空間を眺めながらそのムードに合うタイトルをピックアップした。

ー 自粛期間中、自分にとって何が大切なのかを改めて再確認した人が多いと思うんですが、下田さんにとってこの「Little Nap Coffee」は大切な場所のひとつですか?
下田:そうですね、大好きな場所です。ここでイベントがあるときに遊びに来たりするし、オーナーの濱田さんとも親しくさせてもらっています。自分の交友関係もこの場所で繋がっているし、みんなが集まりやすい空間でもある。なので、展示会もここでやらさせてもらっています。
ー 〈グラフペーパー〉の南さんともここで知り合われたとか。

下田:そうなんです。ぜんぜん面識がなかったんですけど、南さんがプライベートでコーヒーを飲みにいらした際にたまたまぼくらが展示会をやっていて。お店の入り口に展示会のポスターを貼っていて、それで知ったみたいなんです。そこから交流がはじまって、今回コラボレートすることになりました。話を聞くと、南さんはSILENT POETSの曲をむかしから聴いてくださっていたみたいなんです。
ー 〈グラフペーパー〉は基本的に無地のTシャツしかつくらないそうで、もしそこに何かを載せる場合は自分たちがリスペクトする人のものでやるというポリシーがあるそうです。
下田:とてもありがたい話です。
ー 今回のコラボレートはどのようにやりとりが進行していったんですか?
下田:〈グラフペーパー〉でつくられているTシャツに、ぼくのデザインをプリントするというやり方ですね。「もう好きにやってください」と言われて(笑)。

Graphpaper × POET MEETS DUBWISE ¥15,000+TAX
SILENT POETSの7thアルバム『SUN』収録曲の『Fate』の文字をフロントにあしらったTシャツ。6月20日(土)にオープンする「グラフペーパー 京都」にて限定販売。カラー展開は写真のグレーのほか、ブラックとホワイトもあり。

「Poetry(1stミニアルバム『6 Pieces』収録曲「Poetry in the echo」より)」、「Wonder(7thアルバム『SUN』収録曲)」、「For Nothing(5thアルバム『For Nothing』のアルバムタイトル及び収録曲)」、「Future(7thアルバム『SUN』収録曲)」。こちらのTシャツ4型は、青山、日比谷、仙台、Graphpaper Frameworkにて、それぞれ1型づつ販売し既に完売。
ー フロントにプリントされているのは「SILENT POETS」で過去にリリースしたタイトルですよね。
下田:そうですね。このシリーズはブランドをはじめてから定番的にやっているもので、〈POET MEETS DUBWISE〉を象徴するモチーフでもあるのでわかりやすくていいかなと。それでいくつかパターンを用意して持っていったら、「全部やりましょう」というお返事をいただきました。ぼくのなかではいくつか選ばれる想定だったんですけど(笑)。
ー どのような基準でタイトルを選ばれましたか?
下田:一度お店に足を運ばせてもらって、空間を眺めながらそのムードに合う曲をピックアップしました。あとは単純にデザインに合うものですね。長さであったり、字面であったり。個人的にはいま出して響くワードをチョイスしたつもりです。
ー バックプリントも〈POET MEETS DUBWISE〉らしい配置でデザインが載っていますね。

下田:シンプルなグラフィックではあるんですけど、並べるとひとつのデザインになるというか。組み合わせがおもしろいなと思って。もともとぼくは背中のデザインが結構好きで、前はシンプルだけど背中がゴチャッとしているそのバランス感がいいなと思うんです。だから背中にもこだわりがあるというか、おもしろいものにしたいなという気持ちが込もってます。
ー ボディの色も絶妙なカラーリングで、「SILENT POETS」の音像と重なる部分があります。
下田:黒からちょっと色が抜けたというか、こういう墨っぽい色がぼくは単純に好きなんです。
ー このボディはもともと〈グラフペーパー〉でつくっていたもので、すこしシルエットが大きめです。こうしたフォルムに対して、グラフィックをどう載せるか、みたいなことは考えられましたか?

下田:はじめて見たときに「すごいデカイな」て思ったんですよ(笑)。でも、この大きさとぼくが普段つくっているデザインの相性がよかった。プリントは普段つくっている版とおなじ大きさなんです。大きいボディにそれを載せることで余白がすごく活きた感じはしますね。
ー 「SILENT POETS」も〈POET MEETS DUBWISE〉も、下田さん個人のプロジェクトとしてやられていますが、こうしたコラボレートを通して得られる感覚はありますか?
下田:「SILENT POETS」もぼくのソロプロジェクトではありますが、バンドでやるときはいろんなミュージシャンが関わってくれますし、今回のコラボもぼくはファッションの専門外なので、足りない部分をお互いで補い合う感じですよね。
やっぱりこうしていろんな人と関わることで、従来はなかったものが生まれたりとか、自分の中でも気づくことがあったりして、新しい感覚が生まれますよね。だから、ぼくとしては常に誰かと関わり合いながらやっていきたいと思ってます。