服も柔術もディテールが大事。

ー 仕事とはちがって、シンプルかつ早く結果につながる柔術に惹かれたってことなんですかね。
大北:そうですね。でも、最初はそうかなと思ったんですけど、今はいい意味で裏切ってくれるっていうのも柔術の楽しい部分だと思います。努力して、プライベートレッスンをして猛烈に練習しても、いろんな保険をかけても勝つときは勝つし、負けるときは負ける。もちろん試合だと練習したことしか出ないんですけど、運みたいな部分もすごく強い。以前大会に出たら、一回目の試合で速攻負けたんです。減量して1階級下げたのに。自分のベストより体重の下の階級だったら勝てるだろうな、って計算したんですよね。そしたら、減量で失敗しちゃって開始2分で力が入らなくなっちゃって、もうやめたいと思っちゃったんです。
その後がある意味面白かったですね。ああ、おれこんなにプライド高かったんだって(笑)気づいたんです。悔しかった。試合の仕方自体を変えるっという部分も、仕事と共通しているように感じますね。柔術って、よく“ディテール”っていうワードが出るんですけど、技のディテールが重要なんです。これは服にも言えることなんですよね。どんなに派手な演出をしてる服でも、着てみるわかってしまうというか。まあ、しばらくしたら違うこと言ってるかもしれませんが(笑)。

ー 柔術を始めてから何か生活に変化はありましたか。
大北:柔術が考えるスポーツなので、考える時間が増えました。だから電車に乗る時間が好きになったりとか。あとは、前にやった失敗をしないように、注意をより払うようになりました。例えば、服だったら基本的ですが発注ミスをしない。柔術の試合だったら、簡単に体勢を崩されないとか。普通のことなんですけどね。慣れてくると細かなことを見過ごすようになっちゃうと思うんですけど、それがリセットされる感覚はありますね。同じ場所にずっといると慢心してしまうので、なるべく新しい場所を探していくようにはしてますね。

