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キディルと切腹ピストルズが交わす“パンク”という名の共通言語。
KIDILL 2020AW COLLECTION

キディルと切腹ピストルズが交わす“パンク”という名の共通言語。

2020年3月25日、新型コロナウイルスの話題で世間が錯綜するなか、日本のファッションブランド〈キディル(KIDILL)〉のファッションショーが、初公開となる渋谷駅西口地下施設(工事中)で行われました。これは渋谷の街からファッションとアートを発信する「渋谷ファッションウイーク」の一環として実施されたもので、国内の情勢を考慮し、無観客のなかでライブ配信という形で披露された今回のショー「 SHIBUYA RUNWAY “The Designer”」。無機質な地下空間では、パンクな衣装をまとったモデルたちが舞台の中央に集まり、そこで鳴り響く音楽に身をゆだねます。音の震源地にいたのは、和楽器でパンクを奏でる楽団、切腹ピストルズ。会場内にはヒリヒリとした鋭い空気が充満し、緊張感が漂うなかでドラマチックなクライマックスを迎えました。今回は、そんな舞台をつくりあげたデザイナーの末安弘明さんと、切腹ピストルズの飯田団紅さんによる対談をお届けします。“パンク”という共通言語を持つ二人がこのショーで表現した精神性は、やはり一本筋の通ったものでした。

  • Photo_Haruki Matsui(without Runway)
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Ryo Komuta

PROFILE

左:末安弘明  KIDILL デザイナー

大村美容ファッション専門学校卒業。2002年に渡英し、独学で服作りを学ぶ。2004年に自身のブランドである〈ヒロ(HIRO)〉をスタート。2014年まで活動し、同年に「KIDILL (キディル)」を立ち上げる。 2017年にはTOKYO新人デザイナーファッション大賞プロ部門入賞、東京都知事賞を受賞している。


右:飯田団紅 切腹ピストルズ

東京生まれ。切腹ピストルズの総隊長を務めるかたわら、絵師としても活躍する。

あの人がいなかったらパンクのグラフィックは違うものになっていた。

ー おふたりはもともとお知り合いなんですか?

飯田:そうですね。15年くらい前からかな?

 

末安:そうだね、出会ってそのくらい。ぼくは3年くらいロンドンに住んでたんですよ。それで戻ってからベニオくん(飯田さん)と知り合って。でも、ロンドンにいた頃から自分のブランドのことを手伝ってもらったりしてたんですよね。会ったこともないのに(笑)。

ー 手伝うというのは?

飯田:絵を描いたりとかだよね。ぼくも同時期にロンドンにいたんです。俺は「ヒロ」って昔呼ばれてて。いまは隊長って呼ばれてるんですけど(笑)。

末安:ぼくも「ヒロ」なんですよ。だから同じ呼び名で。

飯田:そうそう。それで行きつけのお店の人に「お前と同じ、ヒロっていう日本人がいる」って話になって。

末安:ベニオくんは先に日本に帰国して、ぼくは残ってたんです。それで帰国後に共通の知人を介して知り合ったっていう。

ー じゃあロンドンでは会ってないんですね。

飯田:そうなんですよ。ただヒロくんの存在は知ってて。それで日本で会ったときに意気投合したんです。

ー お互いパンク好きということで。

飯田:そうそう。それとか、ヒロくんが俺が描くグラフィックとか気に入ってくれて。

末安:Tシャツのグラフィックをよく描いてもらったりしてたんです。すごくかっこよくて。そのときはもう切腹ピストルズを結成して活動もしてたよね? いまみたいな和楽器じゃなくて、ギターとかベースとかドラムがいて。

飯田:そうだね。4人で。いわゆるみなさんが想像するようなパンクバンド。第一形態だね(笑)。

末安:ぼくはライブによく行ってて。ベニオくんは当時高円寺とか西荻窪のあたりに住んでたよね。「鶴屋」っていう名前の基地みたいな場所だったんですよ。そこへもよくお邪魔させてもらってました。

飯田:ヒロくんがロンドンでブランドを始めたときは、まだ美容師だったでしょ?

末安:そうそう。ヘアメイクをしてた。併行してブランドもやってて、そのうちに服が売れ始めてバランスが逆転して本格的にやりはじめたんだよね。

ー 今回のショーで披露した〈キディル〉の2020年秋冬のコレクションは、セックス・ピストルズのアートワークでも知られるジェイミー・リードとコラボしてるんですよね。

末安:そうです。ぼくはジェイミー・リードのことをアーティストとして尊敬していて。もう70代なんですけど、あの人がいなかったらパンクのグラフィックは全然違うものになっていたと思う。それくらい素晴らしい方なんですけど、服をつくりはじめた頃からずっと一緒になにかしたいと思っていて、それがようやく実現しました。ベニオくんもジェイミーのこと好きだっていうのは知ってたんですよ。

飯田:そうそう。ピストルズが好きとかね。

末安:楽団の名前も切腹ピストルズだし、絶対にジェイミー・リードにはインスパイアされてるはず! っていうことで(笑)。

飯田:俺ね、19歳のときにグラフィックの専門学校行ってたの。そこでワークショップが開かれたんだけど、なんとそこにジェイミー・リードが来たんだよね。たしか初来日でラフォーレで展示をやってて。

末安:それはまさかだね!

飯田:そこで手習いして、いろいろよくしてもらったんです。3日か4日くらい一緒にいて。だからヒロくんの言う通り、俺もジェイミー・リードにはやられてるの。そのときいつか一緒になんて思ってたけど、今日実現したよ。

末安:1月にパリコレを終えて、ジェイミー本人もめちゃくちゃ喜んでくれたんだよね。すごい褒めてくれて、「コラボしてよかった」って言ってくれて。だから今回のこのライブ配信も絶対見てくれてると思う。

飯田:ヒロくん、ズルいんだよな、パブリック・イメージ・リミテッドとか、そういうところとコラボするんだもん(笑)。

末安:あとはジョン・ライドンとかも。

飯田:デニス・モリスもでしょ?

末安:そうだね。ようやくレジェンドたちとやらせてもらう機会が増えて。初期パンクが好きなんですよ。そういうのもあって今回、切腹ピストルズに頼もうって思ったんです。コロナの影響もあってイベント自体がどうなるかわからない状態だったんですけど、2週間前にやることが決まって声をかけさせてもらって。

飯田:こんなにうれしいことはないから即答でOKしました。

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