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ワーク ノット ワークの哲学。サイモン・テイラーが語るクリエイティブの源泉。
Interview with Simon Taylor About WORK NOT WORK

ワーク ノット ワークの哲学。サイモン・テイラーが語るクリエイティブの源泉。

「ファッションをデザインするのではなくて、着る人のアイデンティティを創造したい」。これは、自由な精神を持ち合わせた人々のためのものづくりをおこなうブランド〈ワーク ノット ワーク(WORK NOT WORK)〉のディレクター、サイモン・テイラーが語った言葉です。映画『トレインスポッティング』のアートワークや、UnderworldのMVを手がけたことでも知られるイギリスのクリエイティブ集団「トマト(TOMATO)」。その創立メンバーとしても知られる彼に、ブランドスタートから8年の時が経過しようとしているいま、改めて、立ち上げに至る経緯やデザインへのこだわり、そして2020年春夏シーズンの見所や今後のことについて語ってもらいました。

  • Photo_Shinji Serizawa
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Yosuke Ishii

明るくて、みんなが理解できるドラマチックなテーマが必要だった。

ー 2020年春夏のコレクションはどういったことがテーマになっているのでしょうか?

サイモン:まずシーズンテーマの前に、ブランドとしてここ数シーズン、コンセプトにしていることについて話させてください。ここ数年のあいだ私が興味を持っているのは「シティ・エスニック」ということです。都会ではさまざまな背景を持った人々が集まり、自身の価値観を互いにシェアしながら暮らしています。それはとても現代的な生き方だと思うし、新しい文化を生みだします。〈ワーク ノット ワーク〉の服もそうしたアイデアをベースにクリエイションされているんです。

サイモン:たとえばこのポーチャー・ジャケットは、私の幼少時代の記憶をもとにデザインされました。私の尊敬する人がこのジャケットを着て、夜な夜な狩りにでかけていたんです。そうした故郷の思い出を現代的にアップデートさせながら服をつくっています。これがベースとなる考え方です。

サイモン:そして、今シーズンは「サンライズ」がテーマになっています。春夏らしく明るくて、みんなが理解できるようなドラマチックなテーマが必要でした。服に関して具体的なことを語ると、自然なものやオーガニックなものと、テクニカルなものを融合させたものづくりをしています。

サイモン:ひとつ象徴的なのが「マスマティック」と名付けたグリッドラインが描かれた生地です。縦と横に走った線のグラフィックに言語や音楽といった概念を織り込んでいます。

ー 「マスマティック」についてもう少し具体的に教えてください。グリッドラインはどんなところからやってきて、どんなことを表現しているのでしょうか?

サイモン:最近テクノロジーに関する本をたくさん読んでいて、そこから着想を得ています。テクノロジーそのものというよりも、それによって人々はどのように変化していくのか、人々の記憶はどうなっていくのか、そうしたことを「マスマティック」では表現しているんです。

ー 一方で、藍染や刺し子の生地など、日本の伝統的な手法を用いているところも〈ワーク ノット ワーク〉のひとつの特徴で、そうした技術は今シーズンも健在ですね。

サイモン:私自身、そうした日本の伝統技術にピュアなものを感じるんです。まさにオーセンティックというか、こだわりを持った美しさがそこにはあると思います。伝統と聞くとどこか懐古主義的な考え方をしてしまいますが、そうではなくて、きちんと現代のイメージと結びつけることが大事です。

ー 日本には、過去から学んで新しい知識や道理を見出すという意味の“温故知新”という言葉がありますが、つまりはそういうことでしょうか?

サイモン:そうですね。日本の職人は伝統を学びながら、さまざまな物事に精通し知識を得ています。それはまさに現代を生きるためのヒントになります。そうした学びや技術を習得する姿から、ダイナミックにエネルギーを感じる。だから私は日本の伝統技術が好きなんです。

INFORMATION

WORK NOT WORK
URBAN RESEARCH KITTE丸の内店

住所:東京都千代田区丸の内2丁目7番2号 JPタワー KITTE丸の内1F
電話:03-6269-9170

WORK NOT WORK
URBAN RESEARCH MARUYA GARDENS

住所:鹿児島県鹿児島市呉服町6-5 マルヤガーデンズ1F
電話:099-295-0111

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