Chapter 2 ベーシストならではの溢れるべっ甲愛。
ー 今回は普段メタルフレーム愛用者のハマさんにJINS Design Projectの「SUGATA」、あえてのプラスチックフレームを掛けていただきました。印象はいかがですか?
ハマ:オーソドックスなプラスチックフレームは久しぶり。安定感というかやっぱり落ち着きがありますね。ちゃんとした人に見える(笑)。


ハマ:でも以前に掛けていた黒縁とは違って、この「SUGATA」は透明感があったり艶消しがあったりで、こうして掛けてみると新鮮でハッとさせられます。軽さにも驚かされました。

ー 実はデザインにも一家言あって、このプロジェクトのデザイナー、ロナン&エルワン兄弟は椅子や空間のデザインに携わっていて、メガネ畑ではないんですよ。そこでメガネ界では当たり前のヨロイ(フロントとテンプルを繋ぐ丁番のセクション)のボリュームを削ぎ落としたり、と一般的なメガネとは到達点は同じでもアプローチが違うんです。
ハマ:あっ、ホントだ。あまりに馴染んでいるので気づかなかった。一見オーソドックで他とは差異が分かりづらいけれど細かい部分に違いがある。そういうストーリーを聞いてから眺めてみると、また見え方が変わってきますね。当たり前だと思っているヨロイのボリュームがすっきりなくなっている。いい意味で違和感が見えてきますね。

ー 削ぎ落すという話をしましたが、ハマさんの音楽づくりにおいて削ぎ落すようなプロセスはありますか?
ハマ:学生時代は、ベース弾けてナンボみたいな風潮があって。速く弾けるのは、それはそれでカッコいいんですが、年々経験を重ねて思うのは“弾かないカッコよさ”がある世界だなと。行間や音の長さ、どこで切るか。それこそ無駄をそぎ落とすことで出せる表現があって、それは常に挑戦しています。
ー プロダクトの場合、デザイナーによってはディテールを決めてから全体を組み立てたり、その逆にアウトラインを決めてからディテールを煮詰めたりと、さまざまなアプローチがありますが、音作りとなるとハマさんはどういうタイプなんでしょうか?
ハマ:バンドとして音を作る時は“大喜利”なんですよね。いくら独りでデモテープを準備して、大体こんな風に録るからと考えたものも、いざ現場に入ってドラムスがワーッと叩き始めると全然違うことをやられる。その大喜利的に出された音にどう乗っかっていくかっていうチャレンジなんですよね、良い意味で。その余白を残しておくのがバンドの中にいるときの在り方の一つで、それをやるからには日頃の引き出しがないといけないんです。メンバーとはいえ他人ですから、彼らから飛んできたものに対して何年も同じアプローチで返すのもよろしくないので、こっちも引き出しを貯めておかなければ。

ー ところで、気になるフレームを何本かピックアップしていただきましたが、べっ甲柄が多いですよね。普通、べっ甲柄って色を決めきれない方が手に取る傾向が強いんですよ。
ハマ:そうなんですか!? すんなり選びましたよ。そういえばベースにはべっ甲柄のパーツがあって、ヴィンテージものだとセルロイドじゃなく本物のべっ甲が使われているんです。僕は日頃からべっ甲を抱いているわけです(笑)。それゆえに馴染みがあるというか、親和性がある。それで自然に選んだのかもしれませんね!
