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気鋭の新人からレジェンドまで。注目の4アクトをライブレポート。

PUFFY

1日目の昼間、フェスのハイライトとなったのが、PUFFYの登場だ。引き連れたバンドメンバーとともにお揃いのつなぎの衣装に身を包み、青いキャップを被った2人は「これが私の生きる道」や「愛のしるし」などの大ヒットナンバーを立て続けに披露。会場の熱気を高めていく。ノリノリなのは、当時ティーンだった大人達だけではない。現在全国FNS系列で放送中のアニメ「ちびまる子ちゃん」エンディング主題歌の「すすめナンセンス」も披露。これには子ども達も大喜び。最後にデビュー曲「アジアの純真」を歌い、デビュー23周年を迎えた2人の可愛らしさと余裕の貫禄を見せつけた。

パパの肩車でライブを堪能。普段とは違う家族の表情や景色は、さぞや刺激的だろう。

折坂悠太(合奏)

黄昏時、見計らったように晴れ間がのぞく。最高の環境がお膳立てするなか、名うての楽器隊を従えて登場したのは、折坂悠太だ。昨年、ブルーズ、民族音楽、ジャズを昇華した音楽性を武器にアルバム『平成』を発売し、一躍音楽シーンの時の人となった今注目すべきアーティスト。

そんな彼だが、この日はリハーサルからRadioheadの「High and Dry」を時折日本語を交えてバンドメンバーと共に披露。聞き手を煙に巻くような意外な一面が顔を覗かせる。そうした彼の伸びやかな歌声とパフォーマンスにみるみる吸い寄せられていく来場者達。MCでは、「(この時間を)一時のレジャーにするか、実りあるソサイエティにするか、皆さんにかかっていると思うので頑張っていきましょう」と印象的な言葉を残し、ステージを去っていった。

石野卓球

深夜、子どもたちが寝静まった時間帯にDJを披露したのが石野卓球。彼が今どんなプレイをするのか、期待に溢れたフロアのボルテージは爆発寸前。そんな雰囲気の中、Three Stoned RosesというThe Stone Rosesをモジッた意味深なTシャツで現れた彼は、ストイックにプレイを続ける。1時間に凝縮されたステージは、後半に進むにつれ、螺旋階段を登るようにアグレッシブになっていく。MCこそなかったが、客席とアイコンタクトを取り、身振り手振りでフロアを煽っていくのが痛快だった。レジェンドのプレイに大人たちは酒を片手に踊り明かし、名残惜しい余韻を残しつつ1日目が終わりを告げた。

子どもたちが寝静まった深夜は、大人たちがレジェンド達のDJプレイに酔いしれた。

カネコアヤノ

あいにくの雨模様であった2日目。しかし、フェスティバルを満喫したい、来場者はそんな天気を気にしないのだ。シンガーソングライター・カネコアヤノの登場を待ち焦がれる来場者は、固唾をのんでステージ前に座り込んだ。日常に転がる愛しさや慈しみを歌に乗せたアルバム「祝祭」の楽曲を中心に、アコースティックギター1本のシンプルな構成で聴き手の心情に彩りを添えていく。MCでは山間から霧が晴れていく様子を嬉々として語ったかと思えば、雨に濡れる来場者を思いやる彼女。「雨が降る日には傘もささないで遊ぼうよ」という歌詞が印象的な「エメラルド」などの楽曲を披露して、楽しかった宴の終わりを予感させる時間に、来場者の心をほぐしていった。

カネコアヤノの演奏に聴き入る女の子。

雨にも負けず、ボールで遊ぶ大人たち。

楽しかった宴が終わりを告げる。来年への期待を残し、幕を閉じた。

クロージングアクトのSPECIAL OTHERS ACOUSTICに温かい拍手が送られた。

15時を撤収時間の目安にキャンプサイトではテントの片付けがはじまる。片付けを終え、雨の中最後まで残った来場者達は、名残惜しそうに最後のアクト「SPECIAL OTHERS ACOUSTIC」の演奏を見守った。レコーディングで訪れたことがあるというこのエリアについて、軽妙な歴史トークを交えつつ話すメンバーたち。軽やかなグルーヴでこの2日間をハッピーな音楽で締めた彼らに、会場からは温かい拍手が送られた。

こうして3回目となる「THE CAMP BOOK」は幕を閉じた。といってもまだ夕方16時。それぞれ温泉に行くなどを挟んでも、遠方でないかぎり、思い出に浸りながらゆっくりと週末の終わりを迎えられる構成なのだ。

悪天候を物ともせず、イベントを味わい尽くした子どもたち。フェイスペイントが弾ける笑顔によく似合っている。

「THE CAMP BOOK」は、第1回目から掲げる「共に学び・共に遊ぼう」というコンセプトが定着してきたのか、悪天候に負けず無事成功を収めたように思えたし、フェスの成長とともに来場者達も楽しみ方を各々見つけている姿が印象的だった。来年もこの場所で行われるのか、それとも別のところに移るのか。すべては主催者の判断だが、いずれにしても、子供にも遊び心を忘れない大人にも長く愛されるフェスになることは間違いなさそうだ。

THE CAMP BOOK 2019

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#THE CAMP BOOK
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