いろいろな可能性を含んだスポーツであることを伝えたい。
2019年を有終の美で飾った上田さん。その飛躍のバネに、今年彼は〈ルノー〉が生まれたフランスへの移住を決断しています。
「4年間住む予定です。山に近い場所を求めたので、自然の環境に慣れるという意味ではプラスになると思います。日本ではできないことができるようになる一方で、言語や食事のストレスもでてくるし、お世話になっているトレーナーさんとも距離ができてしまうので必ずしもプラスだけではないですね。もちろんいい結果を残すつもりですが、必ずしも自分の予想どおりに物事が進行するとは限らない。でもそれを乗り越えていくことで成長につながるし、新たな発見が必ずあるはずです。挑戦し続けることで間違いなく人間としての魅力は高まると思うし、安定した日本での暮らしを捨ててでも行く価値のあることだと思っています」

軽く笑顔を見せながら、強い意志で目に力を込めながらそう語る上田さん。そうした思いの先には、トップアスリートとしてシーンを牽引する彼の目標がありました。
「こうしてぼくがいろいろなことに挑戦することで可能性が広がり、若い選手たちや後世に競技をはじめる人たちに夢を持たせたいんです。〈ルノー〉のように、アウトドアブランド以外のメーカーからスポンサードしてもらったりとか、プロとして競技に専念した活動ができたりとか、こうしてヨーロッパに移住するとか、いろんな選択肢を増やしていきたい。まだまだマイナーなスポーツなので、結果を残さないとできないことではありますが、いろんな可能性を持った競技であることは伝えていきたいですね」