PROFILE
1981年生まれ。「ジャンピンジャップフラッシュ」で古着の販売、買い付けを担当後、「リフト」の店長を務め、国内ブランドを中心にバイイング。2007年から〈キート〉のデザイナーに。昨年からランニングにハマる。
PROFILE
1985年生まれ。〈ファクトタム〉の販売・プレスを務めたのち、昨年7月に自身のショールーム「ティーニー ランチ」を設立。〈キート〉のPRに尽力する。
ベーシックなスタンスを変えずに歩んだ12年。
ー まずはお二人の関係について教えてください。
武田:最初に久戸瀬くんと出会ったのが、約1年半前だったと思います。前職の交友関係から話が広がって、2シーズン前から〈キート〉のPRをしてもらうことになりました。
久戸瀬:〈キート〉の存在はもちろん知っていたし、武田さんのお話も共通の友人が多いのでよく聞いていて。そのあと、ぼくが独立して自分でプレスをはじめることになったタイミングでお声を掛けさせてもらったという感じです。
ー ブランドがスタートして12年。〈キート〉が立ち上がったきっかけを教えてください。
武田:いまの事務所を構えている場所にあった「ディケイド」というお店のオリジナルブランドが〈キート〉のはじまりです。2007年に入社してすぐにデザインの一部を任せてもらうようになり、翌年ディレクターを務めることに。デザインはもちろん、生地を決めたり、セールスの面も地道にほぼ1人でつくりあげていって、なんとかここまでやってきたという感じです。
ー あえて形容するのであれば、〈キート〉はどんなブランドでしょうか?
武田:まずベーシックであることが基本ですね。余分な装飾を省いてミニマムな佇まいにすることを意識しています。もうひとつは着たひとが “気持ちいい” と感じる素材への追求がポイントです。国内有数のファブリック工場と手を組んで、オリジナルの生地をつくったりもしています。
ー あくまで着たひとの感覚を第一に考えた服づくりを心がけているということですね。
武田:そうですね。その上でパーツに特徴を持たせたり、シーズン毎のテーマを織り交ぜることでブランドの色を出しています。
ー これまで武田さんがメディアに登場されなかったのには、なにか意図があったのでしょうか?
武田:ブランドというもの自体をあまり大げさなものとは捉えていないんです。今回のお話も、久戸瀬くんに「デザイナーが前に出ることも大事じゃないか」と提案されて出演を決めたくらいで。単純にオファーがそんなに多くなかったというのもありますが(笑)。
久戸瀬:プレスを担当するようになって1年半、ぼくとしては武田さんにもっと前へ出てもらいたかったのですが、すごく謙虚なひとなので…。でもいまの時代、個性を打ち出すことがすごく大切で、デザイナー自身から発信することに意義があると思います。〈キート〉のバックボーンをお客さまに知ってもらいたいという想いから提案しました。
ー 19年秋冬シーズンからルックを制作するスタッフが変わったことも、ブランドの変化を求めるこのタイミングにおいて重要だったんですよね。
武田:そうですね。ブランドの立ち上がりから12年が経ちますが、ほとんどスタッフに変化がなかったので…。これまでは同い年か、それより上の方たちとのチームでやっていたのですが、若い世代の力を見てみたいと思い声を掛けました。久戸瀬くんに助けてもらいながら、スタイリストの平本兼一くん、カメラマンの山田理喜くんなど、魅力的なクリエイターとルックの制作に臨みました。
久戸瀬:これまでのアーカイブを振り返ることで〈キート〉の歴史をあらためて感じつつ、武田さん自身も歳を重ねられたので、もう少し大人で洗練されたクリエイションが必要だと感じてスタッフを変える提案をしました。これまで関わったクリエイターがつくりあげてきた世界観をリスペクトしながら、新しいスタッフのパワーでブランドの印象を変えてみようと。
ー 完成したルックをご覧になられていかがでしたか?
武田:平本くんが持つストリートっぽさと山田くんの凛として力強いニュアンスが共存していて、2人の才能が起こす化学反応にびっくりしました。若い世代のエッセンスを残しながらも、ぼくら世代の等身大の姿も見えてくる少し大人なルックに仕上がったと思います。
ー 19年秋冬からウィメンズもスタートされましたよね。きっかけはなんだったのでしょうか?
武田:完全なレディースとなるとまた違うと思うのですが、以前から、「〈キート〉のサイズ感やシルエットって、実はユニセックスで着られるよね」という声が多かったので、それを生かしてみようと考えてレディースアイテムをつくりはじめました。