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速さは、ひとつじゃない。アディダスランニングが掲げたテーマで考える、新しいランニングの在り方について。
Thinking About faster than____

速さは、ひとつじゃない。アディダスランニングが掲げたテーマで考える、新しいランニングの在り方について。

〈アディダス〉が今季より掲げるグローバルキャンペーン「速さは、ひとつじゃない。」タイムの向上を目指すことだけが、ランニングの楽しみや目標ではなく、それぞれに走る理由があるという、すべてのランナーへの門戸を広げる新しいメッセージが込められています。この斬新なキャンペーンについて深く考えるべく、普段からランニングを日課にしているエディター・ライターの小澤匡行さんと、スタイリストの井田正明さんにお話を伺いました。

  • Photo_Shinji Serizawa
  • Text_Rei Kawahara

PROFILE

小澤匡行
エディター・ライター

1978年生まれ、千葉県出身。今はなき伝説のストリート誌『Boon』でライター業をスタート。2016年に『東京スニーカー史』(立東舎)を上梓、近著に『SNEAKERS』(スペースシャワーネットワーク)の日本語監修など。現在は編集・ライターとして『MEN’S NON-NO』、『UOMO』(集英社)等の雑誌やカタログ、広告などで活動。

PROFILE

井田正明
スタイリスト

1986年生まれ、埼玉生出身。川村都スタイリストスクールを卒業。五十嵐孝智氏に師事したのち、2011年に独立。ファッション雑誌・広告・ブランドのカタログでスタイリングを手がけるほか、各種媒体で連載を持つなどフィールドを問わず幅広く活躍中。

「速さは、ひとつじゃない。」とは?

「速さとは単にスピードだけじゃない。人それぞれ違う速さがある。尽きることのない向上心があなたを速くする。」

ランニングに求める結果がタイムなどの記録とは限らず、ランナーにはそれぞれの走る理由や向上心がある。〈アディダスランニング〉が打ち出した「速さは、ひとつじゃない。」というグローバルキャンペーンには、多様性を認めることでランニングの捉え方を広げて欲しい、というメッセージが込められています。

忘れかけていたことを再定義してくれたキャンペーン。

ー お二人にとって普段からランニングを続ける理由やきっかけをまず教えてください。

井田:ぼくは “自分を整える時間” としてランニングを捉えています。スタイリストは、トレンドの着こなしを提案したりチェックしたりの基本的な仕事だけではなく、ファッションと社会の関わりに目を向けながら企画のアイデアを考えたり、撮影やリースに返却があったり…と日々目まぐるしい職業で。だからランニングは自分の気持ちを一旦リフレッシュするために必要なことなんです。

ー リフレッシュするための手段がランニングだったと。

井田:そうです。ただ、気持ちを静かに落ち着けるためだけではなく、日々の生活、自分自身の体型、仕事の事で何かを変えたいと思ったときに走る事もあります。例えば、映画が好きなので『ロッキー』の主人公、ロッキー・バルボアが夢や目的に向かってスウェット姿で走って暑苦しく気持ちを高めているシーンを、大きな仕事が舞い込んできたりしたときに、その奮起する姿を自分に重ねたりして “熱い” 気持ちでランニングをすることもあります。

ー 自らを鼓舞するイメージですね。

井田:あとはベタですけど、アシスタント時代の不摂生を受けて、運動しないとまずいと思ったのもきっかけです。実際、ランニングを習慣にしたら体の調子がよくなりましたし。

ー 小澤さんはいかがですか?

小澤:中学から高校の途中まで、割と名門校の陸上部で長距離をやっていたこともあって、まず走ることが日常の中に当たり前にあったんです。それで、大人になって再び走り始めた1番最初のきっかけが禁煙。あ、もうこれはいけるなと思った時、1日に1箱タバコを吸っている合計時間を自分の好きな時間に充てようと思ったんですよ。その対象がランニングだったんです。

ー なるほど、ではそれぞれのきっかけから走り続けているお二人にとって、この “速さは、ひとつじゃない” というユニークな意味を持ったキャンペーンはどう映りましたか?

小澤:選手として長距離走に挑戦していたときもそうだったんですけど、“走る” ということだけを意識しすぎると、例えば「フルマラソンをサブ3で走りたい」とか「何Kmをこのタイムで走りたい」とか時間や距離に固執するようになってしまいがちなんですよね。わかりやすいがゆえに、そういう基準でしか自分の成長を測る方法がないというか。

井田:たしかにそれだと自分が走り始めたときの本来の感覚とか価値観からはズレてきちゃうのかもしれないですね。

小澤:でも40歳を超えてみて、ランニングの素晴らしさってそれだけじゃないぞ、っていう当然のことにやっと気づけたんですよ。だから忘れかけていた当たり前のことを再定義してくれたこの「速さは、ひとつじゃない。」というキャンペーンにはかなり共感が持てましたし、意義のあることだなって自然に感じましたね。

井田:ぼくや小澤さんのような普段からランニングをしているひともそうですけど、最近ランニングをはじめたひとにとっても、「プレッシャーを感じなくていい」というメッセージにもなりますもんね。

ー お忙しいお二人ですが、いつ時間をつくって走っているんですか?

小澤:ぼくは今年に入ってから朝に走ることを心がけています。以前までは仕事場に行く前後に24時間営業のジムに通って、時間があったらジムに寄れたらいいなくらいの気持ちでランニングをしていました。つまり自分の時間の中のオプションでしかなかったんです。でもそれでは受動的だなと思って意識的に変えるように心がけはじめました。

井田:ぼくは仕事が終わって、好きな音楽を聴きながら真夜中に暗い夜道を走るということが自分のルーティンになってます。小澤さんはランニングの時間を新しく設けたり、能動的に捉えているなと感じたんですけど、ぼくは真逆でとにかくランニングを自分を “オフ” にするための手段と考えていますね。

一歩踏み出すためのきっかけ。

ー ランニングを習慣にすることって、意外とハードルが高いことだと思うんです。お二人がランニングをそういったひとに勧めるとしたら、どうしますか?

小澤:そこが難しいところですよね。まず、ぼくは「ランニングっていいことなんだよ」ということを他のひとに強要したこともないし、原稿に書いたこともない。やっぱりそもそも走ることが自分に向いてないひともいると思うんです。「ランニングで自分が変われた!」とか、そういうことを一辺倒に言われると自己嫌悪になってしまいそうで。それは走れるひとの言い分かもしれない。ぼく自身、ひとに胸を張って何か言えるほどランニング中心の生活にはなれないから、いつまでたっても速く走れないし。

井田:たしかにひとに勧められてはじめることって、続かなかったりしますもんね。

ー でも走りたいと普段から思っているひとが一歩踏み出すためのきっかけがあったらいいなとは思うのですが…。

小澤:うーん、では例えばジムに通ってみるのはどうですか? “走ることを習慣化するために走る” ってやっぱり難しいと思うんですよ。

ー と言いますと?

小澤:ぼくはおそらく1年のうち360日は原稿を書いています。だから犠牲にしてきた好きなことっていっぱいあるんです。好きな音楽も聴いていなかったり、 話題のトピックについていけないこともしばしばあったり。でもジムだったらランニングマシーンの上にスマートフォンを置きながら走れば映画だって見られるし、自分が犠牲にしてきたものを取り返すことができると思うんですよね。つまり、ぼくがジムに行くのって時間を作りにに行ってるのと一緒なんですよ。

井田:ジムだとそういう時間の使い方ができるんですね。

小澤:自分が息切れをしないペースであれば 、目の前の映画やドラマに感情移入することだってできます。ただ、タイムや距離など自分に精一杯になってしまうとどうしても体を痛めつける運動しかできなくなってしまうと思うんです。自分が音楽を聴くためだけの時間をつくることは難しいけど、走りながら音楽も聴けているという状況をつくることができれば、自分にとって多分プラスになると思うんですよね。24時間が25時間になるし、効率を求めるならば、24時間が26時間になるかもしれない。だからぼくにとってランニングは “主” であるというよりは、“ながら” の運動なんですよね。自分のやりたいことがあったときにそれを “走る” という状況と結びつけて、その時間をつくってみようと考えると、ぼくはランニングを続けやすいのかなと思いました。

ー たしかにその考え方は具体的ですね。

小澤:この考え方で走っていれば走ることが億劫にならないと思うし、タイムや記録だけを求めるスタイルにもならないのかなって思うんですよね。ぼくは自分の体を痛めつけるというのは学生時代にかなり経験をしたし、いまだったら時代に適した別の楽しみ方があると思うんです。

井田:タイムとかそういった部分に固執してしまうと、次は何分で走らなきゃいけないとか、そういう焦りみたいなものが出てきちゃいますもんね。

小澤:使命感によってランニングが遠のいてしまうこともあるのかなと。ひとにランニングを勧める気はないけれど、強いて言うなら、自分の時間をつくるために走ると言うのは手段のひとつかもしれません。

井田:自分の時間をつくるために走るというのは、ぼくも同じです。ぼくは散歩が趣味なので散歩の延長線上でランニングをすることがあります。外でランニングすると四季を感じたり、休日だと近所で遊んでいる子供や家族が出かける風景をみたりすると和みますね。

ー ランニングが仕事に与える影響は何かありましたか?

小澤:持続力が付くというのはあるかもしれませんね。原稿を書くことは脳みそを使うと同時に体力をかなり消耗します。そういう意味ではもしかしたら、自分が360日文字と向き合うことができるのはランニングが多少なりとも影響しているかもしれません。

井田:ぼくは仕事に直接影響することは少ないですね。ただ、新しい “交流” が生まれたりすることはあるかもしれません。他のひとと仲良くなりたくてランニングをするわけではないですけど、ぼくの周りには走りたいっていうひとが多いから「井田くん走ろうよ」って誘ってもらうことが多くて。これまでなかったコミュニティと思いがけないことで意思疎通が生まれて仕事に繋がったりということはありました。

INFORMATION

アディダスお客様窓口

電話:0570-033-033(土日祝除く、9:30~18:00)
shop.adidas.jp/item/?cat2Id=fasterthan

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