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派手さはなくても響く服。キートが目指す調和の美学。
BELIEF OF KIIT.

派手さはなくても響く服。キートが目指す調和の美学。

素材にこだわったベーシックな佇まいを特徴としている〈キート〉。主張は強くないけれど、「それどこの?」と思わず聞いてしまう服を12年間つくり続けてきたブランドです。これまでメディアにあまり登場することのなかったデザイナーの武田裕二郎氏に服づくりにおける静かな信念と、プレスを担当する「ティーニー ランチ」の久戸瀬崇裕氏から見たブランドの本質について迫る、少し変わった形式の対談をお届けします。

  • Photo_Shintaro Yoshimatsu
  • Text_Kanta Hisajima
  • Edit_Rei Kawahara

卓越したバランス感覚こそが
ポイント。

ー 久戸瀬さんはプレスとして、スタイリストさんやショップとやり取りをすることが多いと思いますが、現場では〈キート〉についてどんな声が挙がりますか?

久戸瀬:“バランスがよくて、コーディネートが組みやすい” と皆さんによく言われます。〈キート〉の場合は手持ちのワードローブと馴染みやすい服が多いので、スタイリストさんがリースでプレスルームに来られると、必ずと言っていいほど〈キート〉の服を持っていってくれます。それでいて、ベーシックだけどちゃんと主役級の働きをしてくれる。そのバランスが男性からも女性からも支持される理由に繋がるのだと思います。そして、それはデザイナーである武田さんがご自身のブランドだけでなく、トレンドを意識しつつ幅広い視野でファッションを楽しんでいるからこそだと思うんですよね。

ー では、デザインをする際に大切にしていることはなにかありますか?

武田:コンセプトとかテーマとか、そういったことももちろん大事だとは思うのですが、言語化するのが堅苦しくて苦手で…。トレンドを追いかけるのも好きですが、基本はベーシックであるという軸はブラさずに、自分の気分を織り交ぜています。意識していることとすれば、友達が手を繋ぎ合うように各コレクションのアイテムに素材感や色味、デザインで共通性を持たせることですかね。ただやっぱり、それぞれの解釈でコーディネートを楽しんでいただくのがいちばんだと思っています。

ー 今シーズンの服づくりで意識されたことはありましたか?

武田:そうですね。昨年からハマっているランニングの要素を少し取り入れたことでしょうか。デザインを直球でスポーティに寄せたりはしませんが、ランニングウェアの着心地や快適性といった要素をデザインや生地に反映させることを意識しました。ブランドにハリがなくならないために “肩肘張らずに着られるけれど、決してゆるすぎない” という一種の緊張感みたいなものを大切にしました。

武田:例えばこのオーバーコート。ゆるやかなシルエットが特徴ですが、生地に張り感のあるナイロンを使うことでメリハリを持たせています。ウエストをベルトで絞ってアレンジしてもいいですし、着こなし次第で自由に遊べるという点も特徴ですね。

久戸瀬:あまり言葉で説明したがらない方なので、こんなに熱心に話している武田さんをはじめてみました…(笑)。でもそれだけ想いが詰まっている服なんですよ。

武田:でもやっぱり、それぞれの感覚で着て楽しんでもらうというのがいちばん理想かなと。言葉での過剰な装飾はあまり好きではないので。分かりやすく「どこどこのブランドの服を着てる!」というのも悪くはないですが、「〈キート〉ってなんかいいよね!」くらいの感覚を目指していきたいです。

ー おふたりが目指すこれからの〈キート〉は?

久戸瀬:そうですね、まずはぼくから。つい最近まで、感覚やデザイン性でモノが売れる時代だったと思うんですけど、その反動からか、バックボーンをしっかり理解してから買いたいと考えるひとが増えているのを感じていて。なので、自分の物差しがある大人な方に向けて、デザイナーの武田さんの静かな想いが届くといいなと思っています。

武田:服づくりのスタンスを変えることはないと思うので、そこはこれからもマイペースに進んでいこうかなと。ただ、久戸瀬くんと出会って起こった心境の変化としては、デザイナーが前に出ることも大事で、それが“誰がつくっている”という安心感に繋がるのかなと感じました。いままで〈キート〉を知らなかったお客さまやバイヤーさんが見直していただけるきっかけになれば嬉しいですね。

INFORMATION

TEENY RANCH

teeny-ranch.com