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古着サミット7 前編 スペシャルゲストを迎えた古着放談!

Houyhnhnm Vintage Summit.

古着サミット7 前編 スペシャルゲストを迎えた古着放談!

業界屈指のヴィンテージアディクトたちによる恒例の古着放談もいよいよVol.7を迎え、今回はスペシャルゲストとしてレギュラーメンバー4名がリスペクトして止まないベルベルジン代表・山田和俊さんが参戦してくれました。日本でもトップクラスの古着有識者5名が一堂に会した、まさにスペシャルを語るに相応しいクロストークをなんと前後編の2部構成でお届けします。

  • Photo_Takeshi Kimura
  • Text_Takehiro Hakusui
  • Edit_Yosuke Ishii
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今野智弘 / NEXUSⅦ. デザイナー

1977年生まれ。2001年 N.Yより〈ネクサスセブン〉を始動。2014年には直営店『V.E.L』を東京・千駄ヶ谷にオープン。7月には都内某所でスペシャルポップアップストアを開設予定。

藤原裕 / BerBerJin ディレクター

1977年生まれ。L.A.発のデニムブランド〈ヤヌーク(YANUK)〉のアドバイザーとしても知られ、昨年6月からは自身のYouTubeチャンネルを立ち上げ、YouTuberとしても活躍中。

栗原道彦 / ヴィンテージバイヤー

1977年生まれ。2011年よりフリーでの活動を開始。古着屋のみならず数々のセレクトショップやブランドからも絶大な信頼を集める日本屈指のヴィンテージバイヤー。昨秋には、キャリア初となる自身のショップ「ミスタークリーン横浜」をオープン。

阿部孝史 / ビームス オンラインショップ スタッフ

1976年生まれ。これまで編集・ライターとしてメンズファッション誌に携わり、多くの古着関連の記事を扱ってきた有識者。現在は自社サイトなどでライティングなどを担当する一方、ヴィンテージバンダナの世界的コレクターとしても知られる。

SPECIAL GUEST

山田和俊 / BerBerJin オーナー兼バイヤー

世界でも屈指のヴィンテージショップ「ベルべルジン」オーナー兼バイヤー。バイイング歴20年にして、いまなおアメリカとの往復生活を続けるシーンのキーパーソン。只今新店舗オープンの計画が進行中とか。

第一講 山田和俊
「ボーダーTはピッチが太いものほど人気も市場も高騰傾向にある」

60’s BORDER T-SHIRT

山田ホントはこういうところに私物を出したくないんだよねえ。

阿部何しに来たんですか(笑)

山田「古着サミット」自体には参加してみたいとは思っていたけど、自分がオススメするカテゴリーとかは一切教えたくなくて。

阿部いやいや、そういう企画なんで(笑)

山田そうだよね。まあ、一応何個か持ってきてはみたけど。

今野全部Tシャツですか?

山田ひとつめのカテゴリーはボーダーTですね。4枚とも60年代のもの。〈ジャンセン〉(1910年にアメリカ西海岸で創業した老舗ニットブランド。創業当初はスイムウエアを中心に展開していたことからタグには水着を着た女性の肖像が描かれる)の太ボーダーは有名だと思うけど。とはいえ、個人的に〈ジャンセン〉のものは袖が長いからあまり好きじゃなくて。

栗原パッと見だと60年代のものとは思えないですよね。〈ギャップ〉とか80年代くらいのものっぽい配色。

阿部相場だといくらぐらいするものなんですか?

山田自分が店に出すなら2万9800円かな。

阿部えっ。そんなに高いんですか?

藤原いやいや、余裕でしますよ。ちょっと安く言ったなと思ったくらい(笑)

阿部そうなんだ、知らなかった。それにしても山田さんにはネイビーよりも黒の印象のが強いんだけどな。

今野そもそもボーダーを集めるきっかけが何かあったんですか?

山田集めてるって感覚はないかな。単に自分に合ったサイズのものが何枚か揃ったタイミングだったので。

阿部この白×黒の極太もかなり珍しいですよね?

藤原これなら3万9800円で出しても即売れますよ。

山田いやいや、3万9800円だったらオレは手放したくないかな。〈ジャンセン〉だったらまだしも〈シアーズ〉はまず出てこないからね。

阿部へえー。クリくんだったらいくら付ける?

栗原うーん、「ベルベルジン」に持っていきますね。

一同(笑)

栗原白×黒だけじゃなく、ヴィンテージのワイドボーダー自体がまず出てこないですよね。出てきても年間2、3枚って感じなので。

阿部そうなんだね。年代によってピッチ(ボーダーの間隔)の傾向とかってあるんですか?

山田それは特にないかな。ただ、ピッチが太いものほど人気も市場価格も高い傾向はあると思う。

阿部中央にネイビー1本だけのやつとか、どこかのブランドがつくっていても全く違和感ないですよね。

山田これは〈タウンクラフト〉のものだったかな。

山田それとこの白×ネイビーの中太ボーダーもネイビーの部分にステッチみたいな織柄が入っていて、普通のボーダーとはまた違うんだよね。

阿部ネイビーや黒みたいなダークトーンの方が人気も相場も高いってことですね。

今野それにヴィンテージならではの「焼け」も魅力ですよね。最近のものだと染料の質自体が良くなってるから、こういう絶妙な焼け感が出せないんですよね。

「まだ全貌が掴みきれていない、オールド・バナリパ。奥が深いんです」

80’s BANANA REPUBLIC T-SHIRT

山田次は〈バナナ リパブリック〉の80年代製プリントT。

今野これはすごい。何パターンあるものなんですか?

山田全貌はまだ掴めていなんだけど、何シーズンかに分かれてリリースされていたみたい。

藤原このカラープリントは昔よく見た気がするけど、モノクロの方はあまり記憶にないですね。

山田いや、カラーも見たことないはずだよ。ぼくが学生時分には当時の現行品として普通に売っていたものなんだけど(〈バナナ リパブリック〉はメル・ジーグラーによって’78年に設立され、当時流行していたサファリスタイルを当初からブランドカラーのひとつとしていた)。バナリパ自体ちょっとしたブームがあったじゃない、渋カジのタイミングで?

今野そうですね。トカゲのプリントとかですよね。

山田そうそう。じつは今日持ってきたものって、あの頃のひとつ前の世代のものなんだよ。あのタイミングで流行ったやつは胸ポケットのプリントがブランドネームロゴなんだけど、それ以前はシンボルマーク単体のプリントだったみたいで。

今野80年代初期ってことですか?

山田サファリシリーズのスタートは70年代後半みたいなんだけど、Tシャツが出てきたのは80年代に入ってからなんじゃないかな。いまのところ何パターンあるか定かじゃないから、とりあえずいまは見つけたら買うようにしている。

阿部売るならいくらぐらい付けます?

山田うーん。1万5000円ぐらいは付けてもいいのかな。まあ売らないけどね。集め始めて1年ぐらい経つけど、まだまだ奥が深そうなので。

阿部何かきっかけがあったんですか?

山田以前、「ベルベルジン」20周年のタイミングに『アリス・イン・ワンダーランド』のシリーズTを出したんだけど、それがいまとなっては1枚数万円とかしちゃうワケで。自分的には面白くないんだよね(笑)。それならまだ誰も掘っていないようなシリーズものを集めてみようと思った内のひとつがバナリパで。

阿部あれ(アリスシリーズ)は何であんなに高騰したの?

今野このシリーズは違いますがおそらくディズニーも同じ題材で映画化して有名になっているのと、あれほどのバリエーションがあるものは他になかったからかと。

阿部なるほどね。

今野特にハンプティダンプティのプリントはあの20周年以来、ぼくも見たことないから、もともとの玉数も少ないものなんでしょうね。

山田「ベルベルジン」20周年セールの徹夜組のトップ2はアリスシリーズ狙いだったみたいだし、前々から探している人はいたみたいね。これまでもちょっとずつ小出しにはしていたけど。まさかあそこまで高騰するとは思ってもみなかったよ。

「しばらくはこのシリーズを徹底的に掘っていこうと。だから教えたくなかったんだけどね(笑)」

90’s Lockway 88 SuperNatural Productions T-SHIRT

山田次は、ちょっと前にもともと本屋で売られていた「Largely Literary」っていうアーティストシリーズを「ベルベルジン」で放出したんだけど、それ以降に気になり始めた同じくアーティスト系のシリーズもの。おそらくこのイラストを描いた作者の直筆で〈Lockway 88 SuperNatural Productions〉ってプリントされてるんだけど、いくら検索してもヒットしなくて。

今野アーティストものなんですか?

山田よくプリントを読むと「Artist Series」って書かれていて、しかもナンバリングもある。おそらく#1とプリントされたものがレオナルド・ダ・ヴィンチだと思うんだよね。

山田まず最初の3枚を1人のディーラーから手に入れて、ナンバリングがいくつまであるのか知りたかったから、周りのバイヤーとかに見つけたら声がけしてくれるようにお願いしていたら、後から2枚ほど出てきて。#2がゴーギャン、#3がゴッホ、#4がピカソってモチーフから徐々に推測していったんだけど、ひとつのナンバリングに1枚ってワケじゃなさそうで。

阿部と、言いますと?

山田#1がダ・ヴィンチなのは間違いないとは思うんだけど、すでに絵柄が違う2種類の#1があるんだよね(笑)

阿部これは難航しそうですね。

今野もしかすると2パターンだけじゃなく、3とか4パターンある可能性もあるってことですよね?

山田そう。とりあえず、しばらくはこのシリーズを徹底的に掘ってみようと考えてる。

阿部記事にしちゃってイイんですか?

山田だからイヤだったんだよ(笑)

一同(笑)

「すでに50枚以上は集めたジャズ&ブルースT」

90’s JAZZ & BLUES T-SHIRT

山田最後はジャズ&ブルースTのシリーズものです。これはもう50枚以上集めたかな。「Gear Inc.」という当初はアトランタの会社がリリースしていたんだけど、いまはニューオリンズに移転したみたい。

阿部何年代ぐらいのものなんですか?

山田90年代だね。

栗原最近もつくってます? というのも、アメリカ製じゃない近年ものもたまに出てくるので。

山田一部はリプリントで出してるみたいだね。

阿部これは海外にもコレクターとかいそうですね。

山田でも、まだ手の届くレベル。だからこれも教えたくなかったんだよ。

阿部山田さんがこういうTシャツを着るのはイメージないですね。

山田白ボディのは着てるよ。白の方がちょっと珍しいしね。

栗原おそらく当時はロックTと同様、レコードショップとかで売られていたものだと思うんですけど、白ボディ自体が圧倒的に少なくて、出てきても黒ばかりで。

阿部やけに詳しいね。

栗原いや、ぼくも山田さんの依頼があって、気にして見ているので。

阿部なるほどね。あまり出ないものなの?

栗原出てきてもTシャツを専門に扱っているような若いディーラーは強気の価格を付けてくるので。

山田そうね。もはや音楽系に関わらず、プリント自体がデカイものは最近総じて高騰しちゃってるもんね。

栗原そうですね。さらに音楽系ともなるとディーラー自身が知らないアーティストでも強気に付けてきますし。

阿部まだ探してるアーティストもいるんですか?

山田じつは持っていたんだけど手放してしまったレッドベリー(1910年代から’40年代まで活躍したブルースミュージシャン)かな。カート・コバーンがまさにこのシリーズのレッドベリープリントのロンTを着てる写真があって。カートの熱心なファンだった後輩に譲ってから、じつは一度も出会えてなくて。あ、これやっぱり書かないでね、高くなっちゃうから。

一同(笑)

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