現代版へとアップデートされたディティール。
ー 今回のアイテムは、過去のパターンを引用してつくられたんですか?
YUTA:そうしたかったんですけど、なかなか昔のものが出てこなくて。なので〈リー パイプス〉のひとが、当時の広告に載っていた写真からパターンを起こしたんです。ショーツに関しては、元はロングパンツでした。
PIGU:だからこのショーツ、全然いまっぽくないんですよ。穿くとシルエットが台形になってしまうんで(笑)。
ー 台形の形っていまでこそ格好よくないですか?
PIGU:そうなんですけどね。でもやっぱり違和感はあります(笑)。いまのサーフィンカルチャーは60年代とか70年代が流行っているんで、海パンは短い丈で、ウエットスーツは真っ黒だったりする。そのなかで、このシルエットと色使いは新しいなと思います。あと、サーファーだとわかると思うんですけど、海パンで1日中過ごすことってめちゃめちゃあるんです。なので普通の海パンにはないポケットもつけたりしています。タバコや携帯なんかを入れる用に。
YUTA:あと、元々あったパンツはジップでボタンだったんですけど、海パンとしても海で履けるようにジップと紐にしています。
ー オーバーオールは、前回のコラボレーションからどのように変化していますか?
YUTA:前回よりもワイドになっています。あと、当時のものに付いていたニーパッチの部分はポケットにしました。
PIGU:このポケットが〈リーパイプス〉の特徴でもあるんですよね。携帯やパスポートも入れられる。当時はガラケーサイズだったのを、iPhoneサイズにしたりもしています。当時はアムロちゃんとかがこのタイプを着ていましたね。
ー ルックブックも面白い仕上がりになったと聞いています。
PIGU:YUTAとルックブックのコンセプトを考えたとき、やっぱりドンズバでいきたいよねって話になって。この感じは1994年なのか、1995年なのかってことを昔の雑誌なんかを見てずっと話あっていたんです。だけど、ぼくらは2つ歳が違うし、ぼくは高校をダブっているので、途中で全然わからなくなってしまって。「ワラビー履いていたのっていつだ?」とか(笑)
ー 当時は1~2年の間でかなりの変化がありましたもんね。
PIGU:そうなんですよ。女子高校生もコギャル全盛期でしたけど、どのタイプのコギャルだったか…ハイソックスはこのとき履いていなかったよな、とか(笑)
YUTA:当時の写真を見て、自分は1997年だと思っていたものが、実は1998年だったとかめちゃくちゃありました。1年のずれで、ギャルもぼくらもかなり変化していたんだと思います。とにかく2人が「ここだよね!」というのを探すのが難しかったです。
PIGU:ルックブックの靴はリアル感を出したかったんで、〈リーフ〉や〈シンプル〉を持ってきたかったんです。そんな靴をルックで持ってきているところは絶対にないと思ったんで。だけど、その辺りもあやふやになってしまって、結果、ざっくり90年代中盤みたいな仕上がりになりました。
PIGU:これ1995年の写真なんですけど、俺、自分でも信じがたいんですけど〈ナイキ〉を履いているんですよ(笑)。しかも、周りの奴らもみんな履いてる。そんなこともあって、ルックはリアルを追求する意味もあって、みんな〈ナイキ〉で揃えてもらいました。
ー 今回のアイテムは、年代によっても捉え方がいろいろありそうですね。
YUTA:そう思います。なので、こういう感じを通ってきたひとには懐かしんでもらって、この時代を知らない若いひとたちには、現代のファッションにどう組み込んでくれるのか、その辺も楽しみではありますね。モードに落とし込んでみるとかもいいだろうし、新しい活用の仕方をしてもらえるとうれしいです。
ー 最後に蛇足ですが、コロナの影響で海外はもちろん、サーフィンにも行けていないかと思いますが…。
PIGU:全然行けてないですね。海外に関しては、この先も行く目処は立ってないです。行こうと思えば行けるけど、行っても友達と会える雰囲気でもないし。あと人種問題の件もありますしね。そんな状況なんですけど、これを機に日本でコミュニティを広げていければなと思っています。
ー YUTAさんはどうですか?
YUTA:こんなに家にいることって、これまでに本当になかったなと。で、海に入る時間もなくなったので、家族との時間が長くなって、前よりも仲良くなった感じがあるし、改めて家族っていいなあと思ったり。だけど、やっぱり早く自由にどこにでも行けるようになって、これとか着てサーフィンの旅に出かけたいですね。
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