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FEATUREPlease Show Me Your Bookshelf|本棚からのぞき見る、あなたの人となり。第一回:斉藤久夫(TUBE)

「見たまま」「そのまま」の3冊

フイナム読者におすすめの3冊をリクエストしたところ「それではこれと、これと、これ」といった具合に、ひょいひょいと本棚から取り出してくれました。いずれの本も作り手の主観を入れ過ぎることなく、その時代や対象を切り取った本が好きだという斉藤氏らしいチョイスです。

1冊目:アメリカを旅する気分にさせてくれる、リアルなメシと女の写真集

『PLATES+DISHES』 STEPHAN SCHACHER

「アメリカの全州の朝飯とウエイトレスを撮った写真集なんだけど、セール中で1800円と安かったこともあって思わず買ってしまいました。ダイナーにふらっと入って、そのまんま撮ったという感じで美化してない。そのユルさが良い。“こんなオバさんなんだ。行きたくないね”って店まで載ってたりして、眺めてるだけで楽しい」

フォトグラファーが全米を旅しながらロードサイドのダイナーと料理、看板娘を撮影したフォト・ジャーナル。巻末には現地の地図や料理のレシートなども掲載されている。ペーパーバック/24.8×20cm/184ページ/Princeton Architectural Press

2冊目:外国人の目から見た、明治時代の日本

『百年前の日本-モースコレクション』 小西 四郎 (編集), 岡 秀行 (編集)

「今までずっと日本にあまり興味が沸かなかったんですけど、自分の国の文化を知らないままだと恥ずかしいので少しは勉強しないと、と思ってた頃に、どうしてもこの本が欲しくなって何年か前に手に入れました。外国人がこんな時代の日本にやってきて、奇麗な景色や名所を撮るわけでもなく、八百屋の店先や道端で働く普通の人達を撮っている。何のためにこんなものを撮ったんだろうと思ったりもするけれど、写真のひとつひとつに思い入れを込めて本にしてることが伝わってきます」

アメリカ東海岸のセイラムという港町にある博物館で発見されたモース博士のコレクションを調査し、日本に紹介する第一弾となった写真集。ハードカバー/菊倍/216ページ/小学館

3冊目:フランスの子供たちが描いた、レトロな未来予想図

『Aux enfants de la lune』Sephane Frattini

「50年代頃のフランスの子どもたちが好んでいた玩具や文房具に焦点をあてたフランスの本です。大人が自分の子供時代を振り返るような視点で編集されてるのかな? とにかくデザインが良いし表紙の一部をグロス装にしていたりして、作りも凝っています。このぐらい他の本もやってくれたら良いのにね」

50年代から60年代にかけてフランスの子どもが熱中した50項目のモノゴトに焦点をあてた本。タイトルは「月の子どもたち」という意味で、その名の通りブリキのロケットやロボット、光線銃といったモチーフが登場する。当時の子どもたちが思い描いて熱中した未来予想図は現代の目からみるとノスタルジックなものになってしまったが、依然としてキラキラと希望に輝いている。ハードカバー/31x25cm/133ページ/Milan


記事中で紹介した本以外にも、斉藤氏の本棚にはそれぞれの時代においてエポックメイキングとなった雑誌や本がところ狭しと収められていた。それらの本はいずれも古本屋で手に入れたものではなく、当時リアルタイムで購入したものばかり。70歳を過ぎてもなお、斉藤氏は新しいミュージシャンのCDを探しては手に入れているという。斉藤氏の感性が常に日本のトレンドの5年先に居続けている理由は、国内外からの情報を取り入れ続けようとする好奇心の強さにあるようだ。


斉藤久夫
1945年、東京都出身。日本大学中退後、渡米。メンズ・ファッション学院を卒業後、アパレルメーカー三星衣料に入社。その後、72年に企画会社デュプロマンを設立し、アメリカのトラウザーズブランド〈ファーラー(FARAH)〉の立ち上げに関わる。79年、自身のブランド〈チューブ(TUBE)〉を立ち上げるかたわら、大手セレクトショップや数多のブランドのアドバイザリー、ディレクター業務を歴任する。

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