の状態になったほど。僕たちもチェキを使って思い出作りをしましたが、やっぱりインスタントカメラは使っていて楽しいですね。そうした気分がフェスの空気と相まって、みんなが笑顔になっていたような気がします。
というわけで、とにかく楽しかった2日間が終了。参加しながら、自分もフェスを構成する一部であることを実感できる「頂」。まだまだ魅力が語りつくせませんが、ほかにもたくさんのコンテンツがこのフェスには用意されていました。1日だけ参加するもよし、2日通して存分に堪能するもよし。来年は果たしてどんな催しが行われるのか、いまからその動向に注目しておきたいところです。